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フィリピン6日目(帰国)

ダグパンからマニラ首都圏パサイに向かうバスの中でダグパンのセブンイレブンで買ったサンミゲルを飲んでいるといつの間にか日付が変わっていた。バスの中はこれ以上ないほどエアコンが効いており寒いくらいだった。これがフィリピンの長距離バスの特徴である。
パサイに着くとタクシーの運転手たちが待ち構えていたが、マニラのタクシーは悪名で有名だ。他の東南アジアの国々と同様、フィリピンでも ぼったくりタクシーが多い。特にマニラは、なんだかんだと言っては、値段を釣り上げようとする。行き先を言うと、いきなり、通常の倍以上の値段で、200ペソや300ペソ払えと要求してくるなどなど・・・
だから群がるタクシー運転手を避けて近くにいたサイクルトライシクルに乗った。ただ、このトライシクル、自転車だとわかったのは乗ったあとで、知っていたら乗っていない。と言うのも、このサイクルトライシクル、正式にはパジャックと言われるが、マニラではぼったくりが常識という情報を得ていたからだ。実際、空港の近くのパサイからNAIAの第一ターミナルまで行ってくれと言うと100ペソ要求された。まあ日本円では高々260円程度の話なのだが、アジアに行くと金銭感覚が地元民と一緒になる私はとことん値切るのを旨としている。だから徹底的に値切るのがいつもの私である。
しかし、一度乗ってしまって100ペソもOKしてしまった以上このサイクルトライシクルのドライバーに任すか~という気持ちになったので、のらりくらりと進んでいく途中、周りの街並みなどを見ているとなぜかこの運チャン、狭い脇道の方へ入っていった。この時点で私の警報アラームは「やられたかな?」と鳴り始めたが仕方ない。運を天に任せていると途中の小道で立ち止まった。
どうするつもりなんだろうと思って降りてみるとこのサイクルトライシクルのドライバー、近くに止まっていたジプニーを指さしてあれに乗れという。結局サイクルトライシクルで空港まで行くことは出来なかったが、ジプニーの値段はたったの8ペソ。安すぎる。
人気のない早朝のマニラ市内をジプニーは一路空港めざして走り出した。8ペソ払おうとして暗い車内で財布を開けて硬貨を渡したのだが、なぜかお釣りをくれた。多分、5ペソ硬貨と10ペソ硬貨を間違って渡したらしい。しかし、ちゃんとお釣りをくれるなんてこのジプニーの運チャンなんていい人なんだ。
空港に着くと早朝の飛行機で各地へ向かう人で賑わっていた。早速チェックインしようと思ってカウンターへ向かうと、なんとジェットスター3K763便の搭乗が2時間遅れるというではないか。この退屈なNAIAでどうやって2時間の時間を潰せばいいのだろう?とりあえず出国手続きをして出発ラウンジに行ってみると、タバコが吸えて酒が飲めるショップがあったのでそこへ入ることにした。普通、コンビニで買ったら40ペソのサンミゲル350mlが70ペソ。まあ空港価格なので仕方がないか・・・
そのラウンジでなんとかサンミゲルを3本ほど飲んで時間を潰し、空港内をうろついていたら、ようやく搭乗時間がやってきた。搭乗ロビーは各地へ向かう人で賑わっていた。友達に頼まれていたお土産を買ってロビーで待っているとようやくジェットスター3K763便が到着してシンガポールからの旅客が次々に入って来た。
飛行機に搭乗してからは全くの素面だった。酒は飲んでない。飛行機の中で買うビールほど高いものはない。非日常的な空間にいるのでいいではないかと思われるかもしれないが、こういうところで私のケチな性格が出てくる。ひたすら窓からの景色を見ながら約3時間半、関西国際空港に着陸した。
 日本の2月はなかなか寒い。大阪もそれほどではないが少なくとも常夏のマニラよりは寒い。しかし、フィリピンの暑さにうんざりしていた私は、その寒さが心地よかった。私雨は暑さには弱いが寒さには強い。ちょうどダグパンからパサイへ向かう長距離バスに乗ったかのような涼しさの日本に気持ちが良くなって、自宅までTシャツ一枚で帰った。

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