#3 新規が来なくても奮闘している話【前】(テーマ:Kozmo)
遊戯王を愛するみなさん、こんにちは。
初めましての方は初めまして。
「スター・ウォーズ」観たことない、『ぱすてる』でございます。
今日は登場から一生新規の来ないことでおなじみ「Kozmo」について考えていきます。
※ 当記事には個人の見解が含まれます。ご容赦ください。
※ 文章の推敲は努めて行っておりますが、誤字脱字等がある可能性もございます。それでもよければゆっくりしていってね。
↓前回取り上げたテーマはこちら
テーマの紹介
「Kozmo」は、2016年9月発売の「EXTRA PACK 2016」にて登場した、海外産テーマである。
(発売から約8年も経つことに驚きを禁じ得ない)
属するモンスターはすべて光・闇属性であり、レベル1~5の下級はサイキック族、レベル5~10の上級は機械族でそれぞれ統一されている。
カードのイラストは、機械の発達した近未来をイメージしたもののように見える。
モンスターのデザインはサイエンス・フィクション調であり、とりわけ『スター・ウォーズ』の世界観に強く影響を受けている、と思われる。
光属性が主人公・味方側のモンスター、闇属性は敵側のモンスターと分かりやすい二分化がされており、サイキック族であるヒト型のキャラクターが機械族である宇宙船に乗り込み、銀河を股にかけた戦争を行っている…というイメージだろうか。
(雰囲気)
また、海外公式の解説などから『オズの魔法使い』も世界観の下地に含まれている、と考えられている。
2016年の登場から一度も日本・海外ともに新規カードが出ておらず、12期を迎えた今もなお、純テーマデッキとしてのパワーは9期に取り残されたままである。
登場以降新規が来ないテーマ群はいくつも存在するが、こと「Kozmo」に関してはその理由が話題になることもある。
想定される理由として、このテーマの世界観が元ネタである『スター・ウォーズ』のデザインとあまりにも酷似しており、ディズニー/ルーカスフィルムが持つ権利関係の問題ではないか、と囁かれている。
カード解説
新規が来ない~と嘆いてはいるものの、実は「Kozmo」カード、テーマとしてはかなり枚数のある方なのだ。
その数なんと20枚。(モンスター16枚、魔法2枚、罠2枚)
さらに、サイキック族と機械族でそれぞれ共通した効果を持っているため、カードごとの情報を整理するのは結構簡単だったりする。
サイキック族「Kozmo」
サイキック族「Kozmo」モンスターは全8種。
以下の効果が共通で搭載されている。
この効果は、先述した世界観における「宇宙船に乗り込む」要素を表現したかったのでは、と個人的に感じている。
いわゆるフリーチェーン効果のため、効果の対象から逃れたり、いきなり上級を展開して相手にプレッシャーを与える戦法が可能。
なおこの効果は名称ターン1のため、同名が複数枚並んでいると1体しか逃げられないので注意。
※「このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない」のこと。
②の効果は、LPを支払ってアドバンテージを得る、古のサイキック族をリスペクトしたものとなっている。
こちらは名称指定ではないので、複数体出したり一度場を離れさせたりすると再度発動できる。
強いカードを一部抜粋して紹介しよう。
ランダムサーチ効果持ち。だが、よく見るパターンのランダムサーチと異なり、選ばれなかったカードが墓地に落ちているため、何を手札に加えたのか相手にバレるという欠陥を抱えている。
攻守0だが、自身が最小のレベルを持つため、自身以外の全「Kozmo」に変化できるので、盤面防御力は見かけより高い。
サーチ持ちその2。先述の《Kozmo―フェルブラン》に比べ条件が限定的だが確実なサーチが可能。
上級「Kozmo」と合わせてバトルフェイズに一瞬で相手LPを刈り取ることが可能。(後述)
さて、サーチ効果を持つモンスターを2種類紹介したが、実は「Kozmo」カードを能動的にサーチできるカードはこの2種類しか存在しない。
そのサーチ手段も安定性に乏しいということが見て取れると思うので、このテーマの不安定さを早くも感じていただけただろう。
サイキック族唯一の上級。モンスター効果を止められるが、支払うLPが重いので使い所を見極める必要がある。
他サイキック族「Kozmo」とは異なる欠点として、優秀なレベル5機械族「Kozmo」(後述)を唯一特殊召喚できない。
その他カードも、ざっとまとめるとこんな感じ。(レベル低い順)
詳細が気になる人は公式DBにて「Kozmo」で検索してほしい。
機械族「Kozmo」
