#2 偏屈なテーマほど愛したくなる話 【後】(テーマ:ホーリーナイツ)
はじめに
こんにちは、「ぱすてる」です
この記事は後編です。
前編をまだ見ていない方はそちらを先にご覧ください。
前編記事にて、「ホーリーナイツ」というテーマの特徴と、その強み・弱みについて語ってきた。
ここからは、「ホーリーナイツ」と相性の良いカードを探っていこう。
なお、前回記事に引き続き、「ドラゴン族・光属性・レベル7」ステータスのモンスターを「竜」と呼称させていただく。(文字数節約のため)
「相性の良さ」を探る
カードの相性というものは概ね、以下の要素から考えることができる。
種族、属性、レベル、ステータスが一致している
効果の系統が似ている
テーマ内外で有用なギミックを共有できる
各カードが「制約」にかからない、もしくは共通した「制約」を持っている
では、「ホーリーナイツ」にはどのような要素があるか考えてみよう。
「ドラゴン族・光属性・レベル7」を出力する
「天使族・光属性・レベル4」を展開する
下級の攻守合計が2500である
『自分モンスターを手札に戻す』ギミックを用いる
主要なカードが「制約」となるデメリット効果を持たない
大体こんなところだろうか。
「制約」を持たないことについては、採用するカード達を「ホーリーナイツ」カードの展開後に使用すれば一切関係ないため、「ホーリーナイツ」カードが手札にない時などを除けばわざわざ考える必要ないだろう。
ということで、上記要素のうち3点について詳しく考えていくことにする。
テーマの「味」⇒デッキコンセプト
テーマの持つ要素というものは、往々にして被ることがある。
例えば、「暗黒界」と「魔轟神」はどちらも『手札から捨てる・捨てられる』ことに注目したテーマである。しかし、「暗黒界」であれば『効果で捨てられる必要がある』『相手によって捨てられると追加効果がある』という要素があり、「魔轟神」であれば『捨てられた時であれば何時でも発動する』『シンクロ召喚ギミックがある』という要素がある。
同じ要素を持つテーマであっても、その些細な違いや特徴=テーマがもつ「味」というものを存分に考えてデッキを組んでいきたい。
誤解の無いように言っておくが、筆者はテーマの混在を否定しているわけではない。事実共通要素を持った「暗黒界」と「魔轟神」は「未開域」と手を組んで天下を取ったし、私自身混ぜ物デッキを多数組んでいる。
大事なのは、そのデッキがどういう軸(=自分が注目したテーマ・カードの「味」)のもと作られているかである。
注目する軸が変われば採用カードが変わり、戦略が変わる。
いちカードゲーマーとして、よくよく考えたいところだ。
「相性の良いカード」を探る
さて、ここまでで「相性の良さ」という概念とテーマの「味」という概念について考えてきた。
ここからは「ホーリーナイツ」にとって相性の良いカードを探っていこう。
「ホーリーナイツ」というテーマが持つ主な要素は先述した5種である。
これを踏まえて、遊戯王OCGの公式データベースから各種要素と相性の良いカードを探っていくことにする。
カード検索を掛けてみる
検索を掛けた分野は以下の通り。
「ドラゴン族」モンスター及び関連効果を持つカード→約900件
「天使族」モンスター及び関連効果を持つカードカード→約600件
「光属性」モンスター及び関連効果を持つカード→2000件以上
「レベル4」「レベル7」モンスター及び関連効果カード→2000件以上
攻守合計に着目するステータスを持つカード→僅少
『手札に戻す』ギミックと相性の良いカード→約500件
テキスト検索に関してはデメリット効果の部分やテーマ内の特定のカードを参照するための文面に語句が登場する場合もあるので、実際の数はもう少しばかり減る。
単純計算、約5000件のカード。筆者は、これらをすべて流し見していった。
正直ドラゴン族関連で1000件近いカードを眺めた時点で辞めたかったが。
カードの採用基準
カードを眺める中、採用基準として重要視していた点がある。それが以下2点である。
採用するカード自身にアクセス容易性があること
「ホーリーナイツ」の動きを阻害しない、かつ「ホーリーナイツ」の存在意義を消さないカードであること
前者は、ドロー系カード(いわゆる「壺」カードなど)や単体もしくは少数投入で強力なカード(「深淵の獣」など)よりは、カード自身にアクセスしやすいものや他カードへ展開を伸ばせるもの、そしてテーマに対しカードパワーが強すぎないものの方が私にとっての採用価値が高い、という話である。
