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令和6年12月18日の昼飯
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本日、食したカップラーメンはこちら!
明星庵
「天ぷらそば 大盛 」
コク旨だしの三段重ね
あとがけだし香る七味付き
だぁぁぁぁぁぁ!
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早速! いただきます!
末の娘がインフルにかかりました。
どうやら小学校でも大流行のようで、すでにいくつものクラスが学級閉鎖。
我が家もどうなることかと戦々恐々です。
という私も病み上がり。
悪寒は引いたのですが、咳とタンが止まりません。
しかも、白いタン。
緑や黄色といった細菌の侵入が疑われるようなものではないのですが……
1週間以上、一向に止まらない。
かといって、喉が痛いわけでもない。
タン止めの薬を飲んでいるのだが、薬が切れればまた戻る。
うーん。
どうしたものか?
もしかして、喉についたインフルとかを排出しているのだろうか?
そう考えれば、このタンもありがたいのであるが……
たぶん、違うような気がする……
ということで、今日は「白いタン」つながりのお話を。
融合国では、数か月に一度、道具コンテストが開かれるのである。
その会場となるのは第二の騎士の門前広場。
そんな広場には新たな道具を見ようと、融合国以外からも多くの人々が集まってくるのであった。
このコンテスト、一応、歴史がある由緒正しきものである。
そのため、参加できるのは神民以上。それ以外は神民学校に通う生徒か、騎士または神民から推薦状をもらったものに限られていた。
でもって、学校にも通っておらず、推薦状も持たない一般国民のタカトは当然に一度も参加できるわけがなかったのである。
そんな数日前の門前広場には大きめのステージが用意されていた。
ステージの上では、上半身裸に白いタンクトップだけをまといし男が司会者らしくシャウトをかましている最中だった。
鍛えられた筋肉によってピンと張りつめられたタンクトップ。見ているだけでも暑苦しい。
しかも、汗がにじむブ厚い胸板に書かれた文字が、大声を上げるたびに横に大きく伸び縮みしていた。
というか、なぜその文字が「尻魂《しりだま》」なのだろうか? 間違いなくアホである。
「さあ、優勝候補筆頭! タコ焼きプレート! 通常12個しか焼けないところ、なんと開血解放によって36個まで同時に焼けるようになった優れもの!」
そんな「尻魂」と書かれたタンクトップ男の横には、男の腰ほどの背丈の少々小さな少女が得意げにタコ焼きプレートを持ってはにかんでいた。
ダボダボの白衣の下からは神民学校中等部の制服が見えている。
ということは、一見、小学生のように見えていても、おそらくその中身は中校生なのだろう。
その幼顔は眼鏡をかけ真面目そうな雰囲気。
だが、どうやら身だしなみには全く興味がないようで、髪は少々ぼさぼさであった。
コイツからは、タカトと同じような技術系オタクの匂いがする……
そして、ステージの脇には難しそうな表情を浮かべた審査員たちが5人並んで座っていた。
えっ? このタコ焼きプレートの何がすごいのか全く分からない?
ちょっと考えてみてよ、12個しか焼けないプレートが36個も焼ける大きな鉄板に広がるんだよ!
凄くない?
まさに開血解放によって、鉄板の原子が増幅するんです。
もうね……物理原則なんて完全無視! って、まぁ、元からそんな原則など関係ありませんけどね。だって、ここは異世界、聖人世界! 何でもありですよ!
なに? そんな設定ダメだって?
なら、ビッグライトを持っているドラ〇もんをタコ焼き、いや、タコ殴りにしてから文句を言ってください!
尻魂タンクトップ男がさらに暑苦しいオーバーアクションで審査員たちに手を向けた。
「さぁ審査員の皆さん! 判定をよろしくお願いいたしまっす!」
一番左端の審査員が点数の書かれた丸い札を上げる。
10点!
どうやら、この審査、一人の持ち点が10点のようである。
ということは5人いるから満点は50点!
10点!
10点!
10点!
次々と並ぶ10の文字。
もしかして、これは満点なのかァァァァ?
0点!
「おーっと! 惜しいぃぃぃ!」
尻魂男が、わざとらしくオーバーに転がって悔しがっていた。
そう、いつも0点しか出さないこの審査員こそがクロトなのである。
18歳ぐらいとは思えないその落ち着いた容姿はまさにクールなイケメン。
セレスティーノがど派手なイケメンなら、クロトはインテリ風のイケメンなのである。この二人、すべてが正反対。
そんなクロトに困った表情を浮かべる尻魂男。
「しかし、どうして0点なのでしょう? クロト様! 見てください! ショックでこの子……えーっと、名前、何てったっけ?」
白衣を着た少女は、恨めしそうに尻魂男を睨み上げていた。
「ちゃんと覚えてください! スグル先生! ローバンです! ローバン!」
どうやら、この尻魂男の名前はスグルというらしい。
しかも、先生と呼ばれるように、本職は神民学校の教師なのだ。
「そうそう! ロバ! ロバがヒヒンって泣いてますよ! ヒヒンって!」
「ロバはヒヒンって鳴きません! ヒーホーヒーホーです! 大体、私、ロバじゃないですから! ローバンですから!」
ローバンと名乗る少女が、ダボダボの白衣をバタバタと鳥の羽のように震わせながら抵抗していた。
クロトがそんな尻魂男ことスグルからマイクを奪い取る。
「ローバンさん、いつも言っていますよね。道具作りのアイデアがなんたるかを」
……
急に静かになったローバンがタコ焼きプレートを持ったまま黙ってうなずいた。
「1の性能のものを融合加工によって2や3にしたのでは、それは同次元の強化でしかありません」
「はい……」
「1の性能のものをAやBにする。いうなれば、別次元に遷移させるのがアイデアです!」
説教されてうなだれるローバンを可哀そうに思ったのか、尻魂男が慌ててフォローに入った。
「そういわれましても、クロト様以上にそんなアイデアをポンポン出せる人なんてそうそういないですよ」
そう、クロトが作り出すものはどれも斬新であった。
コンビニの自動ドア。
そんな入り口に設置されるモーションセンサー。
タカトが着ているティシャツのプリント技術など、言い出したらきりがない。
この融合国、いや、この聖人世界はクロトのアイデアによって産業革命なみの変化が起こっていたのである。
「私以上の天才? いますよ……一人……」
まるでクロトは遠い過去を思い出すかのように、胸のポケットにしまった古いドライバーを取り出し懐かしそうに見つめていた。
「そう……まさに彼こそ、1の性能のものをHにまで昇華できる天才です」
第33話 いってきま~す(2) より