ニンジャスレイヤーTRPG第2版シナリオ『レイジ・アゲンスト・トーフ』
これは題の如くニンジャスレイヤーTRPG第2版用のシナリオであり、原作第1部の同名エピソードをもとにしており、引用などを含みます。
◆シナリオサマリー
対象:3~4人のニュービーソウカイニンジャ向け
難易度:NORMAL
キャラロスト:あり
余暇:標準(4スロット)
備考:ニンジャスレイヤーとの交戦あり
また、シナリオ中の立ち絵にぎだ様のニンジャスレイヤーTRPG用立ち絵を使用させていただいています。
◆ダンゴウ
あなたたちは、ソウカイヤ本拠地。トコロザワ・ピラーのブリーフィングルームに上役であるニンジャ『ソニックブーム』によって呼び出されていた。
しかし、まだソニックブームのすがたはない。
既に見知った顔もいるかもしれないが、アイサツはニンジャの礼儀だ。今のうちにアイサツをしておこう。
あなたたちがアイサツを終えると、不機嫌さを微塵も隠さず、気が立っているという風のアトモスフィアを纏ったソニックブームが現れた。
「ドーモ、ソニックブームです」
◆ソニックブーム (種別:ニンジャ)
カラテ 12 体力 17
ニューロン 6 精神力 12
ワザマエ 10 脚力 6/N
ジツ 5 万札 50
攻撃/射撃/機先/電脳 12/10/6/6
回避/精密/側転/発動 12/10/10/-
◇装備や特記事項
『●連続攻撃2』、『●連射2』、『◉忠誠心:ソウカイヤ』、『★◉◉ソニックカラテ衝撃波』
『★◉◉ソニックカラテ衝撃波』:
手番攻撃フェイズ開始時に【体力】か【精神力】を1消費し、以下の戦闘スタイルを使用できる:射撃用の『戦闘スタイル』として使用:
・ソニックカラテ衝撃波(連発):連射5、ダメージ2
・ソニックカラテ衝撃波(収束):連射2、ダメージ3、時間差
・ソニックカラテ衝撃波(乱打):連射10、ダメージ1
素手攻撃用の『戦闘スタイル』として使用:
『近接攻撃』に『痛打+1』と『リーチ+2』を得る。ただし、隣接している敵に対しては攻撃不能。
「……テメェら向けの仕事が入った。それなりに緊急性の高い仕事だ。」
よって、手短に話すと付け加えたソニックブームは、
いつものようにあなた達をサンシタとなじることもなく、話し始める。
「ソウカイ・シックスゲイツの斥候ニンジャ『バンディット』=サンが消息を絶った」
そういって、ソニックブームは1枚の写真をチャブの上にぶっきらぼうに出す。
「テメェらも、言うまでもなくバンディット=サンの事は知っているだろう。決して無能な奴ではなかったが……まァ、消息を絶ったということはそういうことだ」
シックスゲイツといえばソウカイヤ威力部門のトップであり、ソウカイ・シンジケートに身を置くニンジャであれば誰しもが羨むポストである。その一角が消息を絶つとは……
「テメェらにはこれからバンディット=サンの代わりにシックスゲイツのニンジャ『ビホルダー』=サンにマキモノを届けてもらう。ビホルダー=サンはネオサイタマ南部の工業地帯オハナ・バロウにあるサカイエサン・トーフの工場近くで潜伏しているが……」
「バンディット=サンも、通信記録が最後に確認されたのはオハナ・バロウ近辺だ。もしかすると、正体不明の『敵』がこの辺で網を張っている可能性もある。言うまでもないが行動には気を付けるこったな」
「何か質問はあるか? なければ、さっさとマキモノを届けてきやがれ」
◆オハナ・バロウ
ソニックブームから指令を受けトコロザワ・ピラーを出発したあなた達は、
色付きの風となって走り、特に問題なくオハナ・バロウまでたどり着くことに成功した。ここからさらに少し行ったところに、シックスゲイツの1人であるビホルダーが待機するアジトである『オハナミ・ビルディング』がある……
はずなのだが、この辺はサカイエサン・トーフ社による開発により事前に貰った地図データよりもかなり様変わりしており、アジトの位置が分かりにくくなってしまっている。
ニンジャの身体能力に任せて、その辺を手あたりしだいに探すのもいいが、
適当な下層労働者や浮浪者を『インタビュー』するのもいいかもしれない。
あるいは、ビホルダーのソウル痕跡を探してみるか……
◆ビホルダーとの談合
あなたたちはオハナ・バロウの一角にあるビル『オハナミ・ビルディング』にたどり着いた。そこには数体のソウカイ紋入りスーツを着たクローンヤクザが配備されており、あなた達を見るなり……
「「「センセイ方、ドーゾ!」」」
と声をそろえて、事務所まで案内してくれた。
そこにはサイバー車椅子に乗った男が一人、スシとチャを用意して
あなたたちを待っており……
