ニンジャスレイヤーTRPG第2版シナリオ集『AOSニチョームキャンペイグン』第6話『ライフライン・フラットライン』
この記事はニンジャスレイヤーTRPG第2版においてのロングキャンペーンシナリオの第6話となります。各種データ等はDHTLS公式の定めるガイドライン内において、自由に使用・改変していただいて構いません。データには多分にプラグインデータおよびデータ実験場のβ段階のデータが含まれるため、NMおよび参加者はTRPGメンバーシップへの加入を推奨します。
なおキャンペイグンのまとめページはこちら
この記事では以下の素材集の立ち絵を使用させていただいています
◆シナリオサマリー◆
◆シナリオ本編◆
◆ ライフライン・フラットライン ◆
ニチョームに赴任した監督官のヤイミ・コナギバは中心部にあるヤグラ337ビルを接収し、そこをオフィスに作り替え、さっそく様々な『監督官令』なる規則を発布し始めた。
法的拘束力はなく、あくまで町のきまりのようなもの……という建前だが、街にあちこちに配置されたハイデッカーが目を光らせ、破れば難癖をつけてくるのだ。そしてあなたたちは今、そのヤイミのオフィスにいる。
◆ニチョーム・ヤグラ337ビル……あらため監督官やいみのオフィス◆
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「梅コブチャです」
ブーメランパンツ一丁になったネヴァーモア、フューネラルがお立ち台の上で筋肉美を披露し、インパルスが盆に置かれたオカキと梅コブチャをホストめいて監督官ヤイミに恭しく差し出す。
「ホホホ! よいぞよいぞ。ニチョームはこうでなければ。そしてヤモト=サン! 肩を揉むのじゃ」
「アッハイ……」
ヤモトなどはオフィスチェアにふんぞり返るヤイミの肩を揉まされている。
「遅い。スシを買ってくるのにどれだけかかっている。減点だぞこれは」
そしてあなたたちは、ヤイミにスシやらヨロシコスメ類、おかし、チャ、コピー用紙などもろもろを買いに行かされていたのだ。
「ではナンシー=サン。午後からの予定を確認しておきたいのですが、読み上げていただいても?」
「はい。12:00からオナタカミ技術顧問のサイデン・マルティネス氏と会食。13:20ヨロシサン本社移動後、取締役会出席。14:40分から旧オムラプロジェクト区画を転用した新支社社屋の落成式に出席……」
ヤイミがぱんぱんと手をたたくと、フューネラルらは退出し、かわりに入ってきたオーエルめいたスーツと眼鏡を身に着けたナンシーが秘書としてヤイミの予定を読み上げる。
「会食。そういえばそうでしたね。ではスシは冷蔵庫にしまっておいてください。時間的に少し早いですが、重要な会合。早めに出ておきましょう。車を回してください」
「ハイヨロコンデー。既にIRCで手配しました。私は会食の間に書類などをまとめ、ヨロシサン本社ロビーで合流します」
ヤイミは結局あなたたちに買わせたスシに手を付けずに、オフィスから出て行ってしまった。ナンシーはその後ろ姿にべーっ、と舌を出して。
「……はぁ、『監督官』さんは相当な問題児ね」
「なんとか、ニチョームからハイデッカーの力を排除する必要があるんだけど……監督官に居られるとやりづらいわね」
「……でも、ニチョームは実際、対ハイデッカー勢力の最後の砦になりつつある。メガヘルツ解放戦線のようなIRC-ネットワークの締め付けに対して抵抗する組織からもひそかにコンタクトがあった」
……このところハイデッカーはさらに力を増している。ニチョーム進出をはじめとして、他の区域では以前のような横暴はもとより、健全化、効率化、管理の名の元に貧民窟として有名だったオオヌギ・ジャンククラスターヤードが撤去されたり、旧オムラのプロジェクト区画を接収したオナタカミはそこに収容所を建設して貧民層や犯罪者などを放り込みなにかしているし、NSTVをはじめとしたテレビ局はハイデッカー行為正当化を繰り返している。
