リモート退社・入場・オンボード体験記(後半)
緊急事態宣言中の東京で、5月1日に新会社へ転職してから4ヶ月がすぎて行った。リモート退職〜リモート入社のこの異例ずくめの怒涛の数ヶ月を振り返えって記録に残そうと思う。(後半)
>前半:退職編はこちら
プロローグ 内定したらコロナが来た
内定が決まったのは2月末だった。翌日自分の退職で一番迷惑をかけるだろう、自分の後継ポストの子を呼び出して辞意を伝えた。モツ鍋食べて、ハシゴして、夜中まで怒られた。まだ店はどこも賑わっていた。
AI系ベンダーの営業職から全く他業界のWEB&アプリサービスのプロダクトマネジメント職へ。我ながらに相変わらず攻めの転職だと思っていたけど、3度目の転職で、職種も久しぶりではあるが初めてではない。それに、上司や先輩も大変頼もしそうな人たち(これは働いてみて実際頼もしい人たちだった)ばかりだ。「こいつは久々にストレスのないキャッチアップができるんじゃないかしらん」そんなことをぼんやり思っていた。この時までは。
そいで、コロナウェーブが東京に来た。
Phase5 ノートPCが着宅する
前職の最終出社日は4月28日で、正式入社は5月1日からだったが、4月中に何度か有給を使用し、キャッチアップのため転職先のオフィスへお邪魔するこことにしていた。出社予定日の2日前、転職先の人事から転職先がコロナ対策のため、オフィスを全面封鎖し、全社リモート体制に入ったと連絡が入った。そして、記念すべき初出社日4月8日の午前中には、私は結局自宅にいて、代わりに自宅にMac Bookが届けられた。
Phase6 割と孤独なキャッチアップQuest
まず、Zoomで人事とのMTGがあり、入社オリエンが行われた。最低限必要なPCのセキュリティの設定や、リモート時の就業規則などだった記憶。人事も自宅からの接続、かつ、会社全体がリモート業務に移ったばかりでバタバタと不慣れな感じで、きっと他部署、当然自分の配属部署も多少なりともこんな感じだろうな、ということは容易に想像できた。聞けば、自部署に新人が入るのは1年ぶりのことらしい。オンボーディング資料というのも用意はされていなさそうであったし、上司はそれこそスケジュールが分刻みで詰め込まれた激務状態で、どう考えても時間を割くのは難しかろうな、という印象だった。
思ったことが3つ。
A:何をどこまでキャッチアップすればいいのか
B:何を見たらキャッチアップできるのか
C:困ったら誰にきけばいいのか
がさっぱり分からねえ。が、これが把握できればなんとかなる気がする。
私の入社questはこの3つを探すことからスタートした。
とりあえずAについて、会社と事業を知るために普通理解する必要があるだろう、と思うものを項目整理してリスト作った。
↓一部見せるとこんな感じ
ついでに、フルリモートでとにかく仲間や制度の事がうまく見えない分、アンテナ感度あげた方がいいやろ、と思って項目を足した
さらに、地味だけどやっといた方がいいセッティング系も追加。(Zoomの背景は大好きなグランブルーファンタジーのグランサイファーの背景にした!公式さん、配布まじありがとう!)
このTODOとキャッチアップの中でものすごくありがたかった、会社がやっておいてくれてくれたこととしては
①普段からほぼドキュメントが全てコンフルにまとまってた
②全社ミッションと戦略ロードマップ、各人のミッションが全社にフル公開される会社だったってこと
③業務上のコミュニケーションが常にSlackの各事業ぶのチャンネルでオープンに行われていて、チャンネルには誰でも参加できるルールで運用されていること
これのおかげで
●会社が今期何に注力しているのか、方向性と優先度がわかり
●で、今、どのPJTが進行中なのかがわかり
●PJTの内容はコンフルを見たらまぁまぁ、まとまっており
→TODOリスト消化のためのドキュメント探しもだいたいコンフルで済んだ
●そのプロジェクトに従事して目標持ってるのが誰か?がわかる
という良いことがあった
正直、これらは会社がコロナを意識して用意したものではないだろうから、日頃からの会社の文化が私のキャッチアップを救ってくれたことになる。ありがたや。
一方、困ったことも当然あって。このあたり↓
●そのコンフルの内容が最新かどうかちょっと怪しい
→仕様最新化の癖が作成者によってマチマチ
●どのチャンネルに入ればいいのか、というか、どのチャンネルが何を話す場なのか?がわからない
→全社で使う奴はわかるんだけど、部署ごと、業務に必要なラインナップがわからない
これは自分の後に入社する人のために取説作ったり、整備していこ〜、、、と思ったポイント。
また、リモートだから苦戦(今もたまに苦戦)することとしては、Zoom会議は皆が正面を向いて話すので、誰が誰に視線を送りながら話しているか?がわからないこと!うちの会社は特にニックネーム文化なため、Zoomでニックネームが飛び交い始めると結構新参者には辛い、、、リアルならこの辺り、話者が誰に視線を向けてるか?が感じられるのでキャッチアップできたりするんだけど。意外と人と名前を一致させるのが至難の技で、ニックネーム=Zoomの画像=本名の対応表を作って覚えてった。
こんな感じで、まずはTODOリストを頭から消化するのに数日専念させてもらうことにした。
。。。振り返って思うのが、TODOリストにして良かった。
知り合いがいない中でのリモートオンボーディングって思った以上に孤独で、、、。だんだんやってくうちに、会社に入ってる感が薄れて行って不安になった。このTODOリストの消化目標があったから「進捗してる感」を持って進んでいくことができた。「リストがdoneになっていくほど、自分はちゃんと会社にキャッチアップして溶け込んでいけている(はず....!)」そんなことを思いながら過ごしていた。
Phase7 実業務に勝るキャッチアップはない!
