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令和5年1月11日の昼飯


マルちゃん

本日、食したカップラーメンはこちら!

東洋水産
マルちゃん
「赤いきつねうどん」

だぁぁぁぁぁぁ!


赤いきつねうどん

早速! いただきます!
さぶい……さぶい……さぶすぎる……

心も体も、財布もさぶい……
正月明け、財布を見ると万札がない……
というか、紙幣がない……

やばい……年末年始、使いすぎた……
まぁ、仕方ない。
今までコロナで動けなかった分、一気に発散したもんな……
しかも、灯油もガソリンも電気代も値上がり!
食料品もかなり上昇。
金など残るわけがない……

残ったのは訳が分からぬオモチャの山ばかり……
なんでケロケロケロッピの被り物が二つもあるのよ♪

ということで今日は「万札」つながりのお話を!

①俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます 一部一章

「ギロッポン?」
 おいおい! ギロッポン、マジであったよ! あった!
 なんだ、六本木の事じゃなかったんだ。
 ネルさん間違えてるじゃん!
 って、本当にあるんかい!

「ギロッポン! それは伝説の調理人、源さんがいる屋台よ!」
 すでにビン子の目はキッラキラのキッラキラ!
「源さん?」
 一方、タカトはなにかつまらなそうな目をしている。
「源さんといえば、創作アート料理界のレジェンド! しかも、その料理をみんなに食べてほしいと店を構えず、世界を屋台で転々としているの。この屋台と出会えることがまさに奇跡の中の奇跡! あぁぁ、神様ぁぁぁぁ感謝します!」
 って、神様はお前だろうが! ビン子!

「やめろ! ビン子!」
 タカトは、いまにも屋台ののれんをくぐろうとするビン子を、すかさず止めた。
 というのもタカトたちは、超貧乏!
 こんな高級屋台で食事ができる程のお金を持っていない。
 それどころか、今のタカトのポケットの中には銅貨5枚50円しかないのだ。
 ……それが分かったうえで、店に入るとはどうかしている!
 しかし、振り返ったビン子の目は涙目。
「せめて……せめて……源さんの顔を見るだけ……いいでしょ……タカト……」
 そんなビン子を見たタカトは、何も言えなくなった。
 ――えぇぇい! どうにでもなれ!

「へい! らっしゃい!」
 のれんをくぐると、屋台を通して男の元気な声が二人の客を出迎えた。
「今日は、いいシースーの幼魚が入ってるよ!」
 えっ? シースー? シースーって寿司の事じゃないの?
 何言ってるんですか! 魚ですよ! 魚! そう、魚の名前!
 そこで、シーラカンスやシーラを想像したアナタは、魚博士の魚くん!
 だけど、違うんだなぁ~これが♪

 ということで、タカトは不思議そうに尋ねた。
「シースーって何?」
 その横でビン子があきれたような顔をしていた。
「えっ? タカト知らないの? シースーってのはね、深砂海《しんさかい》縦筋たてすじ露里ろり万札《まんさつ》エイのことよ」
 「万札ってなんだよ! 万札って! 大体、この国のお金は金貨とか銅貨だろうが!」
「タカト……何言っているの? 万札って言うのはお金の事じゃないわよ……」
「じゃぁ何だって言うんだよ」
「爺ちゃんの家の近くに、万命寺があるのしってる?」
「ああ…万命拳っていう拳法を使うっていう寺のことだろ」
「そうそう。そこのお札がね、肩こりによく効くのよ」
「肩こり?」
「意外と人気なのよ。その万札」
「もしかして……万命寺のお札で万札なのか?」
「うん、だから万札というだけあって、平べったいんだけど、深い砂の海の中にいてね、人前にめったに出てこない超!珍しい魔物のエイなのよ」
 えっ? 読者の皆さんは、露里がわからないって?
 もう! ロシアの里程の単位のことだよ。
 ちなみに一露里とは約1067メートル。
 だからとても大きなエイなのだ。
 でもって、今回捕まえたのは幼魚、大体、60センチぐらい?
 だから、その背中に走る縦筋も少々小さめ。
 でも、もっと巨大なものになると縦筋の数も増えるんだって。
 それのどこがシースーだって?
 深砂海のシ!
 縦筋のス!
 な! シースーだろ!

