LINEの生活最終話 The Life Of LINE
LINEの生活ついに最終話!
本編↓
「ど、どうしたんだ!?」
「東さんの呼吸が...浅くなっています!」
「!?」
「い、急いで薬を!...おじいさん、お願いできますか」
「老」は、「東」の声を聞いても、動こうとはしなかった。
「...あんた、」
テンヌキが口を開いた。
「あんた、今の状況がわかってるんですか!?あんたの孫が今、死にかけているんですよ!?わかるだろ!?自分の罪を償おうとか、思わないのか!?あんたのせいで東が、死んでしまいますよ!?」
「わしには罪を償う資格など...」
「はあ!?あんた頭おかしいんですか!?」
「わしは...あいつが言うことを聞かなかったからやっただけじゃ...」
「はあ...」
テンヌキは大きなため息をついた。
「あんた、おじいちゃん失格ですね...」
「っ...!!」
「そんなんで東が喜ぶとでも思ってるんですか。馬鹿らしい」
「黙れ!」
「老」が椅子をバン!と叩いた。
「喜ばれるとは思っていない!!自分が死んで、天国に行けるとも思っていない!!ただ...わしはもう......東にあわせる顔がないのじゃ。自分の罪はもう償えない...。これだけのことをしてしまったのじゃから...どんなことをしても、償うことはできん...」
急にカーソルが喋り出した。
「東は...最低なやつですよ、自分にとって、都合の悪い奴は見捨てるような奴だ......けど、あんたが自分なりの方法で罪を償ったら、...東が、あいつが怒って、あんたを見捨てると思いますか!?」
「...」
「それはあんたが一番わかってるはずですよ」
「......東っ...」
「老」は目に涙を浮かべた。
「さあ、早く薬を」
「...わかった」
「老」は部屋を飛び出して、薬を取りに行った。
...あれ...俺は...
俺は目を開いた。ここは...おじいちゃんの屋敷...!「ボス」の部屋か...。
そういえば俺、おじいちゃんに撃たれて...弾が胸に当たって...死んだんじゃなかったのか?
じゃあ天国か...ここは...
「あっ!みんな、東が目を開いたぞおおおおお!!」
「「「「「「よっしゃあ!」」」」」」
ん...テンヌキの声...
「はっ!!」
「東、大丈夫!?」
「え?あ...一体、ここは...?」
「よかったあ...死んでなかった...!」
「て、テンヌキ、これはどういうことだよ!?」
「...実はね......」
.....................
「そんなことが...」
「でも...生きてて、ほんとによかった...!一事は、死んだかと...」
テンヌキが俺に抱きついてきた。
「すまんかった、湊太...わしは、薬を撮りに行ってやることしかできんかった...」
「いいっていいって!」
「な?怒らなかった」
カーソルがおじいちゃんの肩を叩く。
「...なあ、テンヌキ、この世界のシステムを変えるんだろ?」
「あっ。そうだ!」
テンヌキはおじいちゃんとしっかり向き合った。
「おじいさん、この世界の、『一斉処刑』のシステムをなくし、文字は、文字の寿命が尽きるまで生きていけるというシステムを、導入してもいいですか?」
「...ああ。では、民たちに伝えて来よう」
おじいちゃんは、部屋を出て行った。
するとすぐ、放送が聞こえてきた。
『これより、全てのLINEのシステムをなくす...「和樹」のスマホのあの初代「ボス」、「あ」様からの手紙を使い、「法律変更宣言」を行う!...この放送を聞いた者は、今から他のスマホのLINEの世界に行き、この放送の内容を伝えるのだ!!』
「あの手紙、まだ使えたんだな」
「制限とかないからね」
「じゃあこれで全部OKだな!」
俺は立ち上がって、帰ってきたおじいちゃんに言った。
「じゃあ、俺、帰るわ」
「......ああ。元気で」
「おじいちゃんも行くぞ」
俺はおじいちゃんの手を握った。
「...いや、わしはここに残って、『ボス』の使命を全うしたい」
「そんなに生きられんの?文字の寿命って3、4年じゃないの?」
「わしは特別じゃから。なんか寿命の日きても死なんかったし。人間の世界から来た奴は、人間の世界で全うする寿命で生きれるんじゃないのか?」
「そっか。...じゃあ」
俺は、テンヌキとおじいちゃんの手を握った。...あったかい...。
「二人とも、『ボス』の仕事、頑張れよ!」
「うん!」
「おう」
そして、俺はカーソルの手を握った。
「お前も、色々と、頑張れよ」
「おう!」
「おじいちゃん、通路、頼む」
「わかった」
おじいちゃんは自分が座っていた、大きな椅子をどかして、床を触った。すると、床が円の形にパカっと開いた。
「よし」
俺はその穴に入った。
「じゃあな、みんな、元気で!」
テンヌキ、カーソル、おじいちゃんが大きく手を振っているのが見えた。
これが、三日間の、「LINEの生活」の思い出だ。
「ふぐっ!」
気がつくと、あっという間に自分のアパートの部屋についていた。
「ぐっ!!!このっ!!!!!」
何故か、自分の下半身が、思うように動かない。慌てて下を見ると、...なんと、俺の下半身が、スマホのカメラの中に押し込まれていた!
「はっ?」
そうか、「戻れない」って、こういうことだったんだ...
バタン!
ドアが開けられた。
「ちょっとあんた!さっきからガサゴソガサゴソうるさいんだよ!!」
隣のおばちゃんだ。いつもこうやって、俺が少しでも大きな音を出すと、部屋に上がり込んでくる。(たまにちっこい音でも来ることがある。こいつは地獄耳だ)
「...っていうかあんた、何してんだよ...」
「!こ、これ、抜いてください!」
「いい大人が何やってんだい...」
そう言いながらも、おばちゃんは俺を引っこ抜いてくれた。さすが怪力おばちゃん。
「静かにしてくれよ!!」
おばちゃんはドアをバタン!と閉めた。
「お前のたてる音の方がうっさいんだよ...」
バタン!ドアがまた開いた。
「なんか言ったかい!?」
「い、いえ、何も...」
バタン!
地獄耳め...
二千二十一年、一月。俺は普段通りの生活を続けている。毎日毎日、朝、昼、晩、とSNS三昧だ。
...ただ、LINEを使うときは、いつも少しワクワクしている。
今日、急にテンヌキやカーソル、おじいちゃん、...「お」が、スマホから出てきたりしないかな、と、少し期待しながら、スマホの電源を入れた。
ピロン!通知が鳴った。
誰からだろう、と思い、アプリを開いた。
非通知{東、元気してるか? おじいちゃんより 8:15
非通知{人間の世界、楽しい? テンヌキよりぃ 8:16
非通知{このメッセージたち、見えてますか〜?LINE送る方法覚えたyo byカーソル 8:16
俺の目から、何故か涙が溢れた。
俺は、全てのはじまりの、この非通知のLINEに、文字を打ち込み、返信を送った。
LINEの生活 -完-
ご愛読、ありがとうございました!
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