TODOリストをあらかた消化した頃に、実業務が発生した。ありがたかった。というのも会社の人との「喋る」コミュニケーションに大変飢えていた。Zoomの朝礼みたいなのに顔は出していたけど、それだけだと仲間のキャラや特性は掴みきれない。仲間とちゃんと関わっていくには一緒に何かミッションをこなしてみたいな、と思っていた。
後、やっぱり資料を読んだだけだと、自分ごととして内容が頭に入って来なくて「これは実際やって見ないとなんかよくわからないな〜」という項目もたくさん発生していた(そういうのは粘らずにさらっと読み飛ばすことにしていた)。
最初のミッションでもらったのは、自社プロダクトの調査に関するものだった。これは良かった!もちろん、これまでもプロダクトは触っていたけれども、着眼点を絞って、アウトプットを意識して眺めてみたことで、より理解も深まったし、新しい発見とインプットがあった。
また、何より「相談」や「報告」など、明確な目的を持って仲間と話せ、また、アウトプットにFBがもらえるのってのは、なんというか「ちゃんとチームの一員として仕事してる感」ってのが出てきて少しメンタルが安定した。
、、、後日談になるが、後で入ってきた後輩が各メンバーへ1on1を申し込んでるの見て「あああーー!なんて賢いのだ。。。私も最初にリモートだからこそ、こういうのをやれば良かった」と思った。リモートの時は特に自分からガンガン話しかけるきっかけを作って行った方がいい。マジで。
が、やっぱり「なんか業務のスピードが自分が思っている以上に上がんない、やりづらい、、、最初だからこんなもん?いやいや私の能力不足?」なんてモダモダしながらずっと仕事してた気がする。
転職のせいなのか、リモートのせいなのか、自分のせいなのか、なんかもうよくわかんない気持ちになってた。
ちなみに、余談になるがこの頃、自分にお守りのような一言がもらえる出来事があった。社長が自らやってくれる入社オリエンで「3ヶ月くらい成果出さなくていい」って言ってくれたこと。誤解なきように文脈を説明すると「新しく来た人が成果を出そうと焦ると、過去の自分の組織の自分の勝ちパターンにこだわりがち。そうするとこの組織の事情や特性を観察して見極める目を失って暴走してしまったりするから」(うろ覚え)という感じだったように思う。が、とにもかくにも、このセリフは衝撃的で、ありがたく、そんなこと偉い人から言われたの人生で初めてだったし、ものすごく気が楽になったのを覚えている。(社長、あのセリフ、覚えてるかなぁ、、、)で、私は3ヶ月間もやっとするたびにそのセリフを思い出して「焦らなくていいや」って、あのセリフにヨシヨシされながら、やってた。
もう3ヶ月過ぎちゃって、魔法が溶けちゃったけどな!!!
Phase8 雑談ができることがこんなに尊いとは。
そんなこんなで「業務」には徐々に慣れて行ったが「人」にまだだいぶ距離感を感じながら、そしてそれが何から生まれるものなのか?がぼんやりしたまま1ヶ月が経ったころ、自粛期間が明け、週に2度出社OKとなった。初めてリアルな仲間に会った。
そして、すぐに自分が抱えていた距離感の正体がわかった。「雑談」ができなかったこと!
普段意識してこなかったけど、自分が、ほうれんそう、より、ざっそうタイプなのと、人と何気ない意見交換からいろんなアイデアを吸収するタイプなんだと、リモートと出社を交互してみて改めて意識した。なので、出社のタイミングをチームメンバー全員で揃えてくれたことは大変ありがたかった。
圧倒的に仕事が楽になったし、ずっとメンバーとの距離も近くなって(私だけかもしれないけど)出社中に限らず、リモート中でもずっと話しかけ易くなった。
、、、これも後日談なんだけど、今、新しいチームメイトが入ってきて、日報を書いてくれてる。で、その日報の「その他」の欄で今日どんな人とどんなことがあったとか、自分の趣味の話とか書いてくれてるんだけどそれが、めっちゃ良いと思ってて。そこにコメントつけたりして、間接的な「雑談」ができてて。そんなに顔を合わせる回数は少ないのに、だいぶ仲良くなれた気がしている。そっかー。こういうのも工夫次第でできるもんだな、と思った。
Phase9 完全リモート期間を抜けて思うこと
完全にオンラインでオンボーディングしてみて、改めて、仕事をする上で今まで当たり前にあったコミュニケーションの方法とか、その効果について気ずかされることになった。また、それらの効果をもたらす要因や条件を言語化してみることによって、リモートであっても、同じ効果をもたらす工夫や仕組みを作って代替できる可能性も見えた。
自粛期間が開け、夏が来て、なんの因果か、マネージャーになった。
会社は新しく採用をかけていて、また、新しいメンバーが1人、また1人とチームへやってくる。以前の私のような完全オンラインボーディングってことはなくなったけど、半リモート状態は続いており、以前のような日々が帰ってくるのは程遠そうだ。
このコミュニケーションに足枷のある状態でいかにチーム力をだしていけるか?また、仲間にフェアな評価をしてあげられるか?が、目下マネージャーの端くれになった私の課題だ。
正直、リモートで良かったこともたくさんある。企画や集中作業は自宅の方が圧倒的に捗った感があるし、通勤時間がショートカットできるのは何にも代えがたい。
だから、きっと、上手くやれば半リモートで、それぞれの状態の良いところを活かすことで、フルリアル出社より良いチームの働き方ができるんだと思う。
これにて私のリモートオンボーディングの話は終了。この貴重な経験をより、多くのシーンに活かせるといいなと思う。