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ぺもの破産2
夏が来た。ジメジメした夏がやってきた。
都会の夏は嫌いだ。
風がない。風がないから汗が乾かない。だから、熱中症になりやすくなる。
そこにとらわれて、私はすっかり忘れていた。
夏と一緒に"あの"季節もやってくることに。
ペンギンの季節だ。ペンギンの季節がやってきた。
未だに夏はペンギンのグッズがたくさん出る。
やはり冷たさをイメージさせるのだろうか。
実際のペンギンはそんなこともなく、サボテンを住処にしていたりするのだが、ペンギンはどこかしらひんやりした空気を身にまとっているような気がする。
なぜか青色が似合っている気もするし。
しかし、何の考えもなしに文具店に行くのはよくない。
そこではペンギン達が大量に繁殖している。
ある者は便箋に、またある者はふせんに、ポストカードに。
私は勝てなかった。
気付いたら手に取っていた。
ランチ1回2回節約すればいいのだから、と思いながら。
同じものは買わないからいいか、と思いながら。
(しかし、この前ついに被らせてしまったのだが)
そうして、私は今宵もまたペンギンに負けてしまったのである。
ペンギンが悪い。
人間に好かれるフォルムをしているペンギンが悪い。
あと、最近サメに惹かれて少し浮気をした私も悪い。
また家にぺもの(ペンギングッズ)が増えてしまったのである。
「いやでもこれは必要経費なんですよ」
同居鮫に私はそう説明する。
「サメのしおりも買ってきたから許す」
こうして私の家のぺものは増殖していくのであった。
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