例として《暗黒竜コラプサーペント》《輝白竜ワイバースター》は相互サーチが可能なレベル4であり、《ストライカー・ドラゴン》を経由することでリンク2の《天球の聖刻印》に繋げることができる。
①の妨害は勿論、②の効果は「ホーリーナイツ」の初動ができたものの「竜」が手札・場に存在しない時に引っ張ってこれるので大変便利である。
後者の理由についてだが、私は「ホーリーナイツ」デッキを組みたいと思って様々思考を巡らせている。
正直な話、天使族を展開するなら「代行者」ギミックを使えば楽だし、ドラゴン族の出力なら数多の上位テーマが存在する。しかし、『特定のカードを出すためのデッキ構築』ではなく『テーマ(の味)を生かすためのデッキ構築』を求めてPCとにらめっこしている筆者にとっては、他テーマにおんぶにだっこは好ましくないのだ。誰も味噌汁が薄味だからって顆粒コンソメを入れないよね、って話である。
採用しやすいカードたち
カード採用基準とデッキ構築論を偉そうに語ってしまった訳だが、閑話休題、筆者が気になった採用しやすいカードたちを見ていこう。
言わずと知れたセルフバウンスカードの1枚。
場の「竜」を手札に戻して出すのが一番お得。場のモンスターのレベルは大方4か7なので、レベル7か10のシンクロが狙える。
耐性持ちの《カオス・アンヘル―混沌の双翼―》を出しても面白いかも。
「CYBERSTORM ACCESS」で登場したスピリットモンスター。召喚権を自分で用意できるうえ、③の回収効果は《ホーリーナイツ・オルビタエル》の効果でリリースしても反応するため非常に相性が良い。
また、ランク4Xモンスターの素材としても優秀で、《荒魂》と一緒に「エクソシスター」デッキに採用されている印象も強いだろう。
「CHAOS IMPACT」で登場したドラゴン。①の効果で先述した《暗黒竜コラプサーペント》を自身をコストにしてサーチでき、そのまま自身を除外させて《天球の聖刻印》まで直結する。勿論コストの合計レベルを7にすれば「竜」もサーチできる。
また、コストにするドラゴンとサーチするドラゴンは同名でも良いので「竜」を捨てて同じ「竜」をサーチ、なんてことも一応できる。②の効果は使わない。
「DAWN OF MAJESTY」で登場の上級天使。緩い特殊召喚条件は「ホーリーナイツ」であれば簡単に達成でき、②の効果は通常召喚してしまった「ホーリーナイツ」を守備表示にしながら相手に干渉できる。
また、出力した「竜」とともにランク7を組むことも可能である。
「HISTORY ARCHIVE COLLECTION」収録の装備魔法。①の効果が優秀で、横並び展開に乏しい「ホーリーナイツ」を出しながら使い終わった「竜」を手札に回収でき、《ホーリーナイツ・オルビタエル》の効果を誘発できる。
②の効果は「ホーリーナイツ」には無縁だが、融合系ギミックとの面白い組み合わせ方が思いつけば適宜採用したいところ。
「遊戯王OCGストラクチャーズ」第4巻の付録で、光属性を出力する汎用サポートとして優秀である。加えて、墓地から素材を補充しながら蘇生できるので一度出せば2度以上おいしい可能性を秘めたモンスターである。
「ホーリーナイツ」を出すも良し、「竜」を直出しするも良し。
「DAWN OF MAJESTY」で登場したXモンスター。先述した同期の《守護天霊ロガエス》と「竜」を使ってX召喚することが専ら。素材にドラゴン族が自然と入るため効果が相手ターンでも打てるようになるのは地味ポイント。
・「カオス」モンスター(個別の紹介は割愛)
「PHOTON HYPERNOVA」で強化された、特殊召喚効果持ちの光・闇属性のモンスター群。この弾ではS召喚に焦点が当てられていたため、そちらを軸にする場合は採用を検討してもいいだろう。
ただし、EXデッキにS召喚の「制約」がつく点と、墓地リソースを消費する点には注意。前者はまだいいが、後者は「ホーリーナイツ」にとって若干の枷となる
・「ライゼオル」カード(個別の紹介は割愛)
「デッキビルドパック―クロスオーバー・ブレイカーズ―」で登場したランク4テーマ。登場して早々環境に顔を見せたのは記憶に新しい。
全員が緩い条件での特殊召喚テキストを持ち、横並びからランク4を多数出力できるテーマである。「ホーリーナイツ」では《天翔ける騎士》などに繋げれば展開にも絡めやすい。
ただ、「ライゼオル」自体のパワーが強すぎて「ホーリーナイツ」とのバランスが悪い点とEXデッキにランク4の「制約」がかかる。
筆者は登場後少しだけ「ライゼオル+ホーリーナイツ」の構築を模索・使用していたが「ライゼオル」が強すぎたので解雇した。
相性の良いテーマって…??
