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ニンジャスレイヤーTRPG第2版シナリオ『波形の中のゴースト』

これはニンジャスレイヤーTRPG第2版用のシナリオです。DHTLSの規約と良識の範囲内で自由に使用してください。

◆シナリオサマリー

対象:3人の名声5~10程度の善良ストリートニンジャ
難易度:NORMAL
キャラロスト:あり
余暇:標準(4スロット)

◆備考◆
このシナリオは調査が多く、ニューロン・ワザマエが低い場合やや厳しい。
もし調査に行き詰った場合、全員の精神力1を消費して次のシークエンスに進んでよい(調査に手こずり、疲労したと考える)

◆これまでのあらすじ◆

反アマクダリ海賊放送レディオグループ『KMCレディオ』(キツネ・ムレ・チイサイ・レディオ)の熱心なリスナーの一人が、レディオ放送にまじる『謎のノイズ』の存在を発見し、それがちょっとした『都市伝説』として話題になっているという。

曰く、謎のノイズはデータファイルとして書き出すことができ、そのデータを見た者は次元の裂け目に飲まれてこの世から姿を消す……というものだ。実際、このデータを解析していたリスナーグループが姿を消した、という噂が広まっており、KMCレディオの首魁DJゼンストームはこの件の調査をあなた達に依頼した。

◆物語の真相

謎のノイズはオナタカミ社の不正を暴こうとした内部告発者が残したものでデータであり、中にはそれぞれ4つに分割された地点を指し示す断片的な位置データが入っており、それぞれオナタカミ社とハイデッカーが行っていた非合法行為(盗聴・リスナーグループ違法監禁・殺害・科学実験)の場所が記されていた。

内部告発者は自力でこれを告発できず、KMCに任せたのだ。

◆ダンゴウ

「ヨー、適当に掛けてくれ。チェリー、お客さんにチャ、頼むわ」

「あいよハンサム」

あなた達はKMCレディオのアジトに招かれた。非合法海賊放送グループのアジトというだけあって、とある廃ビルの一室を改造したスタジオは狭く、ところどころ壁の防音材などがむき出しとなっている個所すらある。

「じゃ、アイスブレイクとして自己紹介から行こうか。俺はヒナヤ・イケル・タニグチ。通称DJゼンストームって呼ばれてる。あんたらは?ニンジャにもちゃんとした名前はあるんだろ?」

NMはPLにアイサツをするよう促す

「オーケイ、わかった。それじゃあさっそく今回の仕事に話に入ろう。マンタ、例のもん、頼む」

「アイ、アイ」

――ダダッタダダッタ、ワオワオキュカキュカ、キューキュカコー

「…ヘイ、人々、聴け。今夜もDJゼン・ストームと12人のクルーが送る、革命レディオ!キツネ・ムレ・チイサイ!」


ゼンストームが大柄なクルーに指示をすると、すぐさま刺激的な重低音と共にリズミカルなリリックめいた革命レディオの声が聞こえてきた!

「聞いたことがあるかどうかはどうでもいいが、こりゃうちの放送だ。ちょっとまってろ、問題の個所はもう少し後だ」

そうして、しばらくDJゼンストームとゲストの小気味良いトークが続いたのだが……ふいに、DJゼンストームが静かに、という風に指を立てる。

「これまでも何度かレディオで取り上げたがUNIXテクノコアの走りである『分岐命令』のアルzzzgバム、3枚目に収録されてるあの……」

「ここだ!」

DJゼンストームは、声を張り上げる。

「一瞬、ノイズめいた雑音が入ったろ?」

お判りいただけただろうか。ニンジャ聴覚をもってしても、
ほんの一瞬のことで聞き逃したものもいるかもしれない。

「このノイズが、最近一種の『都市伝説』になってんだ」

「なんでも、このノイズを特定の方法でエンコードすると、
 とある『データ』になるらしい」

「それで、その『データ』の内容を見た者は『死ぬ』だとか次元の裂け目に飲まれて『行方不明になる』なんてのが都市伝説の内容だ」

……聞いていれば、荒唐無稽な『都市伝説』が飛び出した。
この手の都市伝説はIRC上でよくあるタイプの怪談ものだが……

「最初こそ、俺らも偶然電子的ノイズが入ったんだろう、ぐらいで気にはしてなかった。だが、とあるリスナーのグループがこの『データ』を面白半分で調べて……実際に『消息不明』になってる。これは確かな情報だ」

