ニンジャスレイヤーTRPG第2版シナリオ集『AOSニチョームキャンペイグン』第12話『ネヴァーダイズ:ムーンオーバー2038』
この記事はニンジャスレイヤーTRPG第2版においてのロングキャンペーンシナリオの第12話となります。各種データ等はDHTLS公式の定めるガイドライン内において、自由に使用・改変していただいて構いません。データには多分にプラグインデータおよびデータ実験場のβ段階のデータが含まれるため、NMおよび参加者はTRPGメンバーシップへの加入を推奨します。
なおキャンペイグンのまとめページはこちら
この記事では以下の素材集の立ち絵を使用させていただいています
◆シナリオサマリー◆
◆シナリオ本編◆
+++NINJA SLAYER NEVER DIES+++
+++MOON OVER 2038+++
DOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!
――ガガガガッ!!!!ガガッ!ガッ!ガッ!
――ガガ……zm
ドックエリアの地面を火花を散らしながら強行着陸したスペースシャトルが滑り……やがて停止する。
あなた達は、成田宇宙港に残されていたアマクダリのスペースシップを利用し、月に降り立った。深部へとつながるであろう、ガラス質の薄い隔壁で覆われたエリアに入り込み、そこで宇宙服を脱ぎ去る。ニンジャスレイヤーも自らペイントした赤黒の宇宙服を脱ぎ捨てた。
ここからはもはやどうなるかわからない。あなたたちにとっても未知の領域だ。
【ニチョーム・ヤグラ337 4日前】
「つまり、アマクダリのメインフレームとやらは『2つ』あったってことか?」
よくわかんねえ、という風にアフロを掻きながら言うのはスーサイド。
ヤグラ337のブリーフィングルームには、やはりニンジャやニチョーム住人がぎゅうぎゅうづめになっている。
「そういうことね。そして、地上でA.R.G.O.Sとして活動していたのは、データをコピーしたもの。月にあるのが本物のメインフレーム……A.R.G.O.Sの本体だったというわけではないかしら。キョウリョク・カンケイやハーヴェスターの個人記録を調べたところ、シバタ・ソウジロウ……ニンジャネーム『アガメムノン』の行動についてわかった。このところ全く顔を出さないと思ったら、彼はどうやら月に行ったらしいわ。ニチョーム防衛戦の翌日に成田宇宙港からカイジュウ出現時における迎撃ミサイルの発射訓練という名目で、なにかが宇宙に打ち上げられた。おそらくこれがそう」
「フゥーム、何故、そのようなことを? 月面にA.R.G.O.Sの本体があるなら、そもそも地上にコピーを置く必要があるのか?」
流石のフューネラルもこれには疑問符。ご丁寧に頭の上でゲン・ジツではてなマークを作るなどして見せた。
「おそらく、象徴的な意味もあるでしょうけど、A.R.G.O.Sは『世界再定義』の要。もし破壊されても大丈夫なように本体を月に置いて、地上はそのコピーを動かしていたのね」
「高性能UNIXは、当然巨大なものになり電力を多量に消耗する。『世界再定義』はすなわち、A.R.G.O.Sに世界そのものの法則を書き換えてしまうような計算をさせること。ただ、月面だけではそこまでの電力を担保できる設備や資源がないんでしょう。だから、資源が多く、技術的にも旧世紀設備などが多く眠っているネオサイタマを手中に収めて、そこで稼働させる必要があった。『アガメムノン』がわざわざ宇宙へ行ったのは、なんらかの作業が月面で必要だからかもしれない」
「放っておけば、アマクダリ・セクトはどこかのメガコーポをひそかに取り込んで、また再定義のためのメインフレームを建造して同じことを繰り返す。ここで完全に止めないとどこにメインフレームを設置されるかわかったもんじゃない。次は海外とかかもね」
