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各地で開催したライター・イン・レジデンス

はじめて開催した2015年のライター・イン・レジデンスでは、4名の募集枠に対して9名の応募があった。

twitterfacebookでの告知のみだったが、シェアしてくれた知人がいたりしていろいろな人に届いたようで、安心したのと同時に、千葉県といっても、都内から約2時間かかる片田舎での開催に、遠くからの応募もあって驚いた。

実際にライターインレジデンスを実施してみて一番楽しいのは、やはり参加者と顔を合わせて同じ時間を一緒に過ごすこと。
また、ぼくが考えた4日間のプログラム内容に参加者が一生懸命取り組むことのにも大いに刺激される。
さらに、ぼくのライター・イン・レジデンスを目ざとく見つけてくれるような人はかなりアンテナが立っていて、人としての魅力のある人が多い。そんな彼らからさまざまな情報を教えてもらったり、彼ら自身の取り組みから多くを学べるのもうれしいことだ。

こうやって始めたライター・イン・レジデンスだが、第1回目と第2回目を当時自宅のあったいすみ市で行い、第3回目をまだ夏の熱気の残る8月下旬に京都の古民家で開催した。

関西で開催した理由は、第1回目と第2回目の募集をしたときに関西や中部地方からの申し込みも多かったことと、外から人を招き地域を発信するということは、地域課題が注目される時代にあって、どこの地域にとっても必要なのではないかという仮説を思いついたこと。
そしてなにより、いつもとは別の場所で開催したときにどうなるのかという好奇心も大きかった。

募集を開始してみると「京都」や「古民家」という響きに魅せられたのか、定員の6倍の申し込みがあった。その中から、茨城県で地域情報を発信するwebライターをしている大学生、東京都で寺院を開かれたコワーキングスペースにしようと取り組むフリーランス、静岡県のある町役場商工観光課のエコツーリズム推進員、大阪府で絵や文章や翻訳などを生業とする傍らでシェアハウス作りもしている人、沖縄県の商店街に作ったコミュニティスペースの運営者という5名を選考した。

それまでのライター・イン・レジデンスと同様、3泊4日の3日目には実際に地域で活動している人に取材を行い、参加者たちはそれまでに身につけた学びを実践の中で発揮していく。
このときの取材対象者は、開催場所となった古民家を提供してくれた方にあらかじめお願いしておいた。

彼はライター・イン・レジデンスの取り組みに賛同してくれて古民家を提供してくれたほか、彼の京都仲間である気鋭のプロジェクトのメンバーらも招いてくれ、バーベキューをつつきながら彼らの地域での取り組みや課題についても伺ったりと、有意義な時間を共に過ごした。

そうした交流を通じて、地方に赴き、地方を発信していくライター・イン・レジデンスの可能性の広がりも新たに感じた。
地域で活動するプレイヤーと全国から集まった個性的な参加者らが交わり繋がることもとても刺激的だ。

ぎゅうぎゅうに詰め込んだプログラムとインプットの多い交流とで、自分も参加者も若干寝不足気味の4日間だが、ライター・イン・レジデンス『LOCAL WRITE』は、実は4日間では終わらない。

京都で開催した際は、参加者による取材原稿はwebマガジン「greenz.jp」や「reallocal」のご協力もあり、コンペ形式で掲載(どちらの媒体の原稿を書くかは参加者が選ぶ)できるようにしたため、原稿はぼくを通して各媒体に送られ、それぞれの媒体の編集者に掲載可能なレベルを満たしている原稿を選んでもらった。

選ばれた原稿は、ぼくからのチェックと媒体の担当編集者からのチェックが入り、参加者は原稿を再度磨いていく。つまり、“通常の原稿掲載の実践フロー”をそのまま行うという仕組みだ。

濃密な時間の中で最終的に選ばれweb上に公開された原稿は、その熱量を反映してか、多くの方に読まれ、地域の発信という役目も果たした。

2015年にスタートしたライター・イン・レジデンス『LOCAL WRITE』は、その後コロナ期間も経て、2024年の現在まで回を重ね、各地で開催してきた。プログラム内容をはじめ、参加費を頂く形にしたりと、開催するごとに試行錯誤と改善もおこない、ありがたいことに今も続けられている。

今後も柔軟に各地域での開催も行っていきたいと考えています。理想は、参加者と地域と自分自身という三者のあいだで、以下のようなスパイラルをうまく回していくこと。

・参加者→スキルを得て、発信することをライターとして活動する機会にできる。
・地域→①発信したいヒト、モノ、コトを広報できる。②外の人と地域とを繋げることで関係人口が生まれる。
・ぼく→まだ見ぬ地域や参加者と出会い、未来の書き手を育むことができる。

もしも「ぜひウチの地域で」という方がいらっしゃいましたら、一緒にその場所にぴったりのライター・イン・レジデンスを考えてみたいです。また、この時の開催のように、参加したい方による持込み企画もとてもうれしい。

次はどんな回になるだろうと妄想を膨らませつつ、まだ見ぬ方々や地域と出会える機会を楽しみにしています。


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