Vol.28:幾何学マスター「護佐丸ジェイ」
食事を終えて、「護佐丸ジェイ」と「美魔女ヨリコ」が待つオフィスへ向かう。「天照ノア」の視力障害に対して、なんらかの処置を行ってもらうのが目的だ。
「護佐丸ジェイ」は護佐丸の過去世を持つとされている人物で、「観察者ユリヤ」の見立てによると、幾何学マスター、という存在らしい。
「護佐丸ジェイ」は幼少期から目の前に謎の幾何学が見えていたという。
40代で、不思議な水の開発の着想が湧き起こり、水にまつわる数々の特許のある発明を行い、その流れで、視力や波動を調整する「エアーレンズなごみ」を開発するに至る。60代になって、その発明品の数々は、幼少期から見えていた幾何学のメソッドをベースとしたものであったとようやく解明できたという。
「美魔女ヨリコ」は護佐丸の正室のエッセンスを持つと言われており、今世でも、「護佐丸ジェイ」のビジネスパートナーのようである。
先日も、クラブハウスで知り合った、視力を奪われつつある「豪州ユキ」と「護佐丸ジェイ」を繋いだ事もあり、三次元的な原因ではなさそうな「天照ノア」の視力障害に効果があるのではないかと思い、繋げてみたのだった。
「天照ノア」に対面し、「護佐丸ジェイ」はテーブルの上をトントンと操作する仕草を見せた。「観察者ユリヤ」には操作盤のようなもので「天照ノア」のなにかを計算している姿が見えたという。
「護佐丸ジェイ」によると、天照ノアの能力は6歳からスタートしたものらしく、憑依体質ではなく、体内に異質な存在を入り込ませない強いものがあるという。
「天照ノア」のメガネを両手で包み何やら波動を送る「護佐丸ジェイ」。「観察者ユリヤ」には、剣を取り出している姿と、螺旋状に渦巻いた何かのツールを使っている姿が見えたという。まさに幾何学マスター。
「護佐丸ジェイ」のいろんな措置があったが、簡易的なものでは対処出来ないという事で、本格的に施術しようか?という段階で、「天照ノア」の意識が飛んだ。
通常はすぐに戻ってくるのだが、今日はなかなか戻らない。「観察者ユリヤ」は冷静に対処していたが、私は、初めて見る現象で驚きまくっていた。
「護佐丸ジェイ」達も、さほど慌ててはいない。日常茶飯事の現象を見ているかのようであった。
今日は帰ろうという事になったのだが、「護佐丸ジェイ」は、この子は特殊なお役を持っているようだが、そのような人生がこの子にとって本当に幸せかどうか、よくよく考える必要があるとアドバイスしてくれた。
「観察者ユリヤ」によると、時空の狭間に入り込んでしまったようだ、との事。
マトリックスのトレインマンのいる世界のような感じらしい。
上から見ている存在達も何も出来ないらしい。
「天照ノア」は家に帰り、眠りについたあと、ケロッとして戻ってきたという。何が起きたのか覚えてないという。特に異常はないと聞き、ホッと胸を撫で下ろす私であった。
「観察者ユリヤ」は幼少期から、こういった現象に落ち入り、両親にも言えず、たった1人で克服してきたという。「天照ノア」も自力でコツを掴まねばならず、自転車の乗り方を学ぶようなものだという。
「観察者ユリヤ」の孤独な戦い。彼女の40数年間に想いを馳せ、胸が締め付けられる思いだった。
「虹乃龍ミサキ」も壮絶な体験を経てきており、「天照ノア」に自分の少女時代を投影しているようだ。「虹乃龍ミサキ」の専門分野である心理学カウンセリングを親子で受けてみるのも良いだろう、という事であった。何かの糸口になるという。
「天照ノア」のこの特性は、ある意味才能である。「観察者ユリヤ」や「虹乃龍ミサキ」の幼少期とくらべ、現在はスピリチュアル能力のある子供は、まだ認知されやすい時代であるとは思うが、普通の小学生とは違う生き方となるであろう少女に想いを馳せるのだった。
続く。