「……リスナーに被害が出ている、となっちゃ大問題。
 俺たちはすぐにそのノイズを調べてみた。するとだな……」

そういって、タニグチは卓に置かれていたノート型UNIXの画面をあなた達にみせた。そこにあったのは……

『ネオサイタマ地理ガイド』なる読んで字のごとく、ネオサイタマの地理やランドマークを簡単に解説した観光客向けのサイトと……

青と緑のチェスボード/直線に挟まれた/ボンズ

というハイクであった。

「実際に、データとして復号できちまったんだ……
しかも、これでデータは全部じゃねえ。今、マウスとセントエルモが
データを大急ぎで解析してるから、何かわかればアンタたちにデータを回す」

「しかし……ヨー、これはきっと、何かあるに違いねえ」

「アンタたちには、この件の調査を依頼したい。
 報酬は……最大限大盤振る舞いして万札20ってところだ。頼めねえか?」

NMは値上げ交渉などあれば対応する

「受けてくれるか、ありがたいぜ!
 おい!ニスイ、来な!」

DJゼンストームは、白い歯を見せて笑いながらアジトの奥に呼びかけた。
すると、アジトの奥から現れたのは小柄な少年……いや、ニンジャであった。

「………………」

「ヘイ、ニスイそう固くなるな。こいつらは信用できる。
 そう思ったから、このアジトまで呼んだんだぜ」

ニンジャはどうやら、KMCのクルーのようでややあなた達に警戒しているようだったが……

「ドーモ、デリヴァラーです」

おずおずと頭を下げてあなた達に、アイサツをした。

「こいつは俺の自慢の息子『ニスイ』だ。
 ニンジャネーム?つうのか?それはデリヴァラー。
 あんたたちにはそっちの方が通りがいいかもな」

DJゼンストームは、ニスイに歩み寄りその小さな肩を叩きながら快活に笑った。

「うちのリスナーに被害が出てる以上、うちだって動かなきゃならねえ……そこで、ニスイをアンタらと共に行かせてくれねえか?」

「俺は一人でも大丈夫だよ、父さん。
 それとも、俺はそんなに頼りないのか?」

デリヴァラー……ニスイとやらはやや不満げな目でDJゼンストームを見た

「ニスイ、この件は何かヤバイ感じがする。
 お前ひとりじゃあダメってわけじゃないが、保険っつーか……
 それに、お前……聞き込みとかちょっと苦手だろ?」

「…………」

「こいつは……ニスイは、銃の腕は確かで、調査なんかは得意だ。足手まといにはならないから、連れて行ってやってくれ。あ、当然何かあれば、俺たちもできることは手伝うぜ」

ゼンストームはあなた達に向き直り、ニスイの肩を押す。

「…………ドーモ」

ニスイはやや観念したようにため息をつき、あなた達に歩み寄る。
KMCレディオ的にも、リスナーの問題を完全に外部に委託するというのは
まずいのだろう。ここはニスイを連れて行ってあげよう。

◆調査フェイズ1

「といっても……まずはどうするかだな。
 さっきのURLとハイク……これだけが手がかりだ」

DJゼンストームは顎髭をさすりながら、俳句をぶつぶつとつぶやき、
ニスイはUNIXとにらめっこしている……

ここでは、先のヒントをもとにRPなどを交え、次の行動をPLに考えさせる。
NMはDJゼンストームとニスイをNPCとして動かしつつ、PLが迷うようなら適宜ヒントを与えていくのが望ましい

