父の誕生日
今日は父の70歳の誕生日。
父は頑固で融通が全く効かない。外食が嫌いで、家族旅行もほとんど行ったことがない。家で食べる主食は米。麺は食べず、パンはおやつの時だけ。
小さい頃はそれが嫌で、なんでうちばかりそうなのかと泣いて訴えたりもした。
祖父の時代は、農家で田んぼに畑、椎茸にお茶を育て、ヤギやニワトリを飼ったりしていた。
父の代になるとサラリーマンと兼業で田んぼと畑とお茶。私が小学生の低学年になるまでは山で椎茸も作っていた。夜遅くまで仕事して、寝る間を惜しんで朝早くから椎茸をとったり田んぼの水の量を見に行ったり、その後に仕事に行く。休日も田んぼや草刈り。
小学生の頃は、私自身も学校に行く前に椎茸をカゴに3杯分取っていた。雨の次の日の朝が椎茸がブヨブヨになって悲惨だったことを覚えている。当時はこんなことやりたくない、なんでうちばっかり!と、ことあるたびに思っていた。
今考えると父は自分の持てる時間を全て仕事と農業に注いでいた。愛情も注いでいただろう。その結晶である農作物を無駄にしたくないから、それらに誇りを持っていたから外での食事をしなかったのだと思えるようになった。
30歳過ぎてようやくわかるなんて私もバカだ。
今の時代で私を含めた現役のサラリーマンは、当時の父のような生活を送ることができるだろうか。娯楽や人付き合い、睡眠よりも仕事を優先する。そんなこと、少なくとも今の私には出来ない。
父は今日で70歳になった。頑固な父らしく、体調が思わしくないようだけど、家族には一言も言わない。病院にも行かない。だからせめて、今日からの時間、少しでもゆっくり自分の時間を過ごしてほしい。
私は頑固な父をとても尊敬してるし大好きだ。
もっと父を理解したいから今度二人で話がしたいと思う。
お父さん、お誕生日おめでとう。