「『ボス』編」最終局面! LINEの生活#21 仲間割れ
「ふぁああ!おはよう」
東は寝室のドアを開けて外に出た。テンヌキは起きているだろうか?
そして東はリビングのドアを開けた。テンヌキは起きていた。リビングの、いかにも豪華に見える机には、朝ご飯と思える絵文字があった。
「起きてたのか、テンヌキ」
「見たらわかるでしょ?」
東は椅子に座って、朝ごはんを頬張り始めた。
「準備できてるか?」
トーストを飲み込んで、東が聞いた。
「東、そのことでちょっと話があるんだけど」
「ん?どした?」
「東、君の作戦はあまりにも無防備だ!昨日あそこまでの事を起こして、そんな容易に侵入できるとでも思ってるのかい!?」
「なっ、お前、なんだよ急に!」
「昨日考え直してわかった。ことの重大さを...。これを見て、昨日の事...」
テンヌキは新聞を、東に見せた。
「新聞にも載ってるんだよ!!これがどういうことかわかるよね!?」
「!?」
東は目を見開いて驚いた。
テンヌキは、新聞をバン!と机に叩きつけて言った。
「こんな城代で潜入できる確率なんてほぼゼロ。こんなことになってたら、外に出ただけで殺される。......君は『ボス』になりたくないんだろう?」
「お前...どういうことだよ」
「このまま君が逃げたら、この世界の次の『ボス』がいなくなる。そうなるとこの世界は潰れていくんだ。『この世界を壊すつもりか?』まさに今の君がそうなんだよ」
「おいテンヌキ。お前の話で、悪いのは俺だってわかってる。けど、なんで...お前は人ごとみたいに言ってるんだよ...!?お前だって俺に協力してくれたじゃんか...」
「謝りに行った」
「は?」
「昨日の夜、『お』に謝りに行った」
「なんで...」
「大丈夫、君が今日屋敷に行くことは伝えてないよ」
「お前も来いよ!!」
「いやだ」
「来い!!」
「東!!」
少し低い声が響いた。「老」の声だ。
「んだよじじい!?」
「テンヌキと謝りに行ったのは本当じゃ」
「知らねえよそんなのどうでもいい!!!!!!」
「テンヌキは、何度も何度も考えて、この結論を出したんじゃ。受け止めてやってくれ」
「老」は宥めるように、東に言った。
「......勝手にしろよ」
東は銃を出し、窓に向かって撃った。
「東!?」
「俺は一人でも行く。もうお前みたいな裏切り者にはたよらねえ」
東はテンヌキと「老」に背を向けた。
「ちょっと待ちなよ東!」
テンヌキが呼び止める。
「僕の話を聞いてるの!?潜入するのは無理だって...」
「知るか」
東はドアを乱暴に閉めて、「ボス」の屋敷へ向かった。
外では、何も洗い流してくれないのに、いつまでも降り続く雨があった...
東が外に出てから。
「おじいさん、本当にこれで...いいんですか」
「ああ、君の演技は素晴らしかった。でも、嘘でも仲間...東を裏切るのは、嫌だっただろう」
「この世界のため...です。結果的には裏切ることにはなっていないので...これでいいんです、多分」
テンヌキの目には、涙があった。
「老」はテンヌキに言った。
「いい心構えじゃ。では、準備するかの」
「はい」
テンヌキは涙を拭いて、答えた。
続く