また宗教界においてもこの動きは波及し、カスミガセキ教区のタダオ大僧正などはデジ・ネンブツ計画と称してハカバや記念碑といったものを撤去し、IRCネットワーク上にそれらの代わりとなるサイトを設置、跡地をネオサイタマの行政やハイデッカーが有効利用するという案を進めているとか……
当然、その動きに反抗するものもおり、例えば先のメガヘルツ解放戦線はハッカーカルト系の反ハイデッカー組織だ。
「それ以外にも様々な組織から、ニチョームにコンタクトや情報が寄せられているんだけど……その中で気になるものがあったのよ。KMC。キツネ・ムレ・チイサイ・レディオっていう海賊放送ラジオ組織からの情報でね。ラジオ放送中に変なノイズが入ったって。ちょっと聞いてもらえる?」
そういうとナンシーは、ウェアラブルIRCデバイスで音声を再生する。
――ダダッタダダッタ、ワオワオキュカキュカ、キューキュカコー
「…ヘイ、人々、聴け。今夜もDJゼン・ストームと12人のクルーが送る、革命レディオ!キツネ・ムレ・チイサイ!」
すぐさま刺激的な重低音と共にリズミカルなリリックめいた革命レディオの声が聞こえてきた。どうやらNSTVの在り方や音楽業界のハイデッカー規制の厳しさを訴える海賊放送であるらしく、しばらくDJゼンストームなるホストMCとゲストの小気味良いオープニングトークが続いたのだが……
「これまでも何度かレディオで取り上げたがUNIXテクノコアの走りである『分岐命令』のアルzzzgバム、3枚目に収録されてるあの……」
「ここ。わかるかしら」
ナンシーは音声再生ストップ。かなりわかりにくいが、ニンジャ聴力のあるあなた達なら確かに短いノイズのようなものは聞き取れるかもしれない。
「こうしたノイズは、違法電波が飛び交うネオサイタマじゃ別に珍しいことじゃない……んだけど……最近では、一種の『都市伝説』になっているのよ。なんでも、このノイズを特定の方法でエンコード・デコードすると、とある『データ』になるらしいわ。で、そのデータの内容を見た人間は死ぬ。あるいは次元の裂け目に飲み込まれて行方不明になる」
……聞いていれば、荒唐無稽な『都市伝説』が飛び出した。この手の都市伝説はIRC上でよくあるタイプの怪談ものだが……
「最初は私も相手にはしていなかった。でもKMCによると面白半分でこのノイズを調べたリスナーグループがまるごと行方不明になった……そう聞いている。完全に連絡が取れなくなったと。半信半疑でノイズを解析してみたんだけど……実際意味のあるデータになったのよ」
あなたたちのウェアラブルIRCやスマッホにデータが送信される。それは『ネオサイタマ地理ガイド』なる読んで字のごとく、ネオサイタマの地理やランドマークを簡単に解説した観光客向けのサイトと……
ジグラットの/鬼門を守る/ネオサイタマの象徴/茄/馬
というハイクであった。
「そして……この暗号方式の癖には見覚えがある。シバカリ=サン。信頼できるハッカーよ。ただ、彼に連絡を取ったところ、まったく返答がない。何科に巻き込まれたのかも」
「実際、人が消えている以上、何かしらの事件……なんだけど、私はヤイミ=サンの秘書としてヨロシサンに潜入し、ハイデッカーとの関係を探るのに手いっぱい。だから、あなたたちはこの件に関する調査をお願いしたいの。頼める?」
「OK。とりあえずとっかかりとしてはネオサイタマ地理ガイドとこのハイクがヒントね。どういう意味かしら……」
◆ みんなでそうだんして、これが何を指しているのか考えよう! ◆
