株式市場再編：プライム、スタンダード、グロース市場とは？

こんにちは！今回は、2022年4月4日に東京証券取引所（以下、東証）で行われた市場区分の再編について、徹底的に解説していきたいと思います。

市場区分の再編とは？

従来の東証の市場は、市場第一部・第二部、マザーズ、JASDAQの4つに分かれていました。しかし、これらの市場区分は、上場企業の多様化や投資家のニーズの変化に対応しきれなくなり、市場の活性化や国際競争力の向上を阻害する要因となっていました。

そこで、東証は「より魅力的な株式市場の創設」を目指し、市場区分の再編を実施しました。具体的には、従来の4つの市場区分をプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに再編しました。

各市場区分の詳細

1. プライム市場

• コンセプト: 最上位の市場区分であり、高いガバナンス水準と持続的な成長を重視する企業向けです。多くの投資家の関心を集める企業が上場しています。

• 上場基準:

  • 上場時価総額100億円以上

  • 流通株式比率35%以上

  • 流通株式数2,000万株以上

  • その他、詳細な基準あり

• 特徴:

  • 厳格な上場基準を満たす企業が上場しており、投資家の信頼性が高い。

  • 多くの機関投資家が投資対象とするため、流動性が高い。

  • 日本を代表する大企業が多く上場している。

• 主な上場企業: トヨタ自動車、ソニーグループ、NTTドコモなど

2. スタンダード市場

• コンセプト: 中堅企業向けの市場区分であり、適度な流動性とガバナンス水準を持つ企業向けです。プライム市場に次ぐ市場規模で、多様な業種の企業が上場しています。

• 上場基準:

  • 上場時価総額50億円以上

  • 流通株式比率25%以上

  • 流通株式数1,000万株以上

  • その他、詳細な基準あり

• 特徴:

  • プライム市場よりも上場基準が緩和されており、多様な企業が上場している。

  • 中堅企業の資金調達や成長を支援する役割を担う。

• 主な上場企業: 三菱食品、アコム、やまやなど

3. グロース市場

• コンセプト: 高い成長可能性を持つ新興企業向けの市場区分です。将来の成長が期待される企業が上場しています。

• 上場基準:

  • 上場時価総額5億円以上

  • 流通株式比率25%以上

  • 流通株式数100万株以上

  • その他、詳細な基準あり

• 特徴:

  • 最も上場基準が緩く、革新的な技術やビジネスモデルを持つ企業が上場している。

  • 成長性が期待される反面、リスクも高い。

• 主な上場企業: エクサウィザーズ、スカイマーク、フリーなど

市場区分の再編による影響

1. 投資家への影響

• 投資判断のしやすさ: 各市場のコンセプトが明確になり、投資判断がしやすくなりました。

• 投資家保護の強化: プライム市場の上場企業は、より高い水準のガバナンスや情報開示が求められるため、投資家保護が強化されました。

• 投資機会の拡大: グロース市場の創設により、成長性の高い新興企業への投資機会が拡大しました。

2. 企業への影響

• 成長戦略の明確化: 各市場のコンセプトに合った企業が上場することで、企業の成長戦略や投資家からの評価が明確になりました。

• 企業価値向上への意識向上: プライム市場の上場企業は、より高い水準の企業価値向上が求められるようになりました。

• 資金調達の円滑化: 各市場の特性に応じた資金調達手段を利用できるようになったことで、資金調達が円滑化しました。

3. 日本経済への影響

• 市場の活性化: 市場区分の再編により、市場全体の活性化が期待されます。

• 国際競争力の向上: 日本の株式市場の国際競争力が向上することで、海外からの投資を呼び込みやすくなります。

• 経済成長への貢献: 企業の成長を促進することで、日本経済の成長に貢献することが期待されます。

市場区分の移行スケジュール

今回の市場区分の再編では、上場企業は2022年4月4日に、 各市場区分に移行しました。

注意点

• 上記の上場基準は概要であり、実際にはさらに詳細な基準があります。

• 市場区分は、企業の状況に応じて変更されることがあります。

まとめ

今回の市場区分の再編は、日本の株式市場の活性化や国際競争力の向上を目指した重要な改革です。投資家にとっては投資判断がしやすくなる、企業にとっては成長戦略が明確になるなど、多くのメリットがあります。

今後も、東証の動向に注目し、より魅力的な株式市場の創設を期待したいと思います。

参考文献

• 日本取引所グループ: https://www.jpx.co.jp/