さてさて、ここまで相性の良いカードをいくつか見てきたが、言ってしまえば単発のカードたち。EXデッキはさておき素引きしなければ活用するのは難しい。
何か、テーマ単位ぐらいで纏まって使い勝手の良いカードはないだろうか…
更に言えば、「ホーリーナイツ」の味である『「竜」を手札と場でサイクルさせる』が噛み合うとよいのだが、そんなカードあるだろうか…
あ っ た
選ばれたのは「○○」でした
「粛声」は「PHANTOM NIGHTMARE」にて登場した、古のモンスター《ローガーディアン》およびドラゴン族・光属性儀式モンスター2種を含めカテゴリー化し、新たなる戦術へと昇華させたテーマである。
その強さから環境へも顔を見せ、強テーマたちと渡り合っている。らしい。
(筆者は全くCSなどに出ないのでSNSを見ての肌感である)
「竜」ステータスでありながら、自ら手札に戻りつつ後続となる儀式モンスターを呼び出せる「粛声」のお爺さん。
①の効果はさておき、あまりにも「ホーリーナイツ」と組み合わせるのに好条件と言わざるを得ないステータスと効果を持ち合わせている。
さらに、後続として呼び出せる儀式モンスターは主に「粛声」モンスターが該当するが、注目したいのは《古聖戴サウラヴィス》だ。
こちらも「竜」ステータスでありながら自ら手札に戻る無効妨害と、手札から捨てて使える無効妨害を持っている。
《聖夜に煌めく竜》をはじめとする効果モンスターと違い「ホーリーナイツ」カードでサポートできない儀式モンスターの出力だが、このカードは場に出ずとも役割を作れるカードとしてとても優秀なのである。
さて、聡明な読者諸君の中には「結局環境カードに頼ってんじゃん」「強いカード入れたくないとか言っといてこれかよ」と思っている人もいるだろう。
しかし、この2枚をよく見てほしい。この2枚は
「粛声」カードとしての固有機能を持たず、「ホーリーナイツ」カードでサポートすることができるカード
なのである。
「粛声」の登場前から存在し、元々テーマカードではなかった《古聖戴サウラヴィス》は勿論、《粛声の竜賢聖サウラヴィス》も必ずしも「粛声」カードでのサポート・展開を必要としていないのだ。
これによって、「竜」以外の「粛声」カードは採用を控えめにしながら「ホーリーナイツ」テーマの「味」を活かせるのではないだろうか。
デッキレシピ紹介
最後に、筆者が現在使用しているデッキ「粛聖」の紹介である。
内訳は以下の通り。
「ホーリーナイツ」関連カード:19枚
「粛声」カード:14枚
その他採用カード:12枚
EXデッキ必須枠:10~11枚
自由枠:EXデッキ4~5枚
《粛声なる守護者ローガーディアン》は採用を見送ったり《粛声の祈り手ロー》の採用枚数を1枚、あるいは強気の0枚採用にしたりしても良いだろう。
個人の選好による部分なのだが、《粛声の祈り手ロー》は正規召喚する際のコストとして優秀である点、《粛声なる守護者ローガーディアン》はすべての「粛声」カードにアクセスできる点を評価して採用している。
その分「粛声」ギミックが潤滑でないと効果を使いにくい《粛声なる竜神サフィラ》やサーチと妨害を兼ね備えた《粛声なる威光》は採用していない。
既紹介カードの採用枚数とその理由
・《煌めく聖夜》(フィールド魔法)と《聖なる降誕》(永続魔法)
《煌めく聖夜》の追加召喚権を代替できるカードはないが、《聖なる降誕》は①のサーチ効果を《聖なる篝火》《粛声なる結界》で、②の特殊召喚効果を《聖なる降臨》《粛声の竜賢聖サウラヴィス》で代替できるため、枚数をそれぞれ調整している。
・《粛声なる祈り》と《粛声の竜賢姫サフィラ》
儀式魔法は基本使わないので、《粛声の竜賢聖サウラヴィス》の①の効果を起動するためだけに採用。《粛声の竜賢姫サフィラ》は儀式魔法を繰り返し墓地に叩き落とすためと、手札から捨てた《古聖戴サウラヴィス》を墓地から拾って再利用するため、序盤で《粛声なる守護者ローガーディアン》を儀式召喚するために2枚採用。
