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映画制作を通した、地域とのコミュニケーションを語る②出会い編
前置 この記事では私が以前体験した、地域での映画制作を通したコミュニケーションの取り方をまとめていこうと思います。知り合いがほぼゼロの状態から地域に住みつつ、1ヶ月間かけて、ゼロから映画を制作した記録のまとめです。少し、旅日誌、制作日誌的な要素もありますので、地域活性に興味ある方、映画制作をしてみたい方、旅好きな方、制作の裏側を見たい方など、いろんな方にみていただければと思います。
山の中で茶をしばく
「ここでなにをしてるの?」
そう声をかけたのはロマンスグレーな髪色の紳士でした。
『あ、やべ』
わたしはそのとき神社横の崖を登っている最中だったので、怒られると思い、急いで降りて謝りました。
しかし、そんなことは全く気にも留めず、「ここが面白いの?」と。
ピカーン!と来た私は、「めちゃ面白いです、この神社、私が今まで見た神社の中で一番やばいです!」と興奮気味に話しました。
「じゃあ、そこでお茶してく?」
『???』
お茶??どこで??
周りはこんなにも緑深すぎる山ですけども・・・
「どこでですか・・・?」
「あれ、うちん家」
「え、あれですか?」
神社に着く手前にポツンと、いやドカンとたった一軒だけ家が建っていたのでした。こちらも神社と同じく、古く威厳のある家屋。神社のほんの数十メートル手前だったので、社務所かなにかだろうと。気にはなっていたけど、さすがに中には入れませんでした。
「あそこがうちん家」
「? 社務所がうち?」
のほほんとしてるのに、ただものじゃない感のある紳士の正体は、
『焼火神社の宮司さん』でした。
ということで、この素敵な社務所にてお茶にお誘いいただきました。
浮世離れした場所
社務所ってなんぞや、って人の為に。
神社の付属施設で、神職や巫女が待機する場所であり、また神社や祭神についての案内を行い、祈祷(きとう)を受け付けたりする社殿のこと。
この社務所は明治に築造されたらしく、社務所自体も文化財だそうです。
「隠岐島前神楽」の奉納が行われるお祭りのときなどは、たくさんの人が来たり、たまに御朱印をもらう人がやってきたりするけど、それ以外は静かに佇んでいる、ひだまりのような場所です。
朱と苔の生えた石畳が美しい玄関。(これだけでもよだれが出そう)
二階からの風景。
もう天界から見下ろしているような気にさせます。これ以上、浮世離れした場所って、今の日本にはないんじゃないかな。
いろいろ社務所を探検させていただき、宮司さんにお茶をいただいて、いろいろなお話をしました。
アート好きな宮司さん
宮司さんはアート好きな方でした。
西ノ島の廃校を使ったアートプロジェクトなどに関わったり、この社務所も昔はゲストハウスにしていたらしく、面白くアクティブなアート活動家でした。
2011年 隠岐アートトライアル(美田小学校)
ピーンと来たため、もう直感的に単刀直入に言いました。
「ここで映画が作りたいです。」
「いいよ」
即答でした。
「来年の夏、また来ます。なので、ここに1ヶ月泊まらせいただき映画制作拠点にさせてください。」
本当に実現させる、と決意したので、追い込むために期限・期間を設けました。宮司さんは、いいよ、と一言だけ。細かいこと・心配なこと、きっとあったかもしれないけど、何も言わずにいいよ、って背中を押していただいた気がしました。
ああ、ここに来たのは間違いじゃなかった。またきっとここから、何かわくわくすることが始まるんだ、と感じました。
そうして、私の今まで止まっていた脳みそは、好奇心の塊に遭遇して、目まぐるしく回転し始めるのでした。
余談
ちなみにお茶は、コーヒーとかではなく、ガチの茶を立てていただきました。しゃかしゃかする本格的なやつですね。コーヒーよりもカフェインが含まれている為、作業中によくご馳走になりました。
落ち着くんだなこれがまた。
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