実際01の風は未だ吹いており、黄金立方体も依然空で輝いている。『世界再定義』は失敗したのではなく、ただ途中で一時停止めいて止まっているだけなのだ。
「海外にもいってみてェっちゃいってみてぇが、このままアマクダリを残していくのも気分が悪いぜ……」
サヴァイヴァー・ドージョーのハイドラが腕組みをしながら言う。
「……でも、月ってどうするのこれ。またオムラのモーターツヨシ? いやね、オムラ・インダストリの人たちの前でこんなん言うのアレなんだけどさ。アレまじで乗り心地最悪で……吐いちゃった。そもそも大気圏と月じゃいろいろ違うし、そのまんまあれまたつくってGOってわけにもいかないでしょ? 実際どうすんのホント」
フィルギアが冗談めかして言うが、実際月面にどうやって行くのか。
「それに関しては行く分には問題ない。おそらく、他の12人。スターゲイザーあたりはアガメムノンに忠実だったようだから。後々連れていく予定があったんでしょうね。成田宇宙港に『拡張性』っていう名前のシャトルが残されている。それを使えばいい」
「行く分には……ってことは、やっぱりなんかあるのか? こんどこそ、行きだけの片道切符とか?」
フェイタルがチャブに頬をついて。
「いえ、打ち上げには非常に繊細な調整が必要で、当然シャトルはできるだけ軽くする必要があるから、些細な持ち物ですら事前に重さを計量するほどなの。つまり、宇宙に打ち上げられる人数にも限りがある。だから今回ばかりは全員で乗り込むわけにはいかないってこと。最精鋭を送り込む必要がある。既に、目星は付けてあるんだけどね」
◆ 月面基地 ◆
そして、月面に送り込まれたのがあなた達と……ニンジャスレイヤーというわけだ。A.R.G.O.Sを破壊するためのプログラムはフロッピーに書き出され、ニンジャスレイヤーが所持している。
「………………」
ニンジャスレイヤーはあなた達が宇宙服を脱ぎ去り特に問題がないことを確認すると、静かに足音を響かせながら歩きだした。
壁から発せられる柔らかな光。リラクゼーション音楽。何かしらを暗示する荘厳な壁画。あなたたちは黒い大理石めいた滑らかな素材で作られた通路を進んでいた。
走る。
左。前。右。前。左。
走る。走る。走る。
前衛的ニンジャ彫像が並んだ回廊。
更に走る――
そして、たどり着いたのは流線型に湾曲した黒い柱列のある回廊であった。
「ドーモ、ドラゴンベインです」
「ドーモ、スワッシュバックラーです」
そこにいたのは……2人のニンジャである!
「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
「鷲の宮殿に、まさしく招かれざる客がこうもわらわらと来るとはまったくもって興が削がれる。君たちに再定義後の世界への招待状を送った覚えはないのだが」
あなた達のアイサツにドラゴンベインが油断なくカラテを構え、また、諧謔家スワッシュバックラーが鼻で笑った。
「……宮殿という割にはあっさりと侵入を許したな。豪奢を装いながら形だけの空虚な建物。月の王を気取るが出迎えによこすのは武骨者と道化のみ。おままごとで作った泥の家のほうがまだオモテナシがしっかりしているぞ」
「……見解の相違だな。仕方あるまい。不埒者どもには素早くお別れを申し上げ、ジゴクに送り届けて差し上げるとしよう」
「相違なし」
鷲のセスタス
(素手扱い、基礎威力2、連続攻撃+1、近接攻撃ダイス+1、
出目6で痛打+1、スリケンの代わりに圧縮空気弾を使用可能)
圧縮空気弾 連射2、射撃NORMAL、回避UH、ダメージ2+弾き飛ばし
