令和4年6月23日の昼飯
本日、食したカップラーメンはこちら!
東洋水産
マルちゃん
「ごつ盛り 塩焼きそば」
麺130g大盛
バジル入り特製スパイス入り
だぁぁぁぁぁぁ!
早速! いただきます!
そういえば、最近ソースの焼そば食べてないな……
やっぱり蒸し暑いせいなのかな。
あっさりとした塩焼きそばばかり食べているような。
ストックにはソース焼そばは何個あるのだが、やはり手が出ない。
不味いというわけではないのだが、無意識のうちに避けているような気がする。
塩辛いものを求めるときは塩辛いものを。
酸っぱさを求めるときは酸っぱいものを。
まぁ、体が求めるままにってことよね。
ということで、今日は「酸っぱさ」つながりのお話を
俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます【カク11+なろう40合計51万PV】ほのぼのスローライフを想像したあなた残念!コレは親を殺された少年と悲劇のヒロインたちの復讐物語…だと思う。
そんな古い大きなテーブルの上に一つだけ芋が置かれていた。
その芋から、うっすらと湯気が立ち上っている。
湯気と共に芋の甘い香りが部屋中に広がっていくようだ。
店の入口に背を向けた権蔵は一人テーブルにつき、その朝食のふかし芋を食べはじめていた。
不機嫌なビン子は、権蔵の対面に二枚の皿を並べた。
その様子は今だにタカトに馬鹿にされたことを根に持っているようである。
それに対して、こちらはわれかんせずのタカト君。
奥の台所からが湯気の立つ芋を両手でいき交いさせながら持って来た。
こいつはアホなのだろうか。
そんなに芋が熱いのであれば皿の上に置いて運べばいいものを、なんで素手で持ってくるのかな……
タカトは、ビン子が置いた皿に芋をポンと置くと、今度は自分の手に激しく息を吹きかけはじめた。
「あちぃぃぃ! ビン子ちゃん熱いよぉぉぉ」
わざとらしくビン子に泣きつくものの、ビン子はぷいっと横を向く。
そんなビン子はタカトが置いた芋を二つに切り分けると、自分の皿だけ持ってさっさと席に座ってしまった。
権蔵は目の前の二人の様子をちらりと伺った。
――今朝はかなり機嫌が悪いのぉ……ほんとに毎朝、毎朝こりずに……あのどアホがいらんことばかり言いよりおってからに……
はァとため息をつくと、仕方なさそうにタカトに命令した。
「タカト……今日は第六の門の守備隊に依頼された道具を届けに行ってくれ……」
「俺、道具作りで忙しいんだよね……爺ちゃんが行けば?」
ドン!
突然、権蔵の目の前の机が大きな音をたてた。
どうやら権蔵の怒りのスイッチが入ったようで、先ほどからタカトを睨み付けているではないか。
「このどアホ! 拾ってやったんじゃから、その分、黙って働け! お前には義理と言うものがないんか」
「へい、へい、分かりましたよ」
権蔵に怒鳴られることは毎朝の決まり事。
まぁ、つまらん上司の朝礼のようなものだ。
カエルの面にションベン状態のタカト君は全く驚くこともなく平然としていた。
だがそれよりも、まぶたに浮かんだ女性のことがよほど気になったらしく、いつもはそんなことを聞きはしないのに、今日に限って、なんとなく口に出してしまったのだ。
「じいちゃん。どこで俺を拾ったんだ?」
驚いたのは権蔵の方であった。
いつものタカトなら、「ごめん! ごめん! ネギラーメン! とんこつラーメンが食いたいよぉ~」などと茶化してくるのである。
当然、今日もそんな決まりきったやり取りが返ってくると思っていた。
だが、予想外の答えが返ってきたではあ~りませんか!
「どうしたんじゃ。急にしおらしくなりおって。風邪でも引いたか?」
そんな権蔵は、真っ先にタカトの体調を心配してしまったのである。
だが、ビン子は芋を静かにナイフで切りながらチャチャを入れた。
「バカは風邪をひきません」
それを聞くタカトは勢いよく椅子の上に立ちあがる。
「うるせい。こちとらこの国一の融合加工職人を目指す天才様よ」
そして、ドンとテーブルの上に右足を叩きつけると、前につきだした右腕で力強くガッツポーズをとっていた。
そんなタカトのガッツポーズのいただきでは、フォークに刺された芋がなんだか申し訳なさそうに湯気を立てているような気がした。
ビン子は、そんなタカトに目をやることもなく静かにフォークで芋を口に運んでいた。
「ごめん。馬鹿じゃなかった。アホな道具ばかり作っている、ただのアホだった」
だが、権蔵は違った。
目をギラリと光らせると自らのフォークをくるりと回し、次の瞬間、ドスンとタカトの足先に突き立てたのだ。
「このドアホが! 机の上に足を乗せるな!」
突き立てられたフォークがラテン音楽で使われる楽器のキハーダのように小気味のいい音をたてていた。
ビヨヨォォォォン!