最終的に「タンボ平原の2つの線路の間にある寺」という推理ができればよい

「なるほど……」

ニスイは感心した様子で、あなた達の推理を聞き目を丸くした。

「寺……あった。今はもう廃寺になってるが、デカシタ・テンプルってのが、タンボ平原にあったみたいだ。場所もだいたい、チョッコビン社とヨリトモ&ベンケイ社の線路の間にある……かなりクサイな」

DJゼンストームはUNIXを捜査し、地図アプリケーションで寺の位置を探り出す……

「さしあたっての目的はここだな。
 じゃ、現場の方は頼んだぜ。俺たちは残りのデータを解析してみる」

こうして、あなた達はタンボ平原の廃テンプルに向かった。

◆デカシタ・テンプル

タンボ平原はソード山脈から吹く風の影響で重金属酸性雨をもたらす雲があまり流れてこない、風光明媚な田園地帯である。ハイクにもあった青と緑のチェスボードめいたバイオ米とバイオネギの畑にぽつぽつとカチグミの別荘や療養施設が立ち並ぶなか、そこを横断するように2つの競合運送系メガコーポの線路が敷設されている。

「……ここか」

そんな畑の中に、小さな竹藪があり半ばそれに隠されるようにして建っているのが『デカシタ・テンプル』であった。本堂もほとんど朽ちており天井は崩れ、雨ざらしになったタタミを突き破り、若竹が伸びているありさまだ。

「なにかあるなら、ここのはずだ。探してみよう」

ニスイは、やや警戒しながら本堂周辺を捜索し始めた。
あなたたちも、何かないか探してみるべきだろう。

PCは全員、ニューロンorワザマエHARDで判定。成功時以下の情報を開示する。

本堂脇の井戸の脇には、不づり合いなチェーン製の吊り梯子があり、
どうやらたまに使われている形跡がある。

「明らかに、井戸の底に降りるのに使ったって感じだな。
 実際、井戸は……枯れてるみたいだ」

ニスイが井戸に小石を投げ込むと、からんからんとそこにあたる音が反響して響いてきた。あなたたちは、井戸の縁に吊り梯子をかけ、そこへと降りてみる。すると、井戸の底にはさらに横穴があり、その奥には鋼鉄製の檻がいくつか設えられていた。

そしてその中には……すでに白骨化した、何体かの死体が転がっている……

「…………クリア、トラップや大きな生き物の気配はない」

クリアリングをしていたニスイの言う通り、トラップはなく、
いるとしても蜘蛛やネズミの類ぐらいだ。とにかく、都市伝説を追ってくれば、なぞの死体の遺棄された牢屋に当たった……これはやはり、ただ事ではない。調査してみるべきだろう。

PCは全員、ニューロンorワザマエHARDで判定。成功時以下の情報を開示する。もし全員が失敗した場合、ニスイに見つけさせるとよい。

あなたたちは、最も新しいと思われるまだ衣服が朽ちずにのこっていた死体を調べてみたところ、そのポケットからバッジ……いや、ピンだろうか?装飾具の類を発見した。そのピンには小さいながら『御名高嶺工業』と刻み込まれている……

「おなたかみ……ハイデッカー御用達のメガコーポか……」

ニスイが無感情につぶやく。オナタカミは元オムラ系の下請けだったが、離反し最近ではハイデッカーなどに多数の装備や兵器を卸している暗黒メガコーポだ。

『ヨー。ヨー。PINGは良好。聞こえてるか?』

その時、ニスイのウェアラブルIRCデバイスから、DJゼンストームの声が響いた。

「どうしたんだ? 父さん」

『取り込み中か? それならすまねえが、セントエルモとマウスが
 データの解析してたところ、また『ハイク』が出てきたんで、知らせておこうと思ってな』

『ジグラットの/鬼門を守る/ネオサイタマの象徴』

『だそうだ……何のことかわかるか?』

「…………」

ニスイは顎に手を当てて考え込む。恐らくこの場で手に入れられる情報はこれ以上なさそうだ。ここは、このハイクの謎を解き、おそらく現れるであろうヒントを手に入れることに集中しよう。

