素数を分母に持つ分数の和
$${p}$$は素数、$${m}$$,$${n}$$は正の整数で$${m\lt{n}}$$とする。$${m}$$と$${n}$$の間にあって、$${p}$$を分母とする既約分数の総和を求めよ。
(同志社大)
【前提】
公差$${d}$$の等差数列の初項を$${a}$$、末項を$${l}$$、項数を$${n}$$とするとき、その総和は、$${\frac{1}{2}(a+l)n}$$と表せる。項数$${n}$$が不明のときは、$${n=\frac{l-a}{d}+1}$$により求めることができる。$${1}$$を足しているのは、いわゆる「植木算」である。
【考察】
「$${p}$$を分母とする既約分数」とあるが、$${p}$$は素数なので、いわゆる"約分"はできないはず。ちょっと何言ってるのかわからないので、具体化して考えよう。
$$
(p,m,n)=(7,1,3)
$$
のときを考える。$${1}$$と$${3}$$の間にある$${7}$$を分母とする分数を列挙してみよう。
$$
\frac{8}{7},\frac{9}{7},\frac{10}{7},\frac{11}{7},\frac{12}{7},\frac{13}{7},\frac{14}{7},\frac{15}{7},\frac{16}{7},\frac{17}{7},\frac{18}{7},\frac{19}{7},\frac{20}{7}
$$
となる。予想通り、既約分数が並ぶのだが、$${\frac{14}{7}=2}$$だけは約分されて整数となる。つまり、条件を満たす数列は、
$$
\frac{8}{7},\frac{9}{7},\frac{10}{7},\frac{11}{7},\frac{12}{7},\frac{13}{7},\frac{15}{7},\frac{16}{7},\frac{17}{7},\frac{18}{7},\frac{19}{7},\frac{20}{7}
$$
となり、この等差数列もどきが考察の対象となることが分かった。$${2}$$つの等差数列を用意し、引き算すれば終了である。
【解答】
求める「既約分数の総和」を$${S}$$とする。さらに次の2つの等差級数$${S_{1},S_{2}}$$を考える。
$${S_{1}}$$の初項は$${m+\frac{1}{p}}$$、公差は$${\frac{1}{p}}$$、末項は$${n-\frac{1}{p}}$$であり、その項数は$${p\{n-\frac{1}{p}-(m+\frac{1}{p})\}+1=np-mp-1}$$である。また、$${S_{2}}$$の初項は$${m+1}$$、公差は$${1}$$、末項は$${n-1}$$であり、その項数は$${n-1-(m+1)+1=n-m-1}$$である。すなわち、
$$
S_{1}=\sum_{k=1}^{np-mp-1}{\frac{mp+k}{p}}\\S_{2}=\sum_{k=1}^{n-m-1}(m+k)
$$
である。このとき、$${S}$$は$${S_{1}}$$から$${S_{2}}$$を除外したものである。よって、
$$
S=S_{1}-S_{2}\\=\sum_{k=1}^{np-mp-1}{\frac{mp+k}{p}}-\sum_{k=1}^{n-m-1}(m+k)\\=\frac{1}{2}(m+\frac{1}{p}+n-\frac{1}{p})(np-mp-1)-\frac{1}{2}(m+1+n-1)(n-m-1)\\=\frac{1}{2}(n+m)(np-mp-1-n+m+1)\\=\frac{1}{2}(n+m)\{(n-m)p-(n-m)\}\\=\underline{\frac{1}{2}(n+m)(n-m)(p-1)}・・・[答]
$$
【検算】
$${(p,m,n)=(2,1,2)}$$で検算してみたい。
実地に計算すると、$${\frac{3}{2}}$$、得られた式に代入すると、$${\frac{1}{2}(2+1)(2-1)(2-1)=\frac{3}{2}}$$ となる。よさそうですね。
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