ITZYの新曲について
最近のITZYはセールスが一時期ほどではなく、批判も受けているらしい。
確かに初期のITZYは飛ぶ鳥を落とす勢いだった。BLACKPINK、TWICEが二大巨頭だったところ、爽やかに「私は私」というスタンスのITZYがきて、あっという間にチャートを席巻していった。
ただITZYが売れたことで「私は私」というアイドルが増えた。その結果「私は私」というコンセプトはありきたりになり、味付けの濃さで勝負みたいな世界になってきた。ルセラは真っ黒でunforgiven、アイドゥルは真っ赤でF***ing TOMBOYといった具合に。ビジュアルもパフォーマンスも尖ったライバルが沢山出てくると、ITZYが苦戦するのも仕方ない。
タイミングも不運だった。「WANNA BE」まで絶好調だったのに、そのあとすぐにコロナが始まってしまった。SNSも世相を反映したコンテンツで埋め尽くされ、コロナ以前のコンテンツはなんとなく"前時代のもの"になってしまった。オフラインのイベントを開けなかったせいでファンのロイヤリティを十分に高められなかったことも痛い。
総じて、ITZYは周辺環境に最もマイナスの影響を受けたグループだと思う。ITZYのチームが何かをしたわけではないし、これから変わるものでもない。
日本の音楽産業が最も盛り上がっていた90年代のJ-POPも、ビーイング系の時代は94年にパタっと終わって小室の時代が来たし、小室の時代も98年ぐらいにパタっと終わってビジュアル系が来たし、ビジュアル系の時代も00年ぐらいにパタっと終わった。セールスというのはそういうものなんだよね。それでも俺はZARDも安室さんもラルクも好きだし、セールスが振るわなくなってから出した曲にも好きなものがたくさんある。
話を戻すと、ITZYのセールスが落ちるのは自然の摂理だし、ここからどうにかできるものでもない。時代が決めることだから。
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それを踏まえて「CAKE」を改めて聴くと、とてもいい曲だと思う。
彗星の如くヒットチャートに現れたものの、激しい競争の中で成績は徐々に低迷し、プレッシャーと戦う日々。それでも自分のできることに集中して、"piece of cake"って乗り切っていこうって曲。今の大人なITZYに合っていると思う。
さっきJPOPのくだりで「セールスが振るわなくなってから出した曲にも好きなのがある」と書いたように、こういう曲こそファンに長く寄り添えるんじゃないかな。私は最強!みたいな曲はパーティーソングとしてはかっこいいし俺も好きだけど、長く人の心に寄り添う曲かというとそうではない。色んなものを抱えて葛藤しながら、それでも毎日過ごしていくのが現実で、CAKEはそんな日々の生活に溶け込んでいける曲だと思う。
個人的には今のITZYのまま、マイペースにいいパフォーマンスを見せてくれたら嬉しいです。
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