◆調査フェイズ2

ここでは、先のヒントをもとにRPなどを交え、次の行動をPLに考えさせる。
NMはDJゼンストームとニスイをNPCとして動かしつつ、PLが迷うようなら適宜ヒントを与えていくのが望ましい

最終的に「マルノウチスゴイタカイビル」という推理ができればよい

「そうか……マルノウチスゴイタカイビルは、カスミガセキ・ジグラットの北東……鬼門に当たる場所にある。なるほどな……」

ニスイは、あなた達の推理を聞き納得した様子だ。

「マルノウチスゴイタカイビルに、行ってみよう」

あなたたちはニスイと共に行動を開始した。

◆マルノウチスゴイタカイビル

「はー……」

カスミガセキ・ジグラットやトコロザワ・ピラーと並ぶネオサイタマの象徴であるマルノウチスゴイタカイビル。ネオサイタマならどこからでも見ることができるほどの大きさだが、普段実際に訪れることはなかったのか、ニスイは下から見上げて驚いたような表情を見せている。

「普段は気にしてなかったけど、近くで見ると、すごいな……」

「でもここに、何があるんだ……?」

『アー、それなんだが……』

再びニスイのウェアラブルIRCデバイスに着信!

『どうやらその辺で、妙な電波が飛んでやがる。例のノイズにも似た、なにか。ハッカー・カルトの違法電波かとも思ったが……近くで『モデム』を探せ。アンテナみたいなやつ。おそらく、どこかにあるそれが発信源のはずだ』

PCは全員、ニューロンorワザマエNORMALで判定。成功時、次のシークエンスに移動する

あなた達が調査を行うと、マルノウチスゴイタカイビル抗争慰霊碑の脇の植え込みで、モデムを発見できた。

「これか……どうやら、無線LANの中継スポットかなにかみたいだな……どこかにデータを送信してる……?」

ニスイがモデムを拾い上げ、検分する。どうやら彼の言う通りこの周辺の電波を無作為にキャッチしてそれをどこかに送っているようだ。

『ヨー、こっちでもその電波を解析してみたが、ネオサイタマ中のサーバーを経由して、送信先を偽装してやがる。だがどうやら、この辺を通る観光客なんかのウェアラブルIRCや生体LANポートなんかに勝手に接続して、情報を抜いてるみたいだ。このレベルの技術は一介のハッカーじゃあできねえ。どこかのメガコーポの仕業だぞ』

『で、だ……こっちは放送に紛れ込んだノイズの解析が終わったぜ。最後に出てきたのはこういう文言だ。』

『脳髄横丁で頭にサイバネ埋め込んで、暗黒メガコーポに戦いを挑んでみるか』

「脳髄横丁……地名か……さっきのネオサイタマ地理ガイドにそういうの、ない?」

ニスイはウェアラブルIRC上で、確認を始める。あなた達もあのウェブページからそれらしき場所を探してみるとしよう。

◆調査フェイズ3

ここでは、先のヒントをもとにRPなどを交え、次の行動をPLに考えさせる。
NMはDJゼンストームとニスイをNPCとして動かしつつ、PLが迷うようなら適宜ヒントを与えていくのが望ましい

