台湾旅行1日目(前編)
昨日から私は眠っていない。昨日は約2週間半入院していた内科の病院から退院してきたところだった。退院した翌日の早朝、私はまた旅人となる。今日の早朝4時20分にいつものMsの前で待ち合わせしてタクシーで天王寺へ向かい、関空快速に乗って関西国際空港第2ターミナルから台北へ向かうのだ。Msのスタッフ4人と常連3人の団体旅行である。海外を団体で訪れるのはこれが初めて。団体旅行は実は苦手なのだが、この旅行はいわばMsのイベントみたいなもの。慰安旅行といったほうが良いかもしれない。
待ち合わせ場所についたのは私が一番だった。そこでしばらく待っているとMsの常連PちゃんやTちゃんがやってきてタクシーをつかまえた。途中、MsのウェイトレスのY子さんを拾って天王寺に着くと、とりあえず腹ごしらえ。駅前のマクドナルドでフライドチキンとアイスコーヒーを注文して駅の入口でみんなで食べた。
関西国際空港行きの関空快速の5時37分発の始発はいつものホームと違って阪和線のローカル電車が出発するホームで待機していた。出発準備中なのでまだ乗り込めない。ホームのベンチでしばらくおしゃべりして時間を潰す。ようやく車内に乗り込んだかと思うと関空快速は関西国際空港へ向けて静かに出発した。
関西国際空港駅に着いたのは6時20分を過ぎていた。普段ならここから第1ターミナルに向かうところなのだが、今回利用する飛行機はピーチアビエーションMM0023便、8時40分台北行き。ピーチに乗るのはこれが初めてである。ピーチアビエーションは、全日本空輸を筆頭株主に持つ、関西国際空港を拠点とする格安航空会社 (LCC) である。関西国際空港のエアロプラザから無料送迎バスでピーチ専用の第2ターミナルへ向かう。
チェックインをピーチを使い慣れているY子さんに任せてコンビニで淡麗グリーンラベル500ml一本を買って喫煙コーナーでタバコを吸いながら飲んだ。これが私の出発前の儀式である。入院中は禁酒を通していたのでアルコールが胃にしみる。出国手続きを終えて出発ロビーでもビールの500mlを2本飲んだのでコンディションはバッチリだ。
機内では全く飲まなかった。もちろん機内販売のビールは高いからである。今回の旅の資金は10月14日からフィリピンにまた行くことになっているので、ホテル代込みで2万円以内に収めたかった。だから非日常といっても無駄遣いはしない。しかも連休中の便だったので往復の航空券だけでピーチといえども48,130円もしたのである。どこが格安航空機だ???約2時間50分機上の人となり、台北近郊の台湾桃園国際空港に着いたのは台湾時間の10時30分。空港から台北市内までは約40分のバスの旅である。
ホテルに近い中山でバスを降りた我々一行は、まずは腹ごしらえと現地の人に教えてもらった小龍包の専門店に行った。現地の人に教えてもらったと言ってもメニューは日本語で書かれているし、日本人観光客もよく行く有名店なのだろう。早速小龍包を山盛り注文して台湾ビールで乾杯となった。この台湾ビールは、台灣啤酒と言って台湾の台湾煙酒公司が醸造・販売しているビールで、台湾最大のビール・ブランドである。
昼食が済むと我々一行は歩いてホテルのある台北市中山区林森北路289号へ歩いて向かう。ホテルに着く途中、お茶屋さんで日本円を台湾元に両替した。空港で両替しなかったのはここの方が両替レートが高いから。そういうところは台湾通のY子さんは流石である。
今回泊まるホテルは銀座飯店。オフィス街の中の雑居ビルの4階だけがホテルになっている。台湾通しかわからない。チェックインするにはまだ時間が早かったので荷物だけをホテルに預けて我々は九份に行くことにした。九份は、台湾北部の港町基隆市の近郊、新北市瑞芳区に位置する山あいの町である。かつては一寒村に過ぎなかったが、19世紀末に金の採掘が開始されたことに伴い徐々に町が発展し、日本統治時代に藤田組によりその最盛期を迎えた。九份のレトロな街並みは、日本統治時代の面影を色濃くとどめており、路地や石段は当時に造られたものであり、酒家(料理店)などの建物が多数残されている。日本の有名なアニメ「千と千尋の神隠し」の街並みのモデルにもなっている町だ。
九份に行こうとして我々は地下鉄を乗り継いで忠孝復興駅へ向かった。駅に着いて地上に出てみるとなんだか渋い爺ちゃんが紙に何か書いて立っている。よく聞くと九份行きのタクシードライバーらしい。紙には4人で2400元と書かれていて、九份まで片道40分で行ってくれるらしい。バスだと片道2時間。断然早い。我々は2400元を2200元にまけさせて7人で1台のタクシーに乗り込んで九份に行くことになった。
タクシーは台北市街を抜けてしばらくはハイウェーをぶっ飛ばし、山並みが近づき、海が見え始めたところで九十九折の山道を登っていく。九十九折の道は前もって噂されているほど厳しくはなく、一応飲んでおいた酔い止めの効果もあったのかもしれないが、車酔いせずにあっさりと九份に到着した。