「じゃあ私はヨロシサン本社に潜入するからここで別れることになるけど、なにかあればIRCしてね」
こうしてあなたたちはナンシーと別れマルノウチ・スゴイタカイビルに向かった
◆マルノウチ・スゴイタカイビル◆
カスミガセキ・ジグラットやトコロザワ・ピラーと並ぶネオサイタマの象徴であるマルノウチスゴイタカイビル。ネオサイタマならどこからでも見ることができるほどの大きさだが、実際訪れたことのない者もいるだろう。その前には公園が整備されており、あたりには観光客や親子連れも多く見受けられる。その奥にあるのはマルノウチ抗争慰霊碑だ。
◆マルノウチ抗争慰霊碑◆
マルノウチ抗争慰霊碑。オーボンが近いこともあってその周辺には蝋燭やオリガミ、花などのお供え物が今でもいくらか置かれており、その中にはナスやきゅうりに割りばしをさし馬のようにしたものもある。日本ではオーボンの際に先祖の霊がこれに乗り帰ってくると信じられているのだ。
……その中に一つだけ、プラスチック製のおもちゃがあった。ひねると簡単に胴体が外れそうだ。
あなたたちはそれを慎重に調べる。すると、中からPVCビニルに包まれたフロッピー……いや、カードキーのようなものが出てきたのだ。
それには『天下』の意匠が入っている。この意匠は謎めいたアマクダリ・セクトが好んで使うものだ。ヤモトもザクロの肩をケジメしたヨルジ配下の恐るべきヤクザのオヤブンがこの意匠の入った指輪を持っていたと言っていた
と、その時IRC着信!ナンシーからだ。
YCNAN:調査は順調?
YCNAN:こっちでも片手間ではあるけれどデータの解析を進めていた。あのデータにはまだ続きがあったのよ
YCNAN:でてきたのはまた新しいハイク。
YCNAN:青と緑のチェスボード/直線に挟まれた/ボンズの住処
YCNAN:どういう意味か分かる?
◆タンボ平原・デカシタテンプル◆
タンボ平原はソード山脈から吹く風の影響で重金属酸性雨をもたらす雲があまり流れてこない、風光明媚な田園地帯である。ハイクにもあった青と緑のチェスボードめいたバイオ米とバイオネギの畑にぽつぽつとカチグミの別荘や療養施設が立ち並ぶなか、そこを横断するように2つの競合運送系メガコーポの線路が敷設されている。
そんな畑の中に、小さな竹藪があり半ばそれに隠されるようにして建っているのが『デカシタ・テンプル』であった。本堂もほとんど朽ちており天井は崩れ、雨ざらしになったタタミを突き破り、若竹が伸びているありさまだ。あなたたちの推理が正しいのなら、ここになにかがあるはずだ。探してみよう
テンプルを捜索する、と。敷地片隅の古い井戸の脇には、不づり合いなチェーン製の吊り梯子があり、乾いてはいるが雨ざらしになっているなら流れるはずであろう泥が梯子に付着しているあたり、どうやらたまに使われているようだ。そもそもこれだけ寺があれているなら、当にこの縄梯子もサビているだろうにそんな様子はない
井戸の内部は……枯れている。
あなたたちはハシゴを使い、井戸の底に降りた
すると、井戸の底。さらにそこから洞窟めいた横穴があり……そこには『天下』とシステマチックな書体でショドーされた扉がある。
鋼鉄の強固な扉であり、完全に機械制御されている。その扉には鍵穴の代わりにカードキー挿入口があり……あきらかに、あのカードキーがこの扉の鍵だ。カードキーを挿入すると……ガコン、プシュー。圧縮空気を吐きながら扉が開く……
◆ アマクダリ秘匿施設 ◆
内部は病院めいた落ち着いたグレーホワイトの無機質な通路が続いており、廊下の突き当りに扉。
防弾クリアガラスでつくられたそれは内部を見渡すことができ、整然とした企業オフィスめいた部屋であることが見て取れる。『天下』『秩序』『勤怠管理』のショドーが威圧的だ。が、誰もいない。
と、ナンシーから通信!