・《暗黒竜コラプサーペント》と《輝白竜ワイバースター》
いわゆる「ワイコラ」「コラプワイバー」とよばれるセットは、デッキのモンスターがほぼ光属性である点、《天球の聖刻印》ギミックは1回しか使用しない想定である点、デッキ枚数の兼ね合いから「コラプ3、ワイバー1」の採用としている。《輝光竜セイファート》も含め採用枚数の増減は個人の選好。
・《守護天霊ロガエス》と《花氷麗月》
ピン差しだと採用する意味が薄いし、かといって引きすぎも困るし…で各2枚採用。正直これも好み。
・《幸魂》と《A・ジェネクス・バードマン》
デッキの方向性が「粛声」儀式側に固まり、デッキスロットの余裕がなくなったので不採用に。
また、《幸魂》は棒立ちが目立つこと、《A・ジェネクス・バードマン》はS召喚に伴う盤面の要求値の高さがそれぞれ不採用を後押しした。
未紹介のカードたち
「ホーリーナイツ」「粛声」どちらの展開にも直接は絡まないが、デッキパワーの底上げやサポートのため採用したカードたちである。
便利なランク4X枠。「ホーリーナイツ」では処理しきれない高打点モンスターを処理できる。
素材を2つ一気に取り除くため、「ホーリーナイツ」の墓地効果をすぐ発揮できる点と、後述する「アーマード・エクシーズ」カード群と相性が良いため採用。
「アーマード・エクシーズ」系Xモンスター群。
《FA—ダーク・ナイト・ランサー》はランク4Xから重ねて出す裏エース。自身の効果で打点が基本3000以上になり戦闘に強いことに加え、対象を取らない相手モンスター除去はこのデッキでは「ホーリーナイツ」「粛声」どちらにもできない点である。
《エクシーズ・アーマー・フォートレス》はサーチ効果、《FA―クリスタル・ゼロ・ランサー》は無効妨害と、経由するXモンスターたちも強力な効果を持っている。
《エクシーズ・アーマー・フォートレス》のX素材を剥ぐために採用。
元々汎用ランク4の《クロノダイバー・リダン》を想定して採用していたため取り除く素材は効果で増やす(相手デッキトップから奪う)1枚のみだったが、効果の博打性と場を離れる不安定さから別のランク4を使う機会が増えた。
その分X素材の残った状態で《エクシーズ・アーマーフォートレス》をX召喚することになるため採用種類を増やして対応した。
場で残ってしまった《粛声の祈り手ロー》の変換用。
0採用なら自由枠でいい。
リンク黎明期の属性サポートリンク。
棒立ちの《粛声の祈り手ロー》や「ホーリーナイツ」を変換する。
打点上昇効果は地味ながらありがたい。
②の回収効果も、《暗黒竜コラプサーペント》以外の全てのメインモンスターが回収可能である。
自由枠
ここに関しては現状、私が好きで突っ込んでいるだけ。
デッキを真似する際は個人の選好にお任せします枠。
《天霆號(ネガロギア)アーゼウス》《厄災の星(ロギアステラ)ティ・フォン》
Xモンスター使うしとりあえず突っ込んどけ的採用。
《厄災の星ティ・フォン》については《フル・アーマード・エクシーズ》の①効果で相手ターンに妨害として出すことを想定している。
《No.76 諧調光師グラディエール》
《黒熔龍騎ヴォルニゲシュ》と同じ枠の採用。
使ったことはあまりない。でもかっこいいから許す。
《深淵に潜む者》
汎用ランク4。以上。
《S:Pリトルナイト》
便利なリンク2兼ランク4Xの棒立ちを防ぐ用。箱買ったら出たので採用。
さいごに
ここまで前後編合わせて約25,000字、お付き合いいただきましてありがとうございました。
不定期ではありますが、今後も自身の気になるカードや組んでいるデッキ、考えたコンボなどをご紹介できればと思います。
今後とも何卒宜しくお願い致します。