「ドーモ、ソウカイ・シックスゲイツ。ビホルダーです」
◆ビホルダー (種別:ニンジャ)
カラテ 5 体力 10
ニューロン 13 精神力 19
ワザマエ 8 脚力 4/-
ジツ 6 万札 20
攻撃/射撃/機先/電脳 5/8/13/14
回避/精密/側転/発動 12/-/-/19
◇装備や特記事項
『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『●回避予知』、『●連続側転不能』、
『●負傷』(ビホルダーは脊椎損傷によってカラテ値を半減させており、特例として体力は10のままである)
『◉疾駆』(サイバー車椅子の再現)、『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉魅了』、
『☆◉カウンター・イビルアイ』、『◉銃弾の見切り』、『◉スリケンの見切り』
『☆カナシバリ・ジツLV1-3』、『★レッサー・イビルアイ』、『★★イビルアイ』、
『★★グレーター・マインドブラスト・ジツ』
「おや……君たちは? 機密輸送であればバンディットあたりが来るかと思いましたが。とにかくまずはスシとチャでも。トコロザワ・ピラーから駆けてきたのでしょう?」
ビホルダーは、あなた達に用意された上等なスシとチャを進める。
しかし、スシとチャにありつく前にまずは仕事を済ませておこう。
「……なるほど、コヨイトーフヤシウゲキダ……サカイエサン・トーフ工場攻撃のGOサインが出ましたか」
ビホルダーはあなた達から受け取ったマキモノの内容を改め、顎を擦りながら邪悪な笑みを浮かべる。
「バリキも相当量が用意されているようですね。これならば、愚かな下層民を扇動して暴徒に仕立て上げるには十分でしょう」
「……しかしながら、戦力というのはいくらあってもいい。この件を任せられているソウカイシックスゲイツとして、君たちに新たなクエストを授けましょう」
「あなたたちは、『暴徒』と共にサカイエサン・トーフ工場に突入していただきます。ああ、少し言い方が悪いか。ただ暴徒と共に突っ込むのではなく、彼らの突入のおぜん立てをしていただきたいのです」
そういうと、ビホルダーはサイバー車椅子から空中にホロ映像を投射した。それはあからさまに工場の3D見取り図であり、『銃』『ここにも銃』『失明危険性』『アブナイだ』などの文字が所々に脚注めいて浮かび上がっている。
「これはダイダロス=サンがハッキングで入手した、サカイエサン・トーフ工場の警備設備図です。メガコーポとして、対労働者暴動用の鎮圧装備はどこの工場にも配備されているものですがサカイエサン・トーフはかなり装備に重点している」
「所詮はモータル連中。数の力で押しつぶしてしまう前に、下手に数を減らされて怖気付き崩れるという事態は避けたいですから……あなた達にはまずセキュリティルームを制圧していただきたいのです」
「無論、タダ働きとはいいません。むしろ、君たちには良い機会でしょう。一生をマキモノデリバリーするだけのサンシタで終えたいというのなら、構いはしませんがね」
未だソウカイヤ内で地位の低い君たちにとって、シックスゲイツからのクエストであるこの件は実質断ることはできない……
「よろしい。では今宵、共にサカイエサン・トーフの工場を火の海にして株価ストップ安重点だ」
こうして、あなた達はビホルダーのアジトで夜まで時間を潰す……
◆サカイエサン・トーフ工場襲撃1
ネオサイタマ南部、オハナ・バロウ十七番地。
サカイエサン・トーフ社の巨大トーフ工場。 「健康そして安い」「大豆入りトーフ」「支配的な」などの美辞麗句が並べ立てられた大垂れ幕が灰色の壁に並び、その上には無数の煙突の群れがストゥーバのごとく傾き乱立して、黒い煙を吐き出している。
そして今、マストドンの脚に群がる蟻のように、急性ズバリ中毒の暴徒が押し寄せてきたのだ。始めは二百人弱、しかし新たなトレーラーが次から次へと暗いハブエリアに横付けされ、理性なき猛獣と化した労働者たちを解き放つ。その人数は千を超え、ついに二千人に達しようとしていた。
あなたたちは、その光景を眼下に見ながら煙突やパイプ、ワイヤーの上を色付きの風となり移動していた。
「アイエエエ!」「グワーッ!眼グワーッ!」「オボボボボーッ!!!」
サカイエサン・トーフ工場の鎮圧設備は優れたもので、
こぶし大の暴徒鎮圧ゴム弾や漢字サーチライトで弾幕を張り、暴徒たちを迎撃している。工場のメイン区画につながる通路には巨大な隔壁もあり、これでは突破には時間がかかりすぎる。
あなたたちはそのまま壁を蹴り、大幅に道順をショートカットすると窓を突き破り、工場内に飛び込んだ!
