偉大なる建築家シナン
イスラム建築への関心からほどなくして、イスラム建築の天才と謳われる「シナン」にたどり着く。
1490年頃に生まれて1588年に亡くなるまでに400作品近くを残したとされている。自身の最高傑作がセリミーエ・ジャーミィらしい。
先日取り上げた東京ジャーミィはシナンの流れを汲むトルコの建築家が関与したようで、セリミーエ・ジャーミィの影響がはっきりと出ている。そして、東京ジャーミィは6角形であり、シナンもイスタンブールのソコルル・ジャーミィで6角形を実現している。6角形はめずらしいそうだ。
西洋建築史でいえば、パラーディオと同時代に生きた建築家である。パラーディオと交流があったと考えるとロマンがある。
日本建築史でいえば、信長の安土城あたりの時代。
シナンとパラーディオ。そして、西洋との交易がスタートしていた信長の耳にも、パラーディオとシナンという名前は伝わっていたかもしれない。
信長の命を受けた普請大名が、パラーディオとシナンの建築を視察に行き、安土城の構築のヒントを得た、というストーリーはハリウッド映画化してもいいくらいであろう。
さて、夢枕獏さんがシナンの小説を出している事を知り、キンドルで入手する。幾分創作部分もあるだろうが、面白いに違いない。
さて、イスラム建築は学生時代に世界建築史のなかでさらっと触れたくらいで、ほぼ学ぶ機会がなかった。西洋建築を主流とし、ジャポニズムの影響でモダニズムがうまれ、現代に至るという西洋中心の流れであった。
しかしながら、近代建築のヒーローであるコルビジェも、東方への旅を通して、イスラム建築の世界に触れたであろうし、安藤忠雄さんも、中東の建築から大きなヒントを得たとされている。
イスラム建築を考えるにあたり、イスラム教とはなにか、という事に考えが及び、現在のイスラエル、パレスチナ問題にも関心が向く。昨今、飲食店経営者からハラルメニューを導入するなどという話も耳にするようになった。
ともかく、この数日のイスラム建築マイブームは、もうしばらく続くだろう。シナンの最高傑作をトルコのエディルネにいつか見に行きたいなとの思いがつのるのであった。