最終的に「渾崎地区および脳髄横丁」という推理ができればよい

「脳髄横丁……渾崎か……」
渾崎地区といえば、横浜のさびれた港湾地帯。オナタカミ重工のおひざ元でもある。

『渾崎……ビンゴだ。例のモデムから発信されてたデータの送り先は、渾崎地区。脳髄横丁にある雑居ビルで間違いない。こいつは臭いぞ……』

「行ってみよう……!」

あなた達はニスイと共に色付きの風となって駆けだした。

◆渾崎地区・脳髄横丁雑居ビル

重金属酸性雨降りしきる脳髄横丁。『高品質な』『トルク』『免税店』などの魅力的な文言のネオンサインが立ち並ぶ違法サイバネ商品街の一角に、その雑居ビルはあった。一見、廃業しているようにも見えるがその実大量のLANケーブルがビル内に引き込まれており、周囲をフクスケ・ドローンに偽装したオナタカミ社の最新偵察ドローンが警備している。

「ここから入れそうだ」

抜かりなく施設周辺を偵察したニスイは、ビルの監視網の穴を発見。さらに内部に明り取り窓から内部へと侵入していく……

ここで各PLにMAPを開示する。(コピーして使ってください)
各部屋に便宜上A~Fの記号を振ってあるので、いかにそれぞれの部屋で起きるイベント等を記載する

Aの部屋

この部屋はPCとニスイたちが侵入した部屋であり、トイレである。薄暗く、何年も使われていないのかモップなどが部屋の片隅に置かれているだけだ。
この部屋では特に何も行える行動はなく調べても何も出てこない。

Bの部屋

この部屋は休憩室のようで、『洗練それがオナタカミ』『打倒オムラ』『支配的な』などのショドーが掲げられている。この部屋を調査したなら

【万札:1】:濃縮ザゼンドリンク:
  【精神力】1回復、使い切り、ドラッグ

がアイテムとして得られるほか、無数の『モデム』がオナタカミのロゴ入り段ボールに入った状態で備品めいて置かれているのが見つかるだろう。またこの部屋の左側のドアは緊急避難用の階段であり、何かあればここから外に出ることができる

Cの部屋

ここは通路めいていて、東西南北にひとつづつ扉がある。
南側の部屋にはUNIXルーム、北側の部屋には保護ルーム、東側には表門と書かれており、西側は今君たちが出てきた休憩室だ。

Dの部屋(UNIXルーム)

この部屋を調べることで

【万札:3】:トロ粉末:
  【精神力】2回復、使い切り、ドラッグ

を獲得できる。

さらに、UNIXを調べればEの部屋(保護ルーム)の扉にトラップが仕掛けられていることがわかり、ハッキング判定HARDで解除することができる。

UNIXを深く調べる場合はハッキング判定U-HARDを要求され、失敗するごとに攻勢防壁によるハッキングで体力に1ダメージを受ける。成功した場合、『潜在的に危険な市民をビッグデータから解析し、ハイデッカーがリストアップおよび検挙する行為(現在は違法な)』というデータが見つかり、どうやらそう言った事が可能になる法律をアマクダリが通そうとしていることがわかると共に、そうしたデータが蓄積されていることがわかる。この場合の以下の台詞を読み上げる事。実際に破壊するかどうかはPCに選択させる

「……こんなの、ただのアマクダリ・セクトに都合がいい監視社会だ。ビッグデータでもなんでもない」

『ヨー、こいつはオナタカミとハイデッカーの誰でも知ってるが誰も言わない癒着の証拠だ……が、そのまま置いておくのははばかられるな。ブッ壊しちまおう。俺たちの今回の目的はリスナーたちを護ることだ』

Eの部屋

この部屋に入ろうとしたとき、Dの部屋でトラップを解除していない場合、代表者にニューロン判定U-HARDを行わせる。失敗した場合、そのキャラクターは高圧電流により1ダメージを受ける。

