小説『配達員・夢路英介』8
この小説は尊敬する俳優・船越英一郎さんを思い浮かべて書き始めました。
それが主人公の夢路英介です。英介の英の字は勿論、船越さんからお借りしたものです。
皆さんも、登場人物を役者さんに実存する当てはめて読み進めて頂けたら楽しめる筈です。
ペナルティヒデ
「もしもし、お電話代わりました」
英介は受話器を耳にあてた。相変わらず社員達はインターネットで検索された爬虫類やら猛禽類に声を上げてはしゃいでいる。英介はその様子に空いている方の耳に掌を被せた。
「生き物はいける?」
電話の主は声が低く、落ち着いている…いや、落ち着いているというよりも、平坦な言い方で、まるで感情がないような印象を英介は受けた。
「はい、取り扱いはしておりますが、但し、その生き物の種類にもよりますが」
陽子が採れたての野菜を1種類ずつ吟味しては、英介に向かって口を「ちょうだい」の形にした。英介は黙って頷いた。陽子は嬉しそうに4種類の野菜をエコバッグに仕舞った。
「ちなみに、その生物ってなんでしょうか?」
「死んだ…犬」
「えっ…今…何て?」
英介は眉根を寄せた。
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