国境廃止<第一章> 第三話 「ただいま、世界。」
ふわふわと、体だけが浮いている。魂はどこに行ったんだ?
いや、これは体じゃないのかもしれない。
浮いているのは、未来に対する、漠然とした不安。
体も頭も心も。いじくり回された俺は、この先どうなるんだろう?
『バイバイ、国子』
目覚めたのは、無機質な目覚まし時計じゃなく、誰かの声だった。
温かく優しい、誰かの声。
硬い木のベッドから香る匂いは、なんだか落ち着く。
多分世界の能力っていうのは、「木」でできたもの(武器以外)ならなんでも作れるんだろう。
世界はもう起きているらしい