【近接6,6,6】『◉ヒサツ・ワザ:圧縮空気弾ゼロ距離炸裂』
回避UH、痛打2D3+弾き飛ばし
・スワッシュバックラー
ドラゴンベインと同様、NPCデータ集のものを使用する。ただし装備として刺突剣(カタナ)の代わりに以下の装備を持たせること。
鷲の舌剣(基礎ダメージ2、ワザマエでの近接攻撃判定+5のカタナとみなす)
また、カラテ8、ニューロン9、ワザマエ16まであげ、パーソナルメンポ、華美な装束(伝統的ニンジャ装束)、ニンジャブレーサー、ニンジャレガースを装備し、◉ヒサツ・ワザ:ムーンシャドウ、◉グレーター・ツジギリ、◉トライアングルリープを追加して強化する。
◆ニンジャスレイヤー:ネオサイタマの死神 (種別:ニンジャ)
カラテ 17 体力 20
ニューロン 10 精神力 12
ワザマエ 12 脚力 9/N
ジツ 0 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 17/12/10/10
回避/精密/側転/発動 19/12/12/10
回避難易度修正: 対近接攻撃(難易度−1/ジュージツ)、対スリケン射撃(難易度−1/見切り)
ダメージ修正: 『鉄拳』の効果により、『近接攻撃』はダメージ2(1+1)、『装甲貫通1』となる。
ランスキック使用時は3ダメージ(1+1+痛打1)、『装甲貫通1』、『弾き飛ばし』となる。
◇装備や特記事項
家族の写真、パーソナルメンポ、伝統的ニンジャ装束
・ドウグ社製ブレーサー(回避ダイス+1、緊急回避ダイス+3、
『部位防御(腕部)』:シナリオ中最初に与えられたサツバツ出目5の付属効果を全て無視する)
・ドウグ社製レガース(体力+1、緊急回避ダイス+3、
『部位防御(脚部)』:シナリオ中最初に与えられたサツバツ出目2の付属効果を全て無視する)
・ドウグ社製フックロープ
手番開始フェイズ、手番終了フェイズ、もしくは弾き飛ばしが発生した直後に使用可能。
任意の相手に自動成功する射撃を行う。この射撃はいかなるダメージも生じないが
回避難易度HARDであり、この射撃を回避できなかった相手は次の手番終了フェイズまで
崩れ状態となり、ニンジャスレイヤーの隣のマスに再配置される。リチャージ1
『●連続攻撃3』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、
『◉◉戦闘系ソウルの力』、『◉頑強なる肉体』、『◉◉タツジン:ジュージツ』、
『◉◉タツジン:スリケン』、『◉スリケンの見切り』、『◉鉄拳』、『◉ランスキック』、
『◉ヒサツ:ワザ・ポン・パンチ』、『◉ヒサツ・ワザ:サマーソルトキック』、
『◉チャドー呼吸』、『◉ヒサツ・ワザ:タツマキケン』、『◉ヒサツ・ワザ:アラシノケン』、
『◉ヒサツ・ワザ:サツキ・ジキツキ』、『◉◉憎悪:ニンジャソウルの闇』、
『◉憎悪:ソウカイヤ』、『◉憎悪:ザイバツ』、『◉憎悪:アマクダリ』、『◉ヘルタツマキ』、
『◉ツヨイ・スリケン』、『◉ナラクの知識』、『◉不浄の炎』、『◉即死耐性』、
『◉知識:サラリマンの流儀』、『◉交渉:煽り』
またニンジャスレイヤー専用スキルは以下を参照
NM向け戦闘指針・ロールプレイ情報
◆ 最終決戦前 ◆
あなたたちの前に、2人のハタモトは爆発四散を遂げた。
しかしこれで終わりではない。おそらく最奥にあるであろう、メインフレームをハッキングせねばならぬ。
あなたたちはさらに駆ける。
と、途中で狭い枯山水庭園エリアに、休憩所を見つけた。
赤い布で覆われた腰掛、ワ・シで出来た雅なパラソルがあり、ゼンを感じる。その腰掛の上には盆にフレーク状の黄色いものがあり……寿司の匂いがする。これは……バッテラ・スシだ!