トラップが発覚したのち、ハッキング判定UHでトラップ解除を試みることができるが、失敗するごとに判定者が1ダメージを受ける。

内部に侵入できた場合、以下の文を読み上げる

「だ、誰だ……?」「アイエエエ、助けて!KMCとは何も関係ないです。聞いてただけです」「もう酷い事はヤメテ!電波を探ったことは謝りますから」

内部に入ると、そこはひどい有様だった。明らかにこと切れている数人の遺体の中にまだ息のある若い男女3人が倒れ伏している。

「もしかして……リスナーの人たち?わかる?キツネ・ムレ・チイサイ……」

ニスイは彼らの言葉から、消えたリスナーではないかとアタリをつける。そして実際、それは当たっていた。

「そ、そうです。もしかして助けに来てくれたんですか?」

男が一人、恐る恐るニスイに話しかけた。ニスイは、それにうなずくと男は涙を流し喜びをあらわにした。彼らの話を聞く限り、どうも例のノイズを面白半分で探ったところ、この雑居ビルにたどり着いたらしい。しかしそこでハイデッカーに捕らえられ、ここに監禁されたのだという。

「ハイデッカーの奴ら、なんでも『アマクダリ支配』?のための法律が通った時のためにデータが必要だとかいってました」

「今は違法だけど、それが合法になった時に素早く敵対者を検挙するだとかなんとか……」

とにかく、捕らえられたリスナーを見つけられたことは幸いだ。このまま彼らを逃がしてやらなければ!

「………………!」

その時、ニスイがピクリと反応した。あなた達の中でも、音や気配に鋭いものがいれば表門のほうから多数の足音が聞こえるのがわかるだろう。どうやら敵に気づかれてしまったらしい。

「裏の非常階段から逃げるんだ。そっちはまだ、敵の手が回ってない」

「アイエエエ……」

ニスイに促され、そそくさと逃げ去っていくリスナーたち。しかし、彼らを逃がすには表から来る敵を足止めしなくてはならないだろう!

NMはFの部屋の東入り口付近に、ハイデッカー6体とニンジャ『パルスウェーブ』を配置する。パルスウェーブのデータは以下の通り。オリジナルのニンジャであるため、パルスウェーブは適当にやりやすいようにRPしてくれて構わない。(やりづらければ極端に無口で最低限のことしか喋らないニンジャでいいだろう)

◆パルスウェーブ  (種別:ニンジャ)
カラテ    6  体力   10
ニューロン  12  精神力  17
ワザマエ   6  脚力   3/N
ジツ     5  万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  7/7/14/16
回避/精密/側転/発動  12/6/6/18

◇装備や特記事項
 ▶︎生体LAN端子LV2 クロームハートLV1
☆カナシバリ・ジツLV3 ★マインドブラスト・ジツ ★★グレーター・マインドブラスト・ジツ
◉ニンジャソウルの闇 ◉◉グレーター級ソウルの力 ◉頑強なる肉体

◆戦闘終了後

あなたたちは、ハイデッカーとアマクダリニンジャである『パルスウェーブ』を撃破した。リスナーたちも何とか逃げおおせたようで、後にKMCに無事を知らせるメッセージが届いたという。

今回の事件は、結局なんだったのだろうか。ニスイは状況証拠ながら、なんとなく事件の背景を推理する。おそらく、あのノイズはなんらかの内部告発だったのではないだろうか?表立って告発できるほどの勇気はないが、それでもこのニンジャ陰謀を見過ごせなかったオナタカミ社内部の誰かが、アンタイセイ・反アマクダリ色の濃い自分たちが気づくことを願って、海賊放送にデータ入りのノイズを紛れ込ませた……もしかすると内部告発者はあのタンボ平原の地下牢で死んでいた人物だったかも……

そこまで考えて、ニスイは考えるのをやめた。結局は確証のない自分の推理であり、内部告発者が死んでしまったという推論は少し空しくなってしまったからでもある。

とにかく、今回の事件でアマクダリの陰謀の一端が明らかになったことは事実だ。それを食い止められただけでも、今回は良しとしよう……

◆報酬

万札20+名声1+余暇4日を基本とする





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