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2024年10月のSES業界レポート
みなさんこんにちは。先月に引き続き天気の話になってしまいますが、異例の暖かさ(暑さ?)が続きましたね。10月。自分が学生の頃は10月1日になると衣替えで冬服に切り替えていましたが、今年は10月初旬なんてまだ夏でしたものね。この記事を書いている11月初旬になってようやく秋めいてきました。この異例のお天気はいつまで続くのでしょうか。
そんなわけで、今月もお天気の話から入ってしまいましたが、10月のSES状況レポート、いきましょう。
10月のSES業界
分析対象件数
案件の有効分析対象件数:1309
要員の有効分析対象件数:1498
平均単価
案件単価平均:70.3万
要員単価平均:66.5万
案件と要員の単価平均差:3.8万
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2024年4月からの推移をFig.1に示しております。案件は7ヶ月安定して推移しているように見えます。また、要員は2024年8月に大きく平均を下げているものの9月以降66万円台に戻っているのが見てとれます。
Fig.2に、今月単月の、案件と要員の価格分布を示しています。単価60万円以下について、案件よりも要員の方が多いことがわかります。これは観測を始めてからずっと続いている傾向です。SES企業各社は、引き続き低価格帯エンジニアのマッチングに苦心しているものと思われます。
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平均年齢
続いて、提案エンジニア(要員)の平均年齢の推移です。大きな変動は見られませんが、若干平均年齢が上がっています。
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次に、各月ごとの年齢層(10歳区切り)別単価平均をプロットしたものがFig.4です。
40代>50代>30代>60代>20代
の順で単価が高くなっています。順序は直感と一致しますね。だいたいそんなところだろうなという感じ。Fig.2では60万円未満のエンジニアが余り気味と書きましたが、Fig.4と合わせて考えると、余り気味のエンジニアの大半は20代ということになっていそうです。
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スキル
スキルごとの様子を見ていきます。Fig.5は案件で要求されているスキルを出現頻度でランキングしたもの。Fig.6は要員で同様に並べたものです。
案件の方は、プログラミングスキルで見ると
Java > C > JavaScript > React > PHP > Python
インフラ系スキルだと
AWS > Linux > SQL > Oracle > ネットワーク > PostgresSQL
という順序。
要員の方は、プログラミングスキルで見ると
JavaScript > Java > PHP > Python > C#
インフラ系スキルだと
MySQL > Oracle > Linux > SQL > AWS > PostgresSQL
という順序です。
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スキルごとの単価分布
続いて、スキルごとの単価分布です。数が多いので、トップ3あたりをピックアップして見てみましょう。
開発系は、Java(Fig7,8)、C(Fig.9,10)、JavaScript(Fig.11,12)を取り上げます。それぞれのスキルについて、10月の単月分布に月毎推移を続けています。Javaは、今月に入って若干案件と要員の価格に開きがみえていますね。目立った開きではないですが、高価格帯の案件がやや多いようです。
Cは推移の方の平均で見るとわかるとおり、低価格帯レンジの要員が過剰になっており、それが平均を下げています。先にも述べた通り、低価格帯は20代が多く、20代だとスキルシートには現場経験はあまりかけず、学生時代に身につけたスキルを書くことが多いです。Cは学生のときに習うエンジニアが多いことから、この乖離が生じているのかもしれません。
JavaScriptは、平均価格で見ると均整が取れているように見えます。案件と人員にそれほど大きい差が見られません。
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続いて、インフラ系技術。トップ3に入っている、AWS(Fig.13,14)、Oracle(Fig.15,16)、ネットワーク(Fig.17,18)を取り上げます。
AWSは、以前からそうですが、案件と人員の間にかなり大きな開きがある状態が続いています。単月グラフを見てもわかる通り、低価格の要員がかなり余っている状況を作っています。この状況は前も指摘していますが、技術の人気に加え、学習しやすい、とっつきやすい環境があるということが多分に影響しているものと思われます。AWSを学んだのをきっかけに、他の技術も合わせて学び、AWSではないクラウド案件などに入るなど、別のマッチング戦略が必要です。
Oracleは比較的バランスが取れている感じですねどちらも70万前後の価格で長らく推移してきています。Oracleは一昔前は入門スキルの筆頭だったのですが、いい意味で枯れた技術になってきており、需給のバランスが取れているのでしょう。価格も中堅どころのエンジニアを示しています。
最後にネットワークですが、ネットワークは、平均推移を見ると、だいぶ需給に開きがあります。高単価案件が多く、要員の価格が追いついていない状況です。単月グラフでもその傾向がくっきりと現れています。
ネットワーク系やセキュリティ系は、他の領域よりもさらに「失敗できない」ことが多く、現場もリスクを避けるため、既にある程度のスキルと経験を持ったエンジニアを求めるのでしょう。また、ネットワーク系はネットワークのできるコンサル業務を求められるケースも多く、そうなると単価は高くなります。
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最後に
以上、2024年10月のSES業界をまとめてみました。今回データを見ていて特徴的だったのは、
1. 引き続き低価格帯の要員あまりが多い
2.特にAWSにその傾向が顕著に見られた
3.ネットワークはハイスキル現場が多く、現場余りが多い
ということでしょうか。
2については、先にも少し触れたとおり、AWSを習得してもそれだけで行ける低単価案件はなく、そうなるとAWSを習得するついでに他のスキルも身につけ(GCPとか)他の案件を狙うという方がよさそうです。先月書いたとおり、GCPの現場は余剰傾向にあり(ただし単価が高いですが)、そちらを攻略することを考えるというのも一つの手かもしれません。
3についても、今にはじまったことではなく、この傾向は長らく続いています。ネットワークだけではなく、他のスキルでも同様の傾向を示すものが多くあります。これは裏を返せば、「現場の要求に足るエンジニアが見つからない」ということの表れであり、この傾向が長く続いているということは、少なくともSES業界ではスキルの底上げが現場に届いていないということになります。
これ、どうしましょうね。私も前から言ってますが、SES企業一社の問題ではなく、各社が協力して技術力を上げる努力をしないといけないとは思うのですが、じゃあ何ができるかと言うとなかなか思いつかない。引き続き考えていきたいと思う一方、これを読んだ関係者の皆様にもぜひ考えていただきたいと思います。
もし「私も協力するから、一緒にSES業界の技術力を上げていこう!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ声をかけていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
というわけで、2024年10月のSES業界レポートでした。また次回!