「アイエエエエ!?」「暴徒!?」「ナンデ!?」
工場内では暴徒が押し寄せていることは知っていたものの、隔壁があるため安心とされそのまま労働に従事していた作業員や監督役サラリマンたちが、突然突入してきたあなた達に驚愕!BRS(暴徒・リアリティ・ショック)を起こし失禁しているものもいる!
セキュリティルームはこの先だ。あなたたちは地図に従って通路をかけ……ドアを蹴り破った!
「「「ザッケンナコラー!!!!」」」
ナムサン!セキュリティルームには数体の警備用クローンヤクザ!戦うしかない!
◆クローンヤクザ(Y-12型) (種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)
カラテ 2 体力 1
ニューロン 1 精神力 1
ワザマエ 3 脚力 2
ジツ – 万札 1
攻撃/射撃/機先/電脳 2/3/1/1
◇装備や特記事項
チャカガン: 銃器、連射1、ダメージ1
◆暴徒鎮圧用マシンガン (種別:戦闘兵器)
カラテ - 体力 2
ニューロン 2 精神力 -(精神攻撃無効)
ワザマエ 4 脚力 -(移動しない)
ジツ – 万札 1
攻撃/射撃/機先/電脳 -/4/2/2
◇装備や特記事項
鎮圧用ゴム弾: 銃器、連射1、ダメージ1
◆サカイエサン・トーフ工場襲撃2
あなたたちはセキュリティルームを制圧した。それから30分と経たず、サカイエサン・トーフ工場は地獄へと変わっていた。そこかしこから火の手が上がり、未精練トーフエキスが工場区画全域に撒き散らされ、あの独特の鼻を突く異臭が充満していた。脱出できたトーフ労働者らは、マストドンが蟻に食い殺される様子を映画のように眺めている。
「屋上のヘリで逃げましょう、サナダ=サン」
「待ってください、金庫の中にある大トロ粉末や、そこにあるUNIXのデータを消去しておかないと!」
「とんだイディオットですね! 今すぐセプクしてほしいくらいだ!」
「何ですって!」
その頃、重役室では、二人のカチグミ・サラリマンが互いを罵り合っていたが……
――DOOOOM!
重役室のドアが蹴破られ、数人が中になだれ込む……
すわ、もうここまで暴徒がやってきたのか?いや、違う!それらは一様にただの暴徒とは違うアトモスフィアを醸し出しており……あからさまに、ニンジャ!つまりはあなたたちであった。
「マーベラス!これほど短時間で事が済むとは。やはり、あなた達を作戦に引き込んで正解でした」
そして、それに続くように重役室に入り込んでくるはサイバー車椅子にニンジャ装束のビホルダーである。
「ア、アイエエエ!?」「暴徒!?ニンジャ!?ナンデ!?オボボーッ!!!」
重役サラリマンたちは、その手に株券や万札、トロ粉末を持ったまま膝から崩れ落ち失禁!
「助けてください……見逃してください……」「アイエエエ……ニンジャ……ニンジャナンデ……」
「あなたたちは我々の不興を買った。故に、消えていただきます」
ビホルダーはサイバーサングラスの透過率を50%にセットし、重役サラリマンたちに視線を向ける!すると!
「アバッババババーッ!!!!」「オゴーッ!!!オゴゴーッ!!!!」
重役サラリマンたちはカナシバリ・ジツを受けてもだえ苦しむ!おお、ゴウランガ!これは精神破壊を伴う残虐なニンジャのジツであり、モータルなら数秒も経たず発狂!狂死してしまうのだ!ナムアミダブツ!