YCNAN:ひとついい? みんな、例のタンボ平原のテンプルにいるのよね。
YCNAN:急にあなたたちの反応が消えた。かろうじて通信はつながるけれど
YCNAN:かなり強力なジャミングがされている。個人レベルではなく
YCNAN:おそらく軍用レベルのもの。
YCNAN:注意して、そこで何かあっても、遠隔ハッキングでは手助けできない
内部の設備は一般企業オフィスレベルのものではなく、特にUNIXは高価なハイエンドモデルをさらに改造したものであることが詳しいならば
わかるはずだ。そしてオフィス南側には、窓から見渡せる大量の大型UNIXサーバー群。
そしてそのオフィスの奥……『反省』と書かれた扉。
「イヤーッ!」「アバーッ!」
カラテシャウト!そして悲鳴!
◆懲罰房◆
扉の先はジゴクであった。防弾ガラスで内部が完全に見通せる牢屋めいた懲罰房が並ぶ最新式刑務所めいた光景。しかしその懲罰房内にはだれもおらず……というよりは、何らかの尋問のため全員が部屋から出され、そしてボトルカットネックチョップにより正座姿勢のまま首を刎ねられている。
ペケロッパ・カルティスト、テクノギャング、ローグハッカー、エスイー。様々なUNIX技術者の生首が転がる中……
「ドーモ、デプレッサーです! またネズミの登場か!」
「ドーモ、アエシュマです。ここは我々の私有地だ!違法侵入者!」
いたのは二人のニンジャである。今しがた、首を刎ねた証拠に二人の手には血の跡。
「貴様らもどうせ『シバカリ』を助けに来たのだろう? どこの組織の手先かしらんが次はニンジャをよこしたか。しかしながら、ウハハハ! 遅かったな! やつは今しがた処刑したわ! 薄汚い内部告発スパイはな!」
そういって、アエシュマなる角付き魔術的メンポにタクティカルスーツのちぐはぐな装いのニンジャが、挑発的にハッカーらしき男の首をかかげ、それを投げつけてきた。シバカリ……ナンシーが言っていた名前だが、内部告発者!?
「ほかにも内部告発者がおるかと思い、全員処刑したがまさか自分からクンクン嗅ぎまわるネズミが姿を現すとはな! バカめが。ここで貴様らも仲良く処刑だ!」
サイバーフルヘルムのデプレッサーが襲い掛かってくる!
戦闘開始だ!
「イヤーッ!」
あなた達が身構えた瞬間、カラテシャウト! 背後から! アンブッシュ!? 敵はまだいる! アサルトライフルとカラテの混合ミリタリーカラテ!
```PCは全員回避判定HARDを2回行う。失敗ごとにダメージ1点。判定後、即座に戦闘に入るが回避ダイスはすべて回復する```
「ふむ……それなりに腕がたつ」
あなた達にアンブッシュしたニンジャは、反撃前に素早く離脱!そのままアイサツの構え!