それを見るタカトの顔色が一瞬で吹き飛んだ。
ヒィィィィィ!
というのも、そのフォークあと数ミリ近ければ、確実に足の指を貫いていたかもしれないのだ。
タカトは、まるでウツボに睨まれたタコのように口をすぼめ、岩陰に隠れるようにそそくさと足をおろした。
だが、これで引き下がったのでは自称天才様の気が済まない。
なんか、自分だけがボロ負けしたような気がするのだ。
そんなタカトは負け惜しみのように、目の前の芋にクレームをつけ始めた。
「爺ちゃん、今日も芋かよ! 肉食わせろよ! 肉! 俺は成長期だぞ!」
「贅沢を言うな……」
そう言う権蔵は、呆れながらテーブルの上に置かれた鍋をフォークの先でコンコンと叩いた。
「ホレ! 昨日、ビン子が作ったカレーが残っているじゃろうが、それを芋にかけて食っとれ!」
その鍋を見てタカトは一瞬うろたえた。
「昨日はビン子が食事当番だったのか……ということはカレーって……あの『電気ネズミのピカピカ中辛カレー』だよな……」
「ちゃんと肉も入ってるぞ」
意地悪そうに権蔵は笑みを浮かべている。
「肉って……あれ、ネズミじゃん! しかも、魔物の電気ネズミだし……こんなの食ったらボケモンのZ技を開発している任〇堂に怒鳴られるわい!」
それを聞くビン子、
「悪かったわね! 食材を買うお金がないんだから仕方ないじゃない!」
と怒鳴ると、いきなり鍋の蓋を開け「文句言わずに食べなさい!」と言わんばかりにタカトの芋の上にドバドバとカレーをかけはじめた。
だが、まだ鍋にはカレーが残っている。
ビン子は、すかさず権蔵の皿にもカレーをつごうとした。
だが、一瞬、権蔵の動きの方が早かった。
権蔵は、皿の上の芋をすかさず口の中に放り込むと、手を合わせてごちそうさまをしたのだ。
ちっ!
舌打つビン子。
手に持つオタマから『電気ネズミのピカピカ中辛カレー』が悔しそうに垂れ落ちていた。
そんな不貞腐れるビン子をなだめるかのように権蔵はゴマをすった。
「まぁ、森でとれる食材だけで作っとる訳じゃから、さすがにビン子は名コックじゃて!」
タカトは嫌そうに芋からカレーをよけながらツッコんだ。
「爺ちゃん……それ名コックじゃなくて、迷コック、いや迷惑コックだから!」
「なんですって!」
すかさず、ビン子はオタマに残っていたカレーをタカトの口の中へと突っ込む。
そんなタカトの口がモグモグと動いた。
もう、仕方なしに動くのだ。
いや、動くしかないのだ
だって、目の前では、怒り心頭のビン子さまが鬼のような睨みを利かしているのだ。
ここで食わんかったら確実にシバかれる!
モグ……モグ……もぐ
カレーを食らうタカトの口が、途端にタコの口のようにすぼまった。
「ス……ス……スっパぁぁぁあ!」
そう、口の中に何とも言えない酸っぱさが広がったのだ。
「キーーン!」
かと思うと、ミントのような香りが鼻の奥へと突き抜ける。
タカトはすでに鼻をつまんで後頭部を叩きまくっていた。
でもって、そんなタカトが急に天を仰いだ。
大きく見開かれた目と口から10万ボルトばりの叫び声が発せられたのだ。
「グぎがぁぁぁ! の・昇るトぉぉぉぉぉぉお!」
ビシッ!
「なんで博多弁やねん!」
ビン子のハリセンがすかさずタカトの後頭部にツッコんでいた。
それを見る権蔵。
――もう、ケンカは終わったようじゃの……
第5話 いつもの朝のはずだった(2) より