そうして、重役サラリマンたちの始末がついたころ……
「ビホルダー=サン! 大丈夫か!? ビホルダー……サン?」
あなたたちからだいぶ遅れて、暴徒の一団が重役室専用エレベータを使いこの惨劇の現場に姿を現した。
「アイエッ……!?」
しかし、ニンジャ装束姿のビホルダーを見て暴徒の一団は戸惑いの声を上げる。この一団はバリキオーバードーズで完全に暴徒化する一歩手前で止まっており、略奪や破壊よりもビホルダーを心配してここに駆け付けたのだ……それが、ある意味では暴徒たちの不運であった。
「もはや君たちに用はない。下のトーフエリアで適当にトーフでも貪っていればよかったものを……」
ビホルダーはめんどくさそうに、そして冷酷に言い放つとさらにサイバーサングラスの透過率を上げようとする。モータルであれば即死!ナムサン!
その時! 外に面した重役室の防弾ガラスとショウジ戸をもろともに突き破りながら、赤黒いニンジャ装束をまとった人影が、トーフ工場の黒煙を暗黒のジュウニヒトエのように纏い棚引かせながら、勢い良く飛び込んできたのである!
「Wasshoi!」
前方回転とともにニンジャロープからひらりと飛び降りると、その男は背筋をピンと伸ばした姿勢でコケシコタツの上に着地し、腕を組んだ直立不動の姿勢を取った。「忍」「殺」と彫られた鋼鉄メンポから、殺気に満ちた呼気が漏れ出す。
「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
アイサツからコンマ1秒!ニンジャスレイヤーはそのまま、ビホルダーに挑みかかる!
「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ビホルダーです!イヤーッ!」
しかしチョップ突きに対してカウンターめいてカナシバリを放つビホルダー。チョーチョーハッシの戦い!
「あなたたちはそこの暴徒を始末しなさい! 変にこの件にニンジャがどうのと土をつけられても敵いませんので……」
ビホルダーはニンジャスレイヤーと巧みにカラテしつつ、あなた達に指示を飛ばす!やるしかない!
◆暴徒(種別:モータル)
カラテ 2 体力 1
ニューロン 1 精神力 1
ワザマエ 2 脚力 2
ジツ – 万札 1
攻撃/射撃/機先/電脳 2/3/1/1
◇装備や特記事項
角材 近接武器NORMAL ダメージ1
◆シガキ・サイゼン (種別:モータル/ボス級の敵)
カラテ 6 体力 6
ニューロン 3 精神力 3
ワザマエ 3 脚力 3
ジツ – 万札 1
攻撃/射撃/機先/電脳 7/3/3/3
回避/ 7/
◇装備や特記事項
テッコLV1
◉テクノカラテ
このキャラクターはニンジャでなくとも、
出目6で痛打+1、出目6,6でサツバツが発生する(ナムアミダブツはなし)
「グワーッ!?」
致命の一撃を受けたシガキが窓の外に吹き飛ばされる!
「ヌゥーッ!」
ニンジャスレイヤーは素早くそれを一瞥し、フックロープ投擲!手すりにロープをひっかけると、それを掴んだまま飛び込み台めいて手すりを飛び越えダイヴした!
「マケグミのモータルにナサケを掛けるとは甘いぞ、ニンジャスレイヤー=サン!」
咄嗟にビホルダーが車椅子を走らせ、フックロープを切断に行く!
しかし……フックロープは寸でのところで外され、回収された。
「多勢に無勢とみて、逃走したか……」
ビホルダーの見立ては当たっていた。ニンジャスレイヤーは敵が多く、手練れていると見て不利を悟り一度撤退したのだ。こうして、あなたたちはサカイエサン・トーフ社工場襲撃を成功させた。
◆リザルト
数日後、あなた達はソニックブームによって、ソウカイヤのブリーフィングルームに呼び出された。
「……先日のサカイエサン・トーフの一件はご苦労だった。ビホルダー=サンから聞いたが、ニンジャスレイヤーとかいう野良犬と交戦したそうだな」
「現在調査中だがニンジャスレイヤーは目障りなドラゴン・ドージョーともつながりを持っている可能性がある。ヤツらには必ずソウカイヤに逆らったオトシマエをつけさせるが……今回はよくやった、と言っておいてやるか」
「報酬は後で振り込ませる。では解散。次のクエストに向けて十分休んでおけよ!」
そう言って、ソニックブームはブリーフィングルームを後にした。