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フェリックス・ガタリ

昨日の午後18時前過ぎに起きてから寝ないで最近入手したCDを聴きながら「Fool's mate」1986年3月号を読んでいたら日付を越えてしまった。相変わらずコーヒーをひっきりなしに飲んでいる。朝までこのまま続けようかどうか迷っている。今日は11時にヘルパーさん、16時に訪問看護師さんが来る。それまで体力がもつかどうか。まあ、徹夜は慣れているが・・・断酒5日目。
いま聴いているのは廃盤になったアンナ・ドミノの「ベスト(原題:L'AMOUR FOU)」である。アンナ・ドミノはベルギーのインディペンデント・レーベル“クレプスキュール”の歌姫と呼ばれる存在で、1983年、クレプスキュールよりシングル「Trust In Love」でデビュー。その後アルバム「イースト・アンド・ウェスト」や「夢のあと(Anna Domino)」などを発表し、ステリアスでクール・ビューティーなルックスで、ニューウェーヴを基調としたジャジーで退廃的なサウンドを展開し、80年代半ばに欧州と日本を中心に人気を集めた。
引き続き、もうひとりの“クレプスキュール”の歌姫、イザベル・アンテナの「L'ALPHABET DU PLAISIR: BEST OF 1982-2005」と「LES DERNIERS GUERRIERS ROMANTIQUE」を続けて聴く。イザベル・アンテナはジャス、ボサノバをニューウェーヴ期にリバイバルさせた最重要アーティストである。代表曲に「イパネマの娘」を「ザ・ボーイ・フロム・イパネマ」に改題したカバーや、「シー・サイド・ウィークエンド」などがある。立て続きに“クレプスキュール”の歌姫の歌を聴いているとなんだかお洒落になったような気もするが、私は決してお洒落ではない。
ちょっと休憩も兼ねてアマゾンを覗いてみると、スロッビング・グリスルのファーストアルバムの「The Second Annual Report」が新品で1,100円で売られていた。年末年始にCDや本を買いまくったので、買おうかどうか迷ってしまう。買いたいが金がない。ないことはないのだが、残り少ないのだ。スロッビング・グリスルはインダストリアル・ミュージックのオリジネーターであり、今なお現在の音楽シーンのみならず、カルチャー/アート・シーンにまで絶大な影響を与え続けている。「産業社会に生きる人々の為の産業音楽」という風刺を効かせたキャッチコピーと共に、インダストリアル・ミュージックというジャンルを作り出し、新たなる音楽の可能性を切り開いた衝撃のデビュー・アルバムだ。1977年11月に発売された。スタジオ&ライヴ音源、そして前身のパフォーマンス・アート集団クーム・トランスミッション時代の映像作品のサウンドトラックの全9曲が収録されているという。
「Fool's mate」1986年3月号を読み進んでいくと、フェリックス・ガタリのインタビューが載っていた。こんな音楽雑誌、今はもうないだろうな。フェリックス・ガタリはジル・ドゥルーズとの共著「アンチ・オイディプス」や「千のプラトー」が有名なフランスの哲学者、精神分析家で、パリ第八大学の精神分析コースにおいて、ジャック・ラカンのもとで学ぶ。1968年五月革命以降、ジル・ドゥルーズに出会い、政治犯救済運動を推進する一方、ブロワ近郊のラ・ボルド病院(ロワール=エ=シェール県)に分析家として勤務し、精神医学改革の運動を起こしてきた。患者を院内活動、クラブ活動に責任ある参加をさせ、集合的主体化の拠点づくりを目指す。個人の確立よりも集団と個人のあいだに現れるその局面の主体性を作ろうとした。入門書として「闘争機械」、「エコゾフィー」、理論的著作として「精神分析と横断性」、「分子革命」、プルースト論の「機械状無意識」などがあり、また、自伝的作品に「リトルネロ」、芸術作品や数学を論じたものに「分裂分析的地図作成法」がある。分子とは比喩で、体積の変わらないモルと対置される。意識がモル的な動きしかできないのに対して、無意識は自由に元素のように結びつき様々な分子的な結びつきを実現する。無意識を第一義に置いた視点は、今もって斬新である。私が初めてフェリックス・ガタリを知ったのは、高校時代に函館の本屋でアントニオ ネグリとの共著「自由の新たな空間」を、ただその本のタイトルに惹かれて買ってからである。内容は難解でよくわからなかったが、文体がかっこよかったのを覚えている。その後、浪人時代に「アンチ・オイディプス」を買って受験勉強そっちのけで読みふけり、大学3年生の時の都市論のレポートで、ハウスミュージックを「欲望する諸機械」として論じて難波和彦先生から「A」の評価を頂いた。
CDの方はお洒落系の音が終わり、続いて2枚ダンスミュージックが続く。
1枚目はイタロハウス・クラシックのFPI PROJECTの「Rich In Paradise」である。1曲目の「Going Back To My Roots」は、プロデューサー・チームHolland-Dozier-HollandとしてMotownで一時代を築き、シンガー・ソング・ライターとしても多くの名曲を残したLamon Dozierが、自分達のルーツ、アフリカへの情景を歌った歴史的名曲&不滅の名曲が原曲で、Richie HeavensやOdysseyによるカヴァーも人気がある。オリジナルのLamont Dozierの「Going Back To My Roots」は1977年の作品であるが、私は後年再発された12インチシングルのアナログ盤を持っている。
2枚目は金原千恵子の「STRINGS OF LIFE」だ。金原千恵子は、BREW-BREW、Aska Stringsなどの活動を経て、金原千恵子ストリングスを結成。サザンオールスターズ、井上陽水、福山雅治、阿部義晴、山下久美子、佐野元春、ピチカート・ファイヴ、Bonnie Pink、椎名林檎、MONDO GROSSO、コーネリアスなど、数多くのアーティストのステージ・サポートやレコーディングに参加し、クラブ・シーンでの支持も厚く、自身の作品ではヴァイオリンとハウス、ダンス・ミュージックを高い次元で融合させたサウンドが特徴である。アルバムタイトルの「STRINGS OF LIFE」はデトロイト・テクノの御三家の一人のデリックメイの歴史的名曲で、圧倒的なポテンシャルで人々を熱狂へと引き込んだ、エレクトロニック・ダンス・ミュージック史上もっとも重要で影響力を持った名曲と呼ばれている。
たぶん今日の昼頃、ヘルパーさんがサービスに入っているあいだにブックオフオンラインで注文した本が届くことになっている。またしても買ってしまったのだ。買ったのは岡崎京子の「バージン(新装版)」と「森 岡崎京子未刊作品集」、江戸川乱歩文庫の「黒蜥蜴・湖畔亭事件」と「蜘蛛男」、生田耕作訳のルイ・フェルディナン・セリーヌの「夜の果ての旅(上)(下)」、稲垣足穂の「一千一秒物語」、澁澤龍彦訳のジャン・コクトーの「大胯びらき」、あとは澁澤龍彦の「洞窟の偶像」、「華やかな食物誌」、「快楽主義の哲学」、「黒魔術の手帖」、「太陽王と月の王」である。なんでこんなに買ってしまったのかというと1冊200円から300円と安かったし、割引のクーポンもあったので、勢いとしか言い様がない。

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