「ドーモ、湾岸警備隊『トクシュブタイ』隊長……」
「ストーンコールドです」
◆ストーンコールド(種別:ニンジャ)
カラテ 14 体力 19
ニューロン 9 精神力 10
ワザマエ 12 脚力 7/N
ジツ 0
攻撃/射撃/機先/電脳 14/14/11/11
回避/精密/側転/発動 16/12/12/-
◇装備や特記事項
生体LAN端子LV1
軍用サイバーサングラス、タクティカルスーツ、ニンジャブレーサー、
テックレガース、湾岸警備隊制式マガジンホルスター
湾岸警備隊仕様カスタムアサルトライフル ダメージ1、射撃NORMAL、連射3 時間差・マルチ可
バクチク・グレネード
◉頑強なる肉体 ◉◉タツジン・ミリタリーカラテ ◉タクティカル移動射撃
◉ウィークポイント射撃 ◉鉄拳 ◉防具習熟 ◉忠誠心:アマクダリ ●不如帰
『●不如帰』:このニンジャは不退転の決意を固めており、多対一の戦闘の中でも、
獅子奮迅の戦いぶりを見せる。 単独で2体以上のPCを相手に戦っている限り、このボスNPCは
1ターン中に2回の手番を得る。『一騎討ち』ルールと同様に、本来のイニシアチブ値で
1回目の手番が、イニシアチブ値の1/2で2回目の手番が回ってくるが、例外として、
直前の手番と同じ行動種別は選べず、同じターゲットも選べない。なお、ここでいう行動種別とは
「近接攻撃」「射撃」「ジツの使用」「その他の行動」である。
「同じジツ、同じスタイル、同じ轢殺攻撃は連続使用できない。
このとき、スタイル宣言なし、もスタイルの一種とみなす
(つまりスタイル宣言なしの近接攻撃を2回連続では行えない
◆デプレッサー(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 7
ニューロン 10 精神力 15
ワザマエ 6 脚力 3/N
ジツ 5
攻撃/射撃/機先/電脳 6/7/12/14
回避/精密/側転/発動 11/6/6/18
◇装備や特記事項
生体LAN端子LV2 ジツ支援サイバネ テックフルヘルム 伝統的ニンジャ装束
☆カナシバリ・ジツLV3 ★コブラ・ゲン・ジツ ★★グレーター・マインドブラスト・ジツ
◉◉グレーター級ソウルの力
◆アエシュマ(種別:ニンジャ)
カラテ 8 体力 11
ニューロン 5 精神力 7
ワザマエ 4 脚力 4/N
ジツ 4
攻撃/射撃/機先/電脳 8/4/6/7
回避/精密/側転/発動 8/4/4/9
◇装備や特記事項
タクティカルスーツ パーソナルメンポ ブードゥー 生体LAN端子LV1
☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV3 ★アクマヘンゲ・ジツ ◉頑強なる肉体
◆ペイガン (種別:デミニンジャ)
カラテ 4 体力 4
ニューロン 4 精神力 -
ワザマエ 4 脚力 2
ジツ –
攻撃/射撃/機先/電脳 4/4/5/6
◇装備や特記事項
生体LAN端子LV1
『●デミニンジャ』:
以下のルールを全て持つ:
・ニンジャのようにスリケンを投擲できる。
・『連続側転』を行いたい場合、自動成功する。その後の行動難易度上昇は通常どおり。
・『回避ダイス』を得られない。精神力に対するダメージは体力ダメージとなる。
・連携を取って動くため、デミニンジャ複数体による近接攻撃や射撃は、
まとめて回避ができない。
・会話は成り立たず、拷問などは不可能である。
『●痛烈な一撃』:
『近接攻撃』時に出目【6,6】だった場合、『サツバツ!』の代わりに『痛打+1』となる。
同様に出目【6,6,6】だった場合、『ナムアミダブツ!』の代わりに『痛打+1』、
『回避難易度+1』となる。
◆戦闘中イベント集◆
◆敵ニンジャ1体爆発四散時・ペイガン登場
「なるほど……ここを突き止めただけあって腕は立つ。ちょうどいい、実戦テストだ。ペイガンを出せ」
ストーンコールドがIRCでいずこかに指示!すると、部屋側面のシャッターが開き、個性はく奪めいて無個性な白色のニンジャ装束に身を包んだニンジャ数体。
「………………」
「ペイガン。論理ニンジャソウルとやらを搭載した新兵器だ。クローンヤクザよりはいくらか手ごわいぞ」
それらは、無言のままカラテの構えを取った!