「………………」
ニンジャスレイヤーは毒見めいてそれを一口かじると、問題ないと判断し、
奥ゆかしく数枚だけを懐に入れた。
◆ 王の広間 ◆
キーラー・ヘヴィサイド盆地
その巨大な断崖に接する場所に水晶めいて美しいダイアモンド硬度ガラスで覆われた、巨大な玉座の間が存在する。
「……まったく遺憾だ。この最も真実に近い間へと足を踏み入れるのは本来『鷲』に連なる者のみ。君たちが如き矮小存在など、本来私にまみえることすら許されぬはずであるのに」
コココココ……というある種の心地よさのあるなんらかのデバイスの静かな駆動音にまじって、侮蔑を隠さぬ声が響いた。
「ドーモ、アガメムノンです」
王座の傍ら。静かな憎悪に白く眼を煮えたぎらせながら、掌からなんらかのデバイスに黄金の雷を放出し続けるはアガメムノン!右肩をはだけた純白の装束に身を包んだ彼は神話のオリンポス12忍めいている!これが、この男が……アマクダリ・セクトの首領!
「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
「わざわざ月面に王座をつくり、することは電池切れの機械の再起動か。セクトの首領が電気工とは知らなかったぞ」
ニンジャスレイヤーはただ無感情に切って捨てた。
「よくもまあ、ここまで短い間で長い時間をかけ我々が作り上げてきたシステムを破壊してくれた。だが、ここで貴様らを縊り殺し、粛々と。やがて何の変わりなくA.R.G.O.Sの再定義プロセスは完遂される。鷲の時代が来るのだ」
メインフレームの前に立ちはだかるは、アガメムノン。この男を倒さねば、UNIXを操作することなどできまい。
「……時代は君たちを容認しない。ただ静かに消え去れ。ケオスの時代の亡霊たちよ」
◆アガメムノン (種別:ニンジャ)
カラテ 18 体力 60
ニューロン 16 精神力 34
ワザマエ 16 脚力 9/N
ジツ 8 万札 600
攻撃/射撃/機先/電脳 20/18/16/16
回避/精密/側転/発動 22/18/16/26
緊急回避ダイス:8(アーチ級装束生成による)
◇装備や特記事項
アーチ級生成装束一式(魔術的な)
『●連続攻撃3』、『●連射3』、『●マルチターゲット』、
『●時間差』、『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』、
『★デン・エンハンス(常時発動)』、『★デン・スリケン(常時発動)』、
『★★★◉身体再構成』、『★★★◉アーチ級装束生成』、『★★★◉半神的存在』、
『★◉ヒサツ・ワザ:デン・ジツ注ぎ込み』、『◉忠誠心:アマクダリ』x4、
『◉マーク・オブ・アマクダリ(〈鷲の一族〉の誇り)』、『★★迸る雷』、
『★★雷神の化身』、『★★デン・スフィア』、『●即死耐性×2』、
『★★★てんからくだるもの』『●ゼウス・ニンジャの怒り』
『●ゼウス・ニンジャの怒り』
不如帰の効果に加えて、連続攻撃+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+3
『★★★◉身体再構成』
サツバツによる部位破壊を受けた時、それを体力ダメージD3に変換する
『★★迸る雷』:
ターン中1回のみの使用。
「手番開始フェイズ」で【精神力】を1消費し、発動を試みられる(難易度:HARD)。
発動に成功した場合、使用者から射線の通る相手全員に自動的に射撃成功となる(隣接は不可)。
ターゲットに『電磁ダメージ2』を与える。(回避NORMAL)
これはデン・スリケンとみなされスリケン種別の射撃となる。
『★★雷神の化身』:
移動・戦闘スタイル:雷神の化身を使用できる。
移動スタイル:雷神の化身:
体を雷そのものとして移動し、電磁属性の轢殺攻撃3を得る。
ただし、この移動スタイルを使用した場合は続く攻撃フェイズで
戦闘スタイル:雷神の化身を使用しなければならない。
戦闘スタイル:雷神の化身:
連続攻撃+2。発動ダイスを使って行う特殊な近接攻撃であり、
連続攻撃値はカラテ値の物を使う(このスタイルの修正値と合わせ、連続攻撃5となる)
この攻撃は軽減できず、痛打・サツバツ発生なしである。攻撃フェイズ終了後、
