シフォンケーキはいかがですか?(オオハクチョウがだめなら、、、)
以前話したように、「オオハクチョウに乗って空を飛ぶ計画」は惨めな結果に終わった。そしてそれからしばらくは’動物に乗る’ということは考えないようにしていた。(というか他に乗れそうな動物が近くにいなかったんです。)
しかしある日、小学生の私はまたひらめいてしまったのです。ぼんやりと牧場で草を食べたり、休んでいる乳牛達を見ている時に。「何故これに気づかなかったんだ!いるではないかここに!しかもこんなにたくさん!」’灯台下暗し’とはまさにこのこと。それまで牛に乗ることを一度も考えなかった自分が不思議だった。馬に人が乗れるなら、牛にだって乗れるはず(単純に形がちかいということで)、と自分なりにもっとらしい理由をくっつけて、作戦開始。
まず、過去の経験を踏まえて次のことを原則とした。
1)妹はこの計画に巻き込まない
2)家族の目の届かないところで実行する
ということで場所として住宅からは見えない牛舎の裏を選んだ。まず牛舎の近くで休んでいる牛を探す。静かに近づきうまくまたがることができれば、当然牛は立ち上がろうとするだろう。そのとき牛舎の壁に手をつけば、振り落とされずにすむと考えたのである。
そしてついにその日が来た。牧草地に放牧されていた乳牛たちがぼちぼちと夕方の搾乳のために牛舎近くに戻り始めていた。そのうちの一頭が都合よく牛舎の壁を背もたれに横たわっていた。まさに思い描いていた格好の条件!!
後のテクニックは白鳥の時と全く同じ。数歩近づいては止まる、を繰り返すのである。驚いたことに牛は手が届く距離まで近づいても動こうとはしなかった。全然平気だという様子で口をもぐもぐ動かしながら、私を見ている。「これは行けるかもしれない!」と思った瞬間素早く、しかし牛をなるべく驚かせないよう、できるだけスムーズに牛の背にまたがった。しかしその時である。まるで震度8の地震が起きたかのように私の体は大きく揺れ、前のめりに振り落とされてしまった。牛の上にのっていられた時間はおそらく数秒間。
連敗である、、、。またもや惨めで悲しいきもちだけが後に残る結果となったのであるが、少なくても今回は計画から、実行、結果まで誰にも知られることなく済んだことが何よりもの救いだった。