全8種。ほとんどのモンスターが共通で下記の効果を持つ。
この効果はターン1の制約がないうえ、自分のカードの効果で破壊しても発動できるため複数回破壊するとその分盤面アドバンテージを多く得られる。
各モンスターの固有効果も名称指定のターン1がついていないため、複数回場に出力し、効果の起動を狙う戦い方もできるだろう。
また、レベル7以上の4種はオマケ効果として相手からの対象耐性を持っている。
有用なモンスターを抜粋して紹介しよう。
通常召喚も狙いやすい、使い勝手の良い1枚。破壊効果は勿論、2枚盤面にいれば《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》から《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》も狙える。
ステータス・効果ともに優秀な1枚。①の効果は相手に対しては勿論、自身含む機械族「Kozmo」に対して発動しても有用だろう。③効果でのリクルートには、機械族・サイキック族含めほぼ全ての「Kozmo」が対応しているためこのカードを積極的に破壊して展開したい。
高いステータスと、魔法・罠に対してそれぞれ無効効果をもつ最上級モンスター。
この2種に関しては、破壊されると自身より低いレベルの「Kozmo」をサーチする効果を持つ。リクルートはしないので注意。
また、《Kozmo―ダークプラネット》は重い召喚条件のため、お守り採用するか否かぐらいだと筆者は考えている。カッコいいんだけどね。
その他のカードも含めて紹介すると以下の通り。
「Kozmo」魔法・罠
魔法2種、罠2種の全4種。
構築と選好によって採用枚数が大きく変わるカードたちである。
全種軽く見てみよう。
サポートに徹したフィールド魔法。テーマの性質上除外状態で溜まりやすい「Kozmo」モンスターを回収できる。②の手札リロード効果も、複数枚セットで動く前提のテーマのサポートとして優秀であり、破壊されればサーチもできる。
12期の現代と比べれは見劣りするが、それでも充分強い。
サイキック族「Kozmo」専用装備。戦闘に対して有利になれる効果であり、とりわけ《Kozmo―ドロッセル》に装備すれば『攻撃力2300&守備貫通&2回攻撃』によって一度に2枚のサーチも難しくないだろう。
装備モンスターが自身の効果で除外状態となり、このカードが装備から剥がれても回収できる②効果も、コストは重いがテーマとよく噛みあっているといえるだろう。
個人的「Kozmo」最強カード。
対象をとらない除外が強力で、一見デメリットに見える「Kozmo」モンスターの破壊も、機械族「Kozmo」であれば後続や更なる妨害を見込める。
①の効果はおそらくテーマの世界観に沿っており、宇宙戦争(=「Kozmo」ミラー戦)において機械族「Kozmo」の共通効果のトリガーである「破壊され墓地へ送られた場合」を発動させないようにするためのものと考えられる。
②の効果は、サイキック族「Kozmo」のコストで削られていくLPを回復する手段となりうる。
正直、一番微妙。使いどころに困る。世界観に沿っている代わりに強さを失った感じ。
「Kozmo」の強さと弱さ
強さ
「Kozmo」の強さとして、そのテーマデザインから「ワンキル性能が比較的高い点」が挙げられるだろう。
サイキック族「Kozmo」の攻撃後に自身を除外して手札からより強い「Kozmo」を出すことで連続攻撃が可能であり、とりわけ《Kozmo―ドロッセル》は戦闘ダメージを与えた自身をそのまま除外して、自身の効果でサーチした上級「Kozmo」を出力できるため大ダメージを期待できる。
昨今話題の天盃龍には劣るが、8000ダメージを引き出すことも難しくない。
次に、「テーマに沿った強いサポートカードを積める点」も挙げられる。
これは「Kozmo」に限った話ではないが、デメリット効果を持たず、サイキック族と機械族の二つの面を併せ持つテーマならではな部分が存在する。
サイキック族を指定するサポートカードには強力な速攻魔法《緊急テレポート》が存在する。
エンドフェイズに除外されるデメリットも、自身の効果で「Kozmo」を出力しておけば大して問題ない。
サーチ効果持ちの《Kozmo―フェルブラン》については《ワン・フォー・ワン》で出しても良い。
LPを払うカードについては《念動増幅装置》や《脳開発研究所》あたりを使って踏み倒すのも面白いだろう。
ただ、《念動増幅装置》は「Kozmo」の除外によって墓地に行ったあとの再利用、《脳開発研究所》は《Kozmo―エメラルドポリス》との兼ね合い・デメリットのライフ減少が難しいところである。