任意の場所に瞬間移動してよい
『★★★てんからくだるもの』:
手番「攻撃フェイズ」で【精神力】を3消費し、攻撃の代わりに発動を試みられる。
発動判定は通常どおり【ジツ】+【ニューロン】だが、『発動難易度:U-HARD』である。
発動に成功すると、視線の通る敵1体に対して電磁3D3ダメージ(回避難易度:U-HARD)を与える。
【6,6,6】:対象の周囲3x3にも電磁ダメージ2(回避HARDを与える)
『●不如帰』:このニンジャは不退転の決意を固めており、多対一の戦闘の中でも、
獅子奮迅の戦いぶりを見せる。 単独で2体以上のPCを相手に戦っている限り、このボスNPCは
1ターン中に2回の手番を得る。『一騎討ち』ルールと同様に、本来のイニシアチブ値で
1回目の手番が、イニシアチブ値の1/2で2回目の手番が回ってくるが、例外として、
直前の手番と同じ行動種別は選べず、同じターゲットも選べない。なお、ここでいう行動種別とは
「近接攻撃」「射撃」「ジツの使用」「その他の行動」である。
「同じジツ、同じスタイル、同じ轢殺攻撃は連続使用できない。
このとき、スタイル宣言なし、もスタイルの一種とみなす
(つまりスタイル宣言なしの近接攻撃を2回連続では行えない
★★デン・スフィア、★◉デン・ジツ注ぎ込みは以下を参照
◆戦闘中イベント集◆
アガメムノンの体力が30以下になった時:月破砕
「グワーッ!!!!」
あなたたちの猛攻がアガメムノンを捉え、神を名乗る男がたじろぐ。
その隙に、駆けだしたニンジャスレイヤーがUNIXに……!
「させん……!させるものか!鷲の……!人類の悲願を! オヒガンのケオスに対する復讐を……!」
アガメムノンはとっさにデン・スリケンの構え。しかし、遅い!ニンジャスレイヤーはそれよりも早く、そして奇しくも、妨害しようとするアガメムノンと同じようにフロッピーをスリケンめいて投げ……スロットに挿入!
死の楔が撃ち込まれ、A.R.G.O.Sの自我にヒビが入った。
――ZZZZZZZZZGGGG
ZZZZZGGGGGTOOOOOOOM!!!!
KRA-TOOOOOM!!!KABOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!
DOOOOOOOOOOOOM!!!!!!DOOOOOOOOOOOOM!!!!!!
DOOOOOOOOOOOOM!!!!!!DOOOOOOOOOOOOM!!!!!!
DOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!!
月が巨大な爆炎を吹き上げた!
宮殿が崩壊し、爆発と噴煙、粉塵が真空中に流出。
ニンジャスレイヤー、アガメムノン、そしてあなた達は宇宙の闇へと放りだされた。
しかし、直径10Mほどの雷球が、アガメムノンを中心に展開した。内部にはニンジャスレイヤーも、あなたたちもいる。
「オ……ノ……れ……」
そして、その内側には大気が満ちている……
「私は……私たちはネオサイタマに戻る。必ずだ」
ニンジャスレイヤーは決断的に言い放った。
「だが、オヌシは殺す」
「おの……れ……ニンジャスレイヤー=サン……!!!」
アガメムノンは壮絶な憤怒の表情で目を剥き、吼えた。
「人類は……エントロピーにあらがわねばならん!!!!鷲の翼として整然とならび!!!!イレギュラーに汚染された思考を棄て!!!!正道たる鷲の支配に首を垂れるべきであったのだ!!!!」
「言うも言うたり!だが!」
基地の極大爆発。崩壊していく宮殿。月面フレームと一体化していたアルゴスは死んだ。宇宙からでもぼんやりと地上に確認できたキンカクが消える。
「再定義は失敗に終わったか。懐かしい故郷も今しがた爆発したぞ。
次はオヌシの無駄なあがきすべてが、アマクダリと共に砕け散る番だ」
「貴、様……」
「貴……様だけは……殺す……!」
ニンジャスレイヤーも、アガメムノンも、あなたたちもこぶしを握り、構える。オクタゴン柔道場めいた雷球内側の閉鎖空間の中で最後の死闘が幕を開けた。
NM向け戦闘指針・ロールプレイ情報
◆ 決着 ◆
戦ううちあなたたちは大気圏を抜け磁気嵐の張れた日本列島が!