「お嬢ちゃん! シースーの事、良く知っているじゃねぇかい!」
 源さんが手拭いで皿を拭きながら嬉しそうにビン子に話しかけた。
「だって、シースーの初物は食べたら口の中の粘膜が破れて血を吐きだすぐらいに刺激が強いって言うじゃないですか。だから、私もいつか、使ってみたかったんですよね」
「おっ? お嬢ちゃんも、創作アート料理を作るくちなのかい?」
「ええ……少しだけですけど……」
 顔を真っ赤にして照れだすビン子。
 そんなビン子を見ながら、またもやタカトがそれとなく、いらないお節介を焼き出した。
「ビン子、『思いでぽろぽろほろにがパイパイ』があるだろ、あれ、見せてやれよ」
「嫌だよ……恥ずかしいから……」
「おっ! なんだい⁉ 創作アート料理を持っているのかい? なら一つ、あっしに見せてみなって!」
「……」
 タカトがビン子の二の腕をそれとなく小突いて催促している。
 それに急かされるかのように、しぶしぶ残ったパイを取り出した。
 源さんは、それを受け取るとまじまじと見つめた。
「お嬢ちゃん、これのことかい?」
 何も言わずにコクンとうなずくビン子。
 源さんは、クンクンとBカップのパイの匂いを嗅ぎはじめる。
 そして、パクっと一口。
 ――あっ! それはビン子の昼飯!
 とタカトが思った時には、既に源さんは『思いでぽろぽろほろにがパイパイ』を全て平らげていた。
「うーん、母のような優しい匂いにして、大胆かつパンチの効いた味付け。うっすらときいた塩味、後味に残るほろ苦さ……しかも、どうやら使っている食材は野草が中心ときたか……ウン、なかなか筋がいいと思うよ」
 って、この味でいいのかよ! と、タカトは内心思ったが、口にはしなかった。
「よし、パイをごちそうになったお礼だ。あっしの作ったメシでも食っていくかい?」
「ハイ!」
 すぐさまビン子は嬉しそうに返事をした。
 そんな二人の前に並べられたのはシースーの寿司!
 って、寿司、やっぱりあるじゃん!
 そんな寿司をビン子はつまむと、口の中に放り込んだ。
「おいしぃぃぃぃぃぃぃ!」
 どれどれ……
 タカトもまた寿司を一貫掴むと口の中に放り込んだ。
「いたぁぁぁぁぁぁぁい!」
 真っ赤になった口を押えて泣きながら屋台から飛び出していくタカト君。
 そんなタカトを見ながら源さんとビン子が笑っていた。
「まだ、お子ちゃまには早かったかな?」

 先ほどのシャワーの下でうんこずわりをしながら口を懸命に洗っているタカト。
 そんなタカトを見かねたヨークが乾パンを放り投げた。
「これでも食ってろ」
 シャワーから顔を上げたタカトは、右手でそれを受け取った。
「ヨークの兄ちゃん。サンキュー」
 よほど腹が減っていたのであろうか、速攻で乾パンにかじりつく。
「まずっ! よくこんなもの食えるな」
「あるだけ感謝しろよ!」

 タカトはヨークからもらった乾パンをほお張りながら、先ほど地面に落ちてつぶれたパイを丁寧に洗いだした。
 ――あぁ、まだ口の中がヒリヒリする……
 そして、洗い終わるや否や口の中に無理やり詰め込むのだ。
 ――あのシースーよりも、こっちの味の方がおいしいと思うんだけどな……
 いまや乾パンとパイパイが詰め込まれたタカトの頬はリスのようにパンパン。
 そんなタカトはおもむろに立ち上がると、ヨークに向かって歩きはじめた。
 そして、げっ歯類の可愛い仕草のように口の前で両手を合わせると、ヨークに対して懇願し始めたのだ。
「悪ヒ悪ヒ。ホころで、ヨークの兄ヒゃん魔装騎兵の装備を見ヘてくれないか?」

「おいおい、これでも俺、神民なんだぞ。その言い方は……まぁいいや」
 唖然としたヨークは、それでも、いやいやながらも魔血ユニットを見せだした。
「ここは俺のフィールド外だから神民スキルも発動出来なかった。だから、さっきは後れを取ったんだ」
 そして、聞きもしないのに言い訳を始めたのだ。

「これが第5世代か! すげー!」
 だが、そんな言い訳を全く何も聞いていないタカトであった。

 第107話 第一駐屯地(22) より

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