次に機械族としての面を見てみると、こちらもまた強力な速攻魔法である《リミッター解除》が存在する。
ご存じ脳筋生産カード。
速攻魔法ゆえに奇襲性が高く、ワンキル性能に磨きがかかる。さらにエンドフェイズの破壊デメリットも効果で別の「Kozmo」をリクルートできるため、盤面をがら空きにして相手ターンを迎えることは基本的にない。サイキック族「Kozmo」をリクルートすれば相手ターンに上級を出力する下準備にもできるだろう。
弱さ
これまで書いてきた情報からだと、継戦能力の高さやターン1のない各種効果から一見強力なテーマであるように見える。
相性の良い強力な汎用カードがあることも事実だ。
しかし、このテーマは純構築において決定的な弱さを抱えている。
それは、
安定した展開が存在しない点
展開力が弱すぎる点
強力な妨害性能を持たない点
である。
まず「安定した展開が存在しない点」について。
「Kozmo」は効果の特徴として、現代遊戯王でありがちなモンスター・魔法&罠間での相互サーチが限りなく不可能である。
モンスターと魔法&罠でそれぞれ独立している、と言ってもよいだろう。
そうなると、デッキ内のモンスターの割合を増やして素引きを狙う形になっていくのだが、ここで問題が生じてしまう。
サイキック族「Kozmo」たちは手札に自身よりも上級の「Kozmo」モンスター、もっと言えば機械族「Kozmo」が居なければ効果が持ち腐れになってしまう、ということだ。
『サイキック族「Kozmo」を棒立ちさせて終わり』という盤面が起こりやすいのは「Kozmo」使いたちの共通認識だと思う。
そうなると機械族「Kozmo」の採用を増やせばよいのかというと、そう簡単な話ではない。
自己展開効果のない機械族「Kozmo」もまた、サイキック族「Kozmo」が居なければステータスや効果が持ち腐れになってしまう。
展開する上での手札への要求が難しく、どちらかが欠ければ「Kozmo」として動くことをはおろかモンスターを出すことすら不可能になりかねないという、苦しい性質を持ってしまっているのだ。
次に、「展開力が弱すぎる点」について。
「Kozmo」モンスターには、自力展開できるカードが存在しない。
そのため、1体展開するためにほとんどの場合で貴重な召喚権を要求されてしまうので複数体モンスターを並べることが難しくなっている。
加えて、1体のモンスターが生むアドバンテージは基本、サイキック族・機械族ともに『自身を除外して「Kozmo」を出す』ことで生まれる1枚しかなく、展開を横に広げる動きに繋げにくいのだ。
召喚する旨味を持つモンスターが少ない
その結果、先述した『サイキック族「Kozmo」棒立ちエンド』という惨状にならざるをえないのだ。
最後に、『強力な妨害性能を持たない点』について。
「妨害性能」と一言で表現してしまうとわかりにくいが、筆者は主に
相手の盤面に破壊等で介入し、展開を阻害する性能
相手のカードの発動、効果の発動を無効にする性能
相手に特定の行動を取れなくさせるロック性能
という3点を想定している。
ここまで「Kozmo」カードの情報を見てきた人からすれば、この内2つの性能(破壊効果と発動無効効果)を「Kozmo」が有していることは理解しているだろう。
しかしその性能も、先述した安定性に欠ける出力・展開力の弱さによって充分発揮できているとはとても言えない。
魔法の発動無効を有する《Kozmo―ダークプラネット》、罠の発動無効を有する《Kozmo―ダークエクリプサー》に関しては、召喚条件やテーマの性質と発動無効のコストが噛み合っておらず、ある程度墓地を肥やさないと効果が使えない。
先攻1ターン目の「Kozmo」に肥やしをする暇などないのだ。
「Kozmo」に必要なものを考えよう
展開力の乏しさ、妨害の薄さ、召喚権を割く問題……
筆者が考えるこれらの弱さを緩和・解決しつつ「Kozmo」らしさを失わない構築にするためにはどうしたらよいか。
策の方向性としては以下の通りである。
・他カード・テーマを借りて安定した展開ルートを作る
→初動の概念が薄い「Kozmo」では盤面構築力に欠ける
・「Kozmo」らしさを残した展開・出力方法を考える
→除外を起点とする効果、ターン1のない効果をどう生かすか
・召喚権に頼らない展開を考える
→「Kozmo」と他カードで召喚権を喰い合わさせない
これら3点を念頭に置いてデッキ構築をすすめるべく、筆者は再びカードテキストとのにらめっこを始めるのであった……
#4【後】につづく
文章化サボりすぎて公開遅れました。
のんびり書いてますので、気長に待ってちょうだいね。
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