混沌のネオサイタマが視認できる距離まで、近づいていた!
「薄汚い大地!アルゴスを失い!もはや世界を正しく再定義させるすべは……! 貴様らが台無しにしたのだ!!!!!!」
狂乱して吼えるアガメムノン!
「徹頭徹尾!興味なし!」
「ニンジャ」
「殺すべし!」
無慈悲なるカラテが!カラテが!カラテあるのみ!!!!
「サ」
「ヨ」
「ナ」
「ラ」
「イイイイイィィィィヤァアアアアアアアァァァァァーーーーーッ!!!!!」
「 サ ヨ ナ ラ 」
インガオホー!アガメムノンは爆発四散!
その瞬間、雷球が四散!あなたたちは地球の重力と風にもまれながら、落ちていく……落ちていく……落ちていく……
ネオサイタマへ。マルノウチへ。スゴイタカイビルへ。
「イヤーッ!!!!」
タツジン!ニンジャスレイヤーは前転着地で衝撃を殺す!例えエンパイアステートビルの屋上から落ちようとも……大気圏外から落ちようとも前転して落下の衝撃を殺してしまえばよい!
……君たちは。ネオサイタマに帰還した。
「………………」
ニンジャスレイヤーは既に前転を終え、あなた達が無事着地するのを見届ける。それから、ほんの少しだけ空を見上げ、破砕した月をみた。もうインガオホーと呟かぬそれを。
「……イヤーッ!!!!!」
そしてニンジャスレイヤーは飛んだ。アガメムノンは滅び、アマクダリ・セクトは壊滅した。しかし、すべてのニンジャ横暴がなくなったわけではない。彼は……すでに次なる戦いにその身を投じたのだ。走れ!ニンジャスレイヤー!走れ!
◆ おしまい ◆
◆ 3日後 ◆
あれから君たちは泥のように眠り、それから目を覚ました。各々が日々のルーチンをしたり、自分が生きていることを確かめたり、磁気嵐の晴れた空にある破砕した月を見上げたりした後、絵馴染に顔を出す。壁にはすでにネオサイタマFES2038なる、破砕月をモチーフにした音楽フェスのポスターなどが貼られているあたり、たくましい。そして。
「おかえりなさい」
ネザークイーン、そしてヤモトは笑みを浮かべて君たちにそう言った。
+++NINJA SLAYER TRPG+++
+++MOON OVER 2038+++
+++そして+++
+++NICHOME CAMPAIGN+++
+++ここにおわる+++
◆余暇・セッション終了処理◆
おめでとう!きみたちはゲームをクリアした!
NM・PL全員に名誉が与えられる!ゴウランガ!ゴウランガ!
◆シナリオ後の状況◆
月は破砕され、アマクダリ・セクトによる世界再定義は失敗に終わった。同組織はもはや解体され、ニチョームに集ったニンジャたちもそれぞれの日常に戻り、生きていくし、時には死んでいく。
ここはネオサイタマ。欲望渦巻くケオスの都市だ。
◆死亡した原作ニンジャ◆
アガメムノン、アルゴス、ドラゴンベイン、スワッシュバックラー
◆トピック
きみたちはゲームをクリアした。これにてキャンペイグンは終了となる。