◆召喚系もしくは環境効果・自律射撃系ハッカースキルが使用された次のターン開始時・A.R.G.O.S登場
NMはターン開始時にハッカープラグインのスキル『◉デーモンの放逐』を環境効果・自律射撃を無効化するか、サモン系の敵に◉kill-9か◉Sudo_kill-9を使用してこれを破壊する。ダイスは30ダイス前後だがいくら盛っても良い。
0101010101000101010011010111110
A.R.G.O.S:ドーモ、アルゴスです
A.R.G.O.S:◆警告な◆ あなたはアマクダリ・セクトの管理領域を侵犯しており、実際犯罪行為です。警告に従わない場合、罪に問われる可能性があります。これは法的に正当な権利であり、最悪の場合ニューロンの破壊を正当防衛として行う可能性があります ◆警告な◆
これ以降、A.R.G.O.Sによる妨害が行われ、環境効果等を毎ターン◉デーモンの放逐で解除する。環境効果がない場合、◉サモン・ドローンでフクスケ・ドローンやハイタカなどを配置してよい
NM向け戦闘指針・ロールプレイ情報
◆戦闘終了◆
あなた達は敵ニンジャをすべて爆発四散させた。
「サヨナラ!」
ペイガンが次々爆発四散!
指揮官の戦死により、戦術的行動がとれなくなった自我希薄ペイガンの鹵獲を防ぐため、アポトーシスめいた自爆プログラムが仕込まれているのだ
しかし、その瞬間ナンシーから通信!
YCNAN:ジャミングがかかっていたのがいきなり晴れたかと思えば、いったい何を……すさまじい勢いでデータが消去されてる……これは……何!?
焦ったようなナンシーの声!こ れは一体!?
A.R.G.O.S:新たな侵入者を感知。緊急時のため、警告なしで自我破壊します
YCNAN:クッ……これは……旧世紀プロトコル……!? ハヤイスギル……!
YCNAN:ダメ、対抗できない!一度オフラインにする……あなたたちは資料を集め――
ナンシーからのIRCはそこで途切れた。ニューロンを焼き切られてはいないだろうが、それほどの相手なのか……
とにかく、ここにある物理データを回収して戻るしかないだろう。持ちだせる資料をあらかた持ち、この場を後にする……
おそらく、あの謎のノイズに隠されたデータはこの施設からの秘匿された『救難信号』兼『内部告発』だったのだろう……残念ながら、それを助けることはできなかったが……この施設にあるデータを解析すれば、何かしらの陰謀の手掛かりが見つかるかもしれぬ。
◆絵馴染◆
それから数日後。
「……あれから、すぐに施設を調べたんだけれど、やられたわ。論理の速度で解析しようにも、『A.R.G.O.S』なる謎のハッカーの介入で、こちらが5%もデータを抜き取る暇もないまま、施設に蓄積されていた膨大なデータが消されてしまった。むしろ、こっちがニューロンを焼き切られないよう逃げるのが精いっぱい」
……ナンシーはハッカーの最上位であるヤバイ級の論理タイピング速度を誇る。そのナンシーが逃げるしかない相手とは……
「でも、今回の事件は……正直言ってここまで大きな『手がかり』を掴めるとは思わなかったわ。あの電波。あれはアマクダリに捕らわれて働かされていたシバカリ=サンの『内部告発』だったみたい。ネットワークに詳しい誰かに届くように助けを求めたのね……」
「だけど途中でバレてしまい、ああいう結果になった。彼は優秀だったけれど、まさかこんなことになるなんて……」
ナンシーの表情は暗い。知り合いを殺されたのだ。無理もないだろう。しかし、すぐさまふっと息を吐くと、むしろ彼の仇を討ってやるとばかりの表情。
「シバカリ=サンはあのノイズ・データに、ほんのすこし……といっても、それだけでも膨大な量の情報を圧縮して残していた。これをあなたたちが持って帰ってきた資料と合わせると……」
