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台湾旅行2日目(後編)

ホテルでしばらく休憩したあと、我々は再びタクシーに分乗して、日本人ビジネスマンがよく行く居酒屋へ向かった。しかし私一人は違う目的があった。居酒屋だとまた金を使ってしまい、当初予算の2万円を超えてしまう心配があったことと、台北に行く前から計画していた、行きたい場所があったからだ。行きたい場所とは華西街観光夜市である。
居酒屋の前でほかの6人のメンバーと別れて私一人がまたタクシーに戻り、いざ華西街観光夜市へ向かう。華西街観光夜市は台北の夜市の中で唯一アーケードのある夜市だが、華西街観光夜市の特徴はそれだけではない。台北の他の夜市とは一線を画する雰囲気を持った夜市である。私が前もって得ていた情報によると、普通の飲食店や衣料品を扱う屋台などはなく、ピンクショップや売春婦が大勢立っているというものだった。
タクシーは普通の小規模の夜市のようなところで止まり、ここだと言うのだが、華西街観光夜市のシンボルであるアーケードがない。仕方なくしばらく周辺をビール片手にぶらぶら歩いていると突如としてそれは現れた。
華西街観光夜市は台北で最も古く、そして台北で初めて「観光夜市」として誕生した夜市である。だから雰囲気はなんだかノスタルジックだ。台北観光のメッカ龍山寺のそばにあって、もっと観光客で賑わって当然なのだが、ここは一般の観光客はあまりいない。特にファミリーで来ている台湾人もいない。ここは子供の来るところではないのだ。
華麗な中国テイストの大門に一歩足を踏み入れると既に独特の雰囲気を醸し出していた。アーケードの中には海鮮レストランやちょっと風変わりなものを扱うショップが軒を連ねている。逆に、夜市にはつきものの若者向け日用品やアクセサリー店・一般的小吃を扱う店は少なく、そして「海鮮物」と言っても、「普通の」海鮮物は扱っていない。アーケードの始まりには、足裏マッサージのお店や、漢方薬らしきものが売られていている。マッサージと漢方薬。何かありそうだ。
アーケードを進んでいくうちにこの夜市独特の雰囲気をさらに感じることができた。大人のおもちゃを扱うコーナーや、過激な女性下着を扱う店なども数多く並んでいる。アーケード中央程に行くと、海鮮レストランが増え始めた。キンキンギラギラの店は、台南但仔麵。この華西街観光夜市では最も有名なお店で、数々のガイドブックでも紹介されているのでここだけは観光客がいるのだが、台南但仔麵以外の他の海鮮店はちょっと違う。海鮮は海鮮でも、なんだかグロテスクで巨大な、わけのわからないものがたくさんうじゃうじゃと水槽に並んでいた。ロブスターやらカニやら、色とりどりの見たこともない魚や動物の内臓、鶏の睾丸やら、さらにはスッポン、サソリといったいわゆる「ゲテモノ」が生きたまま水槽に入っていて、檻の中には巨大な蛇が飼われている。
夕方7時ごろになると、蛇の兎の生食いショーやら、蛇をお客さんの首に巻きつけるショー、いわゆる「ゲテモノショー」が見られるというのだが、私が行った時はすでに遅く、そんなものは見られなかった。しかし、怪しげな雰囲気はぬぐい去れない。怪しげであればある程、好奇心はどんどん膨れ上がるもの。多くの客が、その蛇のショーやら、亀のショーやらに、目を奪われ、足を奪われ、そしてレストランに吸い込まれていく。レストランでは蛇の肉のほかに、蛇の生き血・スッポン料理などが注文できることが多いが、珍しい蛇のショーが行われていてもその蛇の肉が食べられるとは限らない。蛇の肉は体内の熱を取り去り、その他の「ゲテモノ」も健康にいいといわれているが、動物保護の観点から、最近は一部の動物はそう簡単に食用にはできないらしい。蛇やスッポンというのはいわゆる「精力剤」。ここで精力をつけて売春婦と一戦交えようというのだろうか?ちなみに、華西街観光夜市では好奇心のあまり写真を撮りたくもなるが、無用な写真撮影は厳しく断られる。
華西街観光夜市はそれほど大規模なものではない。一通り見て回るのにそれほど時間はかからなかった。華西街観光夜市を後にした私はその周辺に広がる露天の夜市をまたもやビール片手にぶらぶら歩いた。目に付いたのはAVのDVDを大量に売っている屋台。値段を見ると7枚で100元だった。日本円で300円。安いことは安い。しかし、ここでそんなものを買って帰りの関西空港で税関の人にもしも見られたら嫌だな~~~と思って買わなかった。しかも大量に置いてあるので選ぶだけでも大変だ。
一通りの観光が終わったのでタクシーでホテルへ戻る。台湾のタクシーは日本のタクシーと違い安かった。台湾のタクシーは全てメーター制で、自動ドアでないことを除けば日本と基本は同じである。台北市内の場合は初乗り70元で、距離時間併用制。華西街観光夜市から中山のホテルまで200元くらいだった。日本円にすると600円弱。日本では初乗りもできない。
ホテルに着く前にお約束のビールを買い込んだ。台湾ビールを4本ほど。ホテルに帰ってビールを飲みながらハルシオンを1錠飲んだ。一応日本から処方されている向精神薬は全部持ってきているのだが、寝過ごしたら明日の帰りの飛行機に間に合わない。ホテルの部屋でひとりNHKのニュースを見ながらビールを飲み続けていたらいつの間にか眠ってしまっていた。

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