ノイズとジャズ
昨日は昼間に寝ておいたので、昨日の夜の19時からずっと起きている。テレビをBGMに音楽雑誌の「MIX」のバックナンバーを読んだり、ハウスのCDをかけて「チベットの祈り、中国の揺らぎ」を読んだりしていたら日付が変わっていた。近所のローソンに行ってATMで出金し、au WALLETにいくらかチャージした。実は、今月に入ってブックオフオンラインで10回も本やコミックを買っているにもかかわらず、まだ買おうとしている自分がいる。トータルで24,410円だ。こんなことをしていると貯金ができない。コンビニに行ったついでにタバコ、というより最近キャメルシガーのメンソールをすっているので葉巻なのだが、切れそうになっていたので買おうと思っていたのだが、忘れてしまった。その代わり、マンションに帰ってきて、郵便ボックスをみてみると、JTから同じ商品の試供品がひと箱送られてきていた。ラッキーだ。買わなくても良かった。
「MIX」(1990年の音楽雑誌だが)を読んでいてちょっと笑ってしまったのは、高校時代によく聴いていたコクトー・ツインズのリズ・フレザーが禁酒しているという、わずか数行のニュースである。禁酒の理由などは全く書いてなかったのだが、何があったのだろう?気になって仕方がない。
もう一つ、「MIX」のなかで思い出深かったのは、「TASTE OF WILD WEST(3)」というコンピレーションCDのリリース広告が載っていたことである。この広告を、当時通っていた六本木の英会話スクールの先生で、インダストリアル・ミュージックやクラブなどのサブカルチャーで意気投合したオーストラリア出身のデヴィッドという先生に見せると、ボアダムスの「Thalidomide Car」や非常階段の「Bundy」という曲名に食いついた。
Thalidomideはサリドマイドで、サリドマイド薬害事件のサリドマイドのとこである。サリドマイドは、西ドイツのグリュネンタール社が開発し、催眠薬「コンテルガン」として1957年に発売。日本では、大日本製薬が1958年に催眠薬「イソミン」を発売。さらに1960年に発売した胃腸薬「プロバンM」にも含有されていた。その後他社からもサリドマイド製剤は発売されるが、シェアは大日本製薬が大半を占めた。この薬害事件の内容は、妊娠初期の妊婦が服用すると胎児に奇形を生じる(サリドマイド胎芽病)。肩から手首が直接出ているケースがよく知られるが、奇形の部位や程度は様々であり、聴覚や心臓・内臓に障害が及ぶケースもある。日本の認定被害児は309名だが、実際の被害児数は1,000~1,400とする推計がある。また、被害児のみならず、自らが服用した薬でわが子を苦しめる結果となった母親にも深い心の傷を与えた。
また、Bundyはテッド・バンディのバンディである。テッド・バンディは、アメリカのシリアルキラーであり、誘拐、強姦、強盗犯である。少なくとも1970年代から多数の若い女性を強姦、殺害するとともに死体に対する凌辱も行っていた。死刑執行の直前に、10年以上も否認してきた殺人事件について自白を始め、1974年から1978年の間に7つの州で30人を殺害していることが明らかになった。被害者の実数は不明だが、おそらくはこの数字を上回る。2002年に「テッド・バンディ 全米史上最高の殺人者(Ted Bundy)」という映画が作られ、私はVHSビデオで持っているが、今年2019年にも「テッド・バンディ(Extremely Wicked, Shockingly Evil and Vile)」という映画が作られて、ツイッターなどではよく宣伝をしている。元FBI行動科学課において、心理分析を行いプロファイリング技術の確立し、「FBI心理分析官異常殺人者ファイル」という著書を書いて映画「羊たちの沈黙」でプロファイリング技術の情報を提供した捜査官のロバート・K・レスラーが、テッド・バンディを表すために1884年9月に「シリアルキラー」という英単語を提唱したのは有名な話である。
こういう背景があったので、ブックオフオンラインで中古CDが安かったので、私は思わず最近になってこの「TASTE OF WILD WEST(3)」を買ってしまった。しかし、聴いてみると、1990年のCDであるにもかかわらず、全く古さは感じられなかった。インダストリアルとかノイズミュージックをどう捉えるかによるが、非常階段は今でも活動しているバンド?(ユニット?)だ。2010年以降は様々なアーティストとのコラボレーションも増えている。2015年にはボーカロイドの初音ミクとのコラボ盤「ノイジー・キラー」を出している。他には、ゆるめるモ!とのコラボレーションアルバム「私をノイズに連れてって」、戸川純とのコラボレーションアルバム「戸川階段」、女性アイドルグループのあヴぁんだんどとのコラボレーションアルバム「あヴぁ階段 LIVE ~Final Document & U.S.A.」などがある。このうち私が持っているのは初音階段の「ノイジー・キラー」だ。
ブックオフオンラインのマイブックオフ(お気に入りや入荷待ちリスト)を見ていると、ハービー・ハンコックの「カルテット」というジャズのアルバムの中古CDが500円であったのだが、今日見てみると在庫がなくなっていた。買おうか買うまいか迷っていたのだが、在庫がなければ仕方がない。私の音楽の趣味は結構幅広く、中学時代にはパンク&ニューウェーヴに出会う前は主にジャズを聴いていた。特にハービー・ハンコックの「カルテット」は気に入っていて、高校入学のために函館へ向かう飛行機の機内放送でずっと聴いていたので思い入れが大きい。このアルバムは、ライブ・アンダー・ザ・スカイ(1977~1992年に開催されていた野外ジャズ・フェスティヴァル)で来日したメンバーが、東京のCBSソニー・スタジオで録音した演奏を収録したもので、ピアニストのハービー・ハンコックをリーダーにロン・カーター(ベース)にトニー・ウィリアムス(ドラム)、加えてウィントン・マルサリス(トランペット)という4人組で演奏されていて、それゆえに「カルテット」と名付けられている。これら4名のメンバーのうち、ウィントン・マルサリスを除く3名は長らく様々な作品で共演してきた顔ぶれであるベテランで、1960年代のマイルス・デイヴィスのグループの屋台骨であり、なおかつハンコックのリーダー作でもその腕前を披露している。ウィントン・マルサリスはこの時点で19歳の言わば若造なのだが、3人のベテランに混じって緊張するどころか完成品に近い演奏をしていて、非常に評価されている。
ハービー・ハンコックといえばHERBIE HANCOCK AND ROCKIT BANDを思い出す。1883年の「フューチャー・ショック」では、ヒップホップを大胆に導入。DJスクラッチを取り入れたスタイルはクラブミュージックの方向性を決定付けた。このアルバムはベーシスト兼プロデューサーであったビル・ラズウェルの実験的な音楽アイデアを元に製作された。またシングル・カットされたGrand Mixer D.STのスクラッチを取り入れた「ロックイット」が世界中で大ブレイクし、1984年、大阪万博公園の太陽の広場で行われたライブ・アンダー・ザ・スカイに出演していて、私はそれを見に行った。その時にボーカルをしていたのは、当時は全く知らなかったが、パラダイスガラージのDJラリー・レヴァンがプロデュースしたNYC Peech Boysのボーカルだったバーナード・ファウラーである。