見出し画像

合言葉は「赤ウケファースト」0-3歳児のおもちゃ選びbyピープル代表(2児の父)③/3『ピートラ』Vol.95

こんにちは。機ちょーまさとです。
子育て悩む世の親御さんに向けて、おもちゃ選びを解説するシリーズ第3弾、回答編。実際に0-3歳のおもちゃをどう選ぶのか?書いてみたいと思います。
おすすめの行動は至ってシンプルなんですが、なぜそれが重要かの説明が必要だと思いますので、おもちゃって何のためにあるのか?というような本質的な問いから解説していきます。

連載メニュー
Part① なぜおもちゃ選びに悩むのか?(ピートラVol.85)
Part② 業界の慣習とその弊害(←ピートラVol.91)
Part③ 「赤ウケ!」良く遊ぶおもちゃ選びの具体的方法(←今回)


ピープル流「好奇心」の定義

学術的な話はさておき、ピープルでは好奇心を次のように捉えています。
・子どもがみんな生まれ持っているもので、現れ方は個性がある
・好奇心は成長のために必要な試行錯誤をしたいという、本能的な欲求
・一つ好奇心を思う存分満たすと次の好奇心が芽生えていき、思考や行動が発達してく

0-3歳にとっておもちゃとは何か?

好奇心は、子どもたちの頭に漠然とあるもののキッカケが無いと表に出てきづらいという特性があります。
例えば、1歳になったら箱からティッシュを引っこ抜く遊びは世界中のほとんどの子が誰にも教えられなくても始めるので、DNAに組み込まれた本能的な行動だろうと考えられます。しかし箱ティッシュという物体が無いと、この好奇心は遊びとして具現化しなかったはずです。

別の例では、2~3歳くらいの子を自然の中に連れていって、さあ遊んでおいでとやっても大抵の子はどうしたら良いかわからずぼ~っとしてしまいます。ここで「ここにテントウムシがいるよ!」と声をかけてあげると突然テントウムシ探しに夢中になり、そのうち探す昆虫がカマキリになって、カブトムシになって、カブトムシの幼虫を見つけたい!のように発展していく子が表れます。もともと持っていた生き物への好奇心が、大人の声掛けがキッカケになって遊びが顕在化する、ということだと思われます。

0-3歳にとっておもちゃの役割は、子どもの頭の中にあるもやもやとした好奇心=「あそびたい」気持ちを具体的な遊びとしてアウトプットするキッカケである、というのがピープルの理解です。

一方、子どもはひとつのおもちゃを思う存分遊んで好奇心満たした時、次の好奇心が沸いてそのおもちゃをパタッと遊ばなくなります。大人から見ると「もう飽きたの、もったいない」みたいな気分にもなりますが、おもちゃとして十分な役割を果たし終えた、お疲れ様でした、と見るのが良いのではないかと思うのです。

好奇心はどんどん発展して、本物への強い興味に育つ

「おもちゃとジェンダー」プロジェクトでご協力いただいた、栃木県の認定こども園さくらさんに伺った「お寿司屋さんプロジェクト」のエピソードには、この仮説を裏付けるような要素がギュッと詰まっています。

ストーリーを要約すると
(1)子ども達が何かのキッカケで「お寿司をつくりたい」と言い出す
(2)最初はLEGOや紙粘土、フェルトの生地などでたっぷり遊んでいた
(3)やっぱり食べられるお寿司をつくりたい!ととにかく今ある調味料を使って自由に酢飯をつくったら、入れ過ぎて食べられない味にしてしまう
(4)プロのお寿司屋さんを見学して、ちゃんと作ろうと決意する
(5)酢飯をつくりたい子、キュウリを調達したい子、店構えをつくりたい子、回転テーブルのギミックにこだわる子、お客さんを呼び込む看板をつくる子、配達用に乗り物おもちゃを改造してオカモチを付けようとする子、などそれぞれの好きや得意を活かして勝手に役割分担を始め、お寿司屋さんを完成させた
(6)この体験を通じて「将来の夢はお寿司屋さんになること!」と4歳にして進路を見出す子が続出

これらすべて、4歳の子ども達が大人の手伝いをもらいつつ、半年かけて実際にやってのけたそうです。4歳のポテンシャルってすごいなと思う一方、「あれ?子どもでも本物ができちゃうなら、おもちゃなんて要らないんじゃないか?」とショックを受けました。

その後1週間くらいもんもんとこのエピソードを咀嚼していて気づきました。もし子ども達に、いきなり本物のご飯とすしネタを渡したらどうなっていたんだろう?ちゃんとお寿司をつくって、楽しかったね!おいしかったね!と半日で終わってしまったんじゃないか。

参加した4歳児たちは、最初にたっぷり自由におもちゃのお寿司で遊んだけことで、「食べられるお寿司をつくりたい!」気持ちがはぐくまれ、自分たちで失敗することでそれがさらに育ち……というプロセスを時間をかけて踏んだことが、半年間も執着し続ける好奇心に育ったんじゃないか。

実はおもちゃは、子ども達が「本物をつくりたい!」と思うところまで楽しく遊ばれた、という重要な役割を果たし終えていたわけです。

良き成長とは、最初に好奇心のままに思う存分遊んでみることから始まり、その役割として一番ふさわしいのはやっぱりおもちゃだ!と確信するに至りました。

子どもウォッチングと「赤ウケファースト」

長々説明してきましたが、おもちゃの役割は子どもの中にあるもやもやした好奇心を、遊びという具体的な行動のキッカケをつくり、存分に遊ばれて卒業してもらうこと、と言語化しました。

良いおもちゃとは「その時その子がものすごく熱中して遊ぶこと」つまり「(ちゃんor子どもに)ウケ(るかどうかを)ファースト(に考えておもちゃを選ぶ)」です。
大人の都合:インテリアに合うデザインとか散らからないとかキャラクターの好みとか長く使うかどうかなども確かに重要ですが、そんなことは後回しにしましょうという提案です。

ただ、子どもみんな個性的で、成長のスピードにもものすごい差があるので、おもちゃのパッケージに書いてある対象年齢(あくまでこの年齢の子は安全に遊べますという意味)はあまりアテになりません。実際に店頭や児童館で遊ぶかどうか試してみるのが一番話が早いのですが、狙いのブツが必ずしも試せるとは限りません。

世界でたった一人の個性を持つ我が子のために、親ができる唯一のことは、普段から彼ら、彼女らの行動をウォッチングして面白がるという態度ではないでしょうか。

例えば、ウォッチングで赤ちゃんや子ども達がこんな行動をしてるならコレ!というおもちゃを並べてみます
・指や足、身の回りのモノを良くなめるなぁ→舐められ太郎

・リモコンに異様に執着するなぁ……→知能リモコン

つみきで遊ぼうとして、うまくいかなくて癇癪起こしてる?→ピタゴラス

こんなイメージです。
子育てってどうしても忙しく大変で悩んでしまいがちですが、赤ちゃんたちのおもしろい行動を見つけてみることで、少し気持ちがラクで楽しくなって、おもちゃも簡単に選べるようになるのでオススメしています。

今回は以上になります。
3回に渡って、子どもの本能や業界の裏話など交えて解説してみましたがいかがだったでしょうか。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!