「驚いたわ。アマクダリ・セクトは……やはりハイデッカーとオナタカミ、ヨロシサン、湾岸警備隊、ネオサイタマ政界などとつながりがある。IRCのやり取りログでそれが裏付けられたわ。そして、アマクダリ・セクトには『12人』と呼ばれる最高幹部がいる」
『12人』。以前、インパルスがニチョームに持ってきたヨルジとアマクダリ・セクトの会合らしい録音テープにもそんな単語があったか
「例のニチョーム監督官の『ヤイミ・コナギバ』もアマクダリ・セクトよ。『元』『12人』。今は別の誰かが入れ替わりでその地位にあるみたい。これは、私がヨロシサンに潜入して得た情報との複合で発覚したんだけど……」
「……どうやらアマクダリは『A.R.G.O.S』なる『IRCネットワーク管理システム』をロールアウトさせようとしている。例の私を妨害したハッカー……おそらくは、その管理システムのプロトタイプかなにか。それでも、私ですら対抗できないすさまじいものなのに、データによれば性能の10%も発揮できていない。これはまずい。30%でも能力を発揮すれば、ある種アングラでダークなところもあったIRCネットワークが完全に白日の下にさらされ、ハッカーは死滅する」
「そして、これはハッカーだけの問題じゃない。プライバシーだとかそういう諸々もあるけれど……『A.R.G.O.S』が100%の性能を発揮したとき。『世界再定義』なる何かが行われる。これは、シバカリ=サンも詳しい情報が得られなかったみたいで、かなり疑問や謎が残る歯切れの悪いものだったけれど……そこにはこういう記述があった。『世界再定義が行われれば、謎めいた黄金立方体が切り離され、ニンジャは存在を許されなくなる』」
黄金立方体。ハッカーの中でも極めて少数の実力や才能ある者だけがその存在を知覚するというなにか。少数しか見たことがないゆえに、ハッカーの中ですら存在を疑問視する者もいるが、逆にそれを神聖視しあがめるハッカーカルトもある
「アマクダリ・セクトの目的は『管理社会』をつくる事なのではないかと思っていた。権力掌握。インフラ支配。ヒトやモノの管理。しかし……データからはどうにもこの『世界再定義』が最終目標であると読み取れる。陰謀論みたいになってきたけれどね」
「でも、その陰謀論に光を当てるとっかかりを我々は手にしたの。なにかわかる?」
「ニチョーム監督官。ヤイミ・コナギバ=サン。裏の名前を『キュア』」
◆ライフライン・フラットライン◆
おわり
◆余暇・セッション終了処理◆
NMはPC全員にセッション報酬を手渡す。万札・余暇等は
キャンペーンのレギュレーションに沿って各自設定してほしい。
なお、実際にこのキャンペイグンが行われた際の報酬は、
万札15、名声+1、余暇2日、知識・交渉スキルを1つ無償で獲得であった
◆シナリオ後の状況
ニチョームにハイデッカーの監督官としてキュアが赴任し、さらなる締め付けが行われるも、ニチョームは性的マイノリティだけでなく、次第に今のネオサイタマの重苦しい空気になじめない者たちの最後のヘイヴンとなりはじめ、情報なども集まり始める。ナンシーはKMCレディオなる海賊放送レディオ組織からもたらされた謎のノイズの事件をPCたちに依頼するが、このノイズにはアマクダリ・セクトに協力させられたハッカーからの内部告発データが含まれていた。PCたちはアマクダリ・セクトの拠点を突き止め、ここにあったいくばくかの証拠を手に入れる。ナンシーの調査、内部告発データとそれを示し合わせ発覚したのはハイデッカーとオナタカミだけでなく、ヨロシサン製薬、湾岸警備隊、ネオサイタマ政界までもがアマクダリ・セクトの影響下にある事であり……そしてアマクダリ・セクトの最終目的が『世界再定義』なる何かであることだった。
◆死亡した原作ニンジャ・登場人物◆
ストーンコールド、デプレッサー、アエシュマ、シバカリ
◆トピック◆
ニチョーム監督官の『ヤイミ・コナギバ』は『キュア』というニンジャでありかつて、アマクダリ・セクト最高幹部『12人』の一人であったことが発覚した。