LINEの生活#13 潜入①「ボス」の正体
今日の「仕事」は、結構長かった。まだ朝も早いからか、全く既読がつかず、東たちは、ずっと張り付いたままだった。
「なあ、東」
スマホに張り付いたまま、「お」が話しかける。
「どした?」
「俺、気付いたんだ」
「ナニヲ?」
「『ボス』の正体」
「!!」
「『ボス』は...」
ピロン!ピロン!ピロン!ピロン!
「----だ」
「は?」
通知音がたくさん鳴って、LINEの返信が来てしまい、「お」が言っていることが全く聞こえなかった。東たちは、フキダシから離れた。
東は「お」にもう一度「ボス」の正体を聞こうとしたが、「お」が「ボス」の正体をいう時だけ、何故か爆発が起きたり(もちろん遠くで)、品のない音楽が爆音で聞こえてきたりして、何度試しても、「お」から「ボス」の正体は聞き出せなかった。何度も東が聞いていると、「お」も流石に鬱陶しく
なったのか、それから一度も教えてくれなかった。
(もう、自分でなんとかするしか...)
東は途方に暮れた。もう、手がかりなんか...
「あったあ!!!!」
「なんだよ!?」
不機嫌そうな「お」が、東に言葉を返した。
「分かったんだ!『ボス』の正体!!」
東は、声を潜めて、「お」に言った。
「『ボス』は...」
東は、そいつの名前を言った。
「大正解」
久しぶりに、「お」がニコッと笑った。
家に戻った東と「お」は、「玉」の文字(自称『テンヌキ』)と共に、「ボス」の屋敷に潜入する準備をしていた。
この三つの文字(東と『お』とテンヌキ)は、「ボス」という、LINEの世界の王から逃れ、人間の世界へ逃げ出すための計画を立てていた。今目指しているのは、「ボス」の屋敷の「ボス」の部屋にある、「人間の世界とLINEの世界をつなぐ通路」だ。テンヌキ、という、「ボス」の秘書をしていた経験のある文字のナビゲーションにより、屋敷に潜入することになった。つまり、今は、その準備をしているのだ。
「よし、大体準備はできたな!」
「お」が明るい声で言った。
「そうだな」
すると、テンヌキが何かに気づいて言った。
「あ!大事なもの忘れてた!工場からもらってこなくちゃ!ちょっと、行ってくるね!」
「工場」とは、LINEの世界の文字や絵文字が作られる場所のことだ。
「おう」
がちゃっ!バタン!
......
「よし、テンヌキが戻ってくる前に、リュックの中確認しなくちゃ、」
「そうだな、あいつが戻ってくる前に...」
これは、少し前の二つの文字の会話。
「分かったぞ!!」
「何が?」
「『ボス』の正体!」
「ふうん?で?誰よ?」
「『ボス』は...テンヌキだ」
「なんでそう思った?」
「テンヌキは、ヒントをぶら下げていたんだ。とてつもなく簡単なヒントをな...。『テンヌキ』それは、つまり、『玉』の文字から点を抜いたらいいっていうことで、そうしたら...」
「『王』の文字になる!」
「そう!どうだ!正解か?!」
「...大正解」
「やったあ!!」
続く
なんと、「ボス」はテンヌキでした!
ですが、果たしてこれは、
本当なんでしょうか...!?
では、次回も、お楽しみに...
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