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25年前のあの日は忘れない
今日は1月17日。阪神淡路大震災が起きた日で、今年(2020年)25年目としてかなり地元での報道番組も力を入れて、「あの時のことは忘れない。風化させない。」と力を入れている。
25年前の私は、当時22歳。転職をして実家から遠い大阪市内のある会社で勤めていた。電車の乗り換えがあるので、いつも5時45分に起きるようにしていた。
あの日、起きようとする前に「ゴゴゴゴゴ」と遠くから地響きの音が聞こえた。「なんやろう?」と思った瞬間、縦にドンと揺れて次に横揺れがきた。
私は慌てて布団を被り「助けてー!怖いよ!きゃー!」と悲鳴をあげた。本棚の上に置いていたものは、全て落ちてきて、揺れが終わってから布団から出てみると、床は棚の上に置いていたものが散乱していた。
◇
当時まだ独身で、自宅から通勤していた。慌てて、テレビをつけると、阪神間で大きな地震があり、神戸や淡路島が大変なことになっていると報道がされていた。
通勤に使う電車はどこも全面運休。
発生から3時間後に上司から電話連絡があって、翌日まで女子社員は休んでよいとなった。
家族はみんな無事で、父は揺れていた時に廊下に置いていた棚が倒れそうになったのをおさえていた。母は台所で揺れを感じていたけれど、茫然と天井を眺め、今は亡き祖母は散歩から慌てて戻り「標識が揺れて怖かった」と、息を切らして戻ってきた。
◇
兄は当時すでに結婚していて、大阪市内のマンションから神戸にある会社本社で仕事をしていた。もちろん会社のビルで被害が出ていて、いくつかの階で潰れて倒壊しそうになっていたらしい。
兄夫婦は無事でも、会社で神戸に住んでいる人の安否がわからないからと、動ける男性社員でもって、手分けをして安否確認部隊が作られ、兄も捜索に参加した。
私の友人や会社の人で、神戸に住んでいた人は全員無事だったけれど、1週間連絡がとれなかった人はいて、会社に出てきた時に泣き崩れる人がほとんどだった。
発生当時、あの美しい神戸が一瞬にして壊れ焼けていき、家族が生き埋めになって「誰か助けて!声が聞こえるんよ!」と泣いている人、自宅やお店が燃えるのをどうしようもなく立ち尽くして泣いている人。映像を見て、心がとても痛んだ。
私の実家は大阪・南部だけれど、南部でも結構揺れて、父が会社の様子を見にいくと言って車で出ても、大阪市内へ向かう道すがら一部の地域で大きな被害はあり、会社には行けなかった。
◇
阪神淡路大震災の教訓から、耐震構造に関する法令や技術が変わっていき、神戸の景色は変わった。復興は進んでいったけれど、傷ついた神戸をみるまでに、2年間は行くことは控えた。
やっと行けるようになってから、もとに戻ったかというと、また違う神戸に生まれ変わったような感覚はあったと思う。
大震災から25年経過したということで、ひとつの区切りとして、地元放送局のABCテレビが地震の記憶アーカイブとして、下記のサイトで映像公開をしている。涙が出るかもしれないけれど、あの時の悲惨な記憶は忘れずに見て欲しい。
建物が倒壊もしくは全焼して、何もできずに目の前で家族を助けられなかった人の涙の映像。見ていて痛々しい。どうすれば、助けることができたのか?被害をどうすれば食い止められたのか?地震に対して、どう対応すればいいのかを考えてもらうようにしている。
◇
地震はある日突然やってくる。
ある日突然、いつも一緒にいた家族、友人、一緒に働いていた人、自分の家や財産などが一瞬で消えてしまう。
家族でひとり生き残って「生き地獄だ」という人はいた。25年間、悩みながら生きてきて「毎日、どう生きればいいのか?」と語る人もいた。
明日はどうなるかわからない。
まさしく、人間はどんなにお金を持っていようが、どんなに徳を積んでいようが、明日の我が身はわからない。だから、毎日を丁寧に生きていくことは非常に大切なのだ。
「あー、あの時の地震すごいなぁ」で済まさず、自分の命は、明日はどうなっているかわからない。「毎日その日生きていることが奇跡だ」ということは忘れずに、今日の大震災をわずれず、生きていこうと思う。
【追記】
大阪でも、地域で地震被害にバラツキがあり、被害が一切なかったところや、大きな被害が出た地域はある。当時、甚大な被害が出た地域があるのに、支援が回らなかった所もあることを付け加えておく。
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