公認会計士不合格体験記2〜難しい問題への対処法〜
では前回に引き続き、公認会計士試験の不合格体験記を書いていきます。もう私の2020年は9月18日をもちまして終了しましたので、さっさと過去の失敗の分析と反省を終わらせて、2021年への戦いに集中していきたいですね。
前回の内容はこちら↓
前回は2019年12月の短答式試験の話までですね。その前に短答式試験の中身を簡単に説明します。前回の記事でも説明しましたが、マーク式の選択問題の試験である短答式試験、大学受験だとセンター試験(今は新しいやつに変わってるのかな。。)のような位置付けになります。科目は財務会計200点、管理会計100点、企業法100点、監査論100点、の4科目500点満点の試験となります。合格ラインは何点とれば合格と決まっているわけではなく、毎年得点率70%〜60%のどこかに設定されます。金融庁は70%程度を合格ラインの目安にする、と言っておりますが、結構バラつきがあり合格ライン7割にすることよりも合格者数を一定数確保することを重視していますね。その年に論文式試験を受験させる数がだいたい決まっていて、その数に合わせて合格ラインが決まります。問題が簡単な年なら得点率も上がるため、70%の350点が合格ラインになることもあれば、2019年12月みたく難しい年ならば58%の285点という年もあります。まあ、試験委員はだいたい7〜60%が合格ラインになるような問題を作ろうとしていると思います。ただ、素点ベースだと60点近く振れ幅があるため、試験終わって自己採点して、各予備校の合格ライン発表が出るまで自分の数字がいいのか悪いのか確信が持てません。特に、この2019年12月は過去最低の合格ラインを叩き出した回でしたので、試験終わった時の空気はお通夜でした笑。冗談抜きにお通夜です。予備校の合格ライン発表になるまで、となり近所の人間がどれくらい点数を取れているのかなかなかブラックボックスで、わかるのは自習室で顔見知りになった数人と予備校講師ぐらいの情報がなく、とにかく精神衛生には良くないですね。この試験は相対評価なので、自分がどれだけできたかということも大事ですが、隣近所がどれくらい得点しているかもとても重要です。twitterや匿名掲示板などでもボーダー予想など賑やかに行われますが、ネットの情報は信ぴょう性がないので、あまり参考にしないほうがいいです。特に2019年12月の合格ライン60%割れでしたので、予想外の結果でしたね。というわけで、短答式試験の概略はこんなところです。
その短答式試験で私がとった点数は、財務会計68点、管理会計48点、企業法70点、監査論70点、合計256点でした。さすがに得点率51%でしたので、自己採点終了後に即落ちであることは悟りました。この時の反省点ですが、財務会計で大失敗を犯しましたね。ちなみに財務会計は120点が計算で計算のうち24点が連結会計で96点が個別論点、80点が理論という構成です。財務会計で34%しか取れないというのは、愕然としました。計算が28点で理論が40点。この12月短答の前までに実施していた答練では、財務会計が一番得点できていたので、衝撃以外の何物でもありません。むしろこの4科目の中で一番自信があったのが財務会計だったのです。2019年12月短答の財務会計で犯した失敗は、2つあって、本番前の失敗と本番時の失敗の2つになります。
本番前の失敗というのは、12月短答を受ける前の勉強割合です。前述の通り、私の財務会計の答練での成績はなかなか良く、成績上位者で名前が載ることもたまにあり、偏差値60を下回ることは滅多になかった状況でした。ですので、本番前2ヶ月くらいになって財務会計計算の勉強量を落として、その分を理論の勉強に割いていました。しかし、その2ヶ月の間に計算力が徐々に落ちていて、そのまま本番を迎えてしまった、というわけです。
もう一つ、本番時の失敗です。財務会計という科目は、過去問を見てみると、4科目の中でもそこまで難しい回というのがなく、どちらかというと4科目の中でも比較的点数を取りやすい科目という位置付けでした。そのため、短答式試験を突破する上では財務会計で高得点を確保するというのが戦略上やりやすい戦い方となります。私も、財務会計は7〜8割の得点を目指して戦っていました。ですが、この試験、今になって理解してきたのですが、問題の難易度が高い時に1点の点数を守る戦い方と、難易度が低くとにかく大量得点を目指す戦い方で、大きく戦法が変わってきます。この12月短答の財務会計は蓋をあけたら、過去最高難易度の回でした。ですので、ここではいかに1点を守るか、1点を確実に取るか、という勝負になってしまいます。
そういう時に、私は連結会計の難しい問題から着手してしまうというミスを犯します。いつも大量得点狙うため、時間のある早い段階で連結を解き終える、というスタイルで問題を解いていたのですが、この回の連結会計がなかなか難しく時間がかかって数値も合わないという自体に陥りました。こうなってくると、時間をかけてでも取りきるか、埋没問題として損切りを行うか、という判断が迫られます。ここでもし、最初から1点を守り抜くスタイルで解くつもりですと、この損切りの判断はかなり早い段階で行うのですが、財務会計でそんなに難しい問題が出るわけがない、という安易な考えのもと損切りをせずにさらに傷口が広がる自体に陥りました。結局相当な時間を使ったのに数値があった項目が6問中3問という状態で、個別論点の問題に向かいます。この時点で精神状態はかなり追い込まれていきました。そして個別論点の問題も1つ1つがなかなか難しい。いつもならサクッと取れるサービス問題がなく、資料は読みにくいし、1つの問題に論点何個も混ぜてたり、どんどん焦りが広がりました。個別論点も量が多いものが出題されていて全ての問題に着手することはかないませんでした。そして、結果として68点。試験が終わったあと、自分が着手してなかった問題を解いてみると、未着手の問題が意外と解答可能な問題が多くあり、解答すべき問題を間違えていたことを悟りました。
今にして思うと、やはり本番前の勉強割合のミスによる計算力の低下が、この本番時のミスを招いているなという気がします。計算力が高いときは、手を出したらいけない問題と、得点できる問題の選球眼がものすごく冴えます。計算力が高いとそもそも解答可能なストライクゾーンが広がりますし。そして、ストライクゾーンの問題なのか、手を出してはいけないボールゾーンの問題なのか、難易度が高い問題の場合には特に選球眼は必要な能力です。難易度が低い問題の場合は選球眼なんて無視して、とにかく目の前の問題を多く正解するっていう手法になるのですが。
あと、選球眼の他には前述しましたが損切りの判断も難しい問題のときには必要になってきます。ここ数年の管理会計の難易度が相当高くて、損切りの判断というのも「管理会計に対しては」意識して身につけていました。時間をかけて本当に解答できるのなら時間をかけるべきですが、時間をかけて解答できなかった場合は本当に悲惨なことになります。その分の時間を他の問題に回せば解答できたかもしれないからです。ここは選球眼の能力も絡んでくる能力ですね。着手した問題が本当に完投できるのか、正解できるのか、そこを見極める。一見すると簡単そうに見えるけど、いざ着手するとめちゃくちゃ難しい問題って結構あります。その時に着手して1分で損切りするのと、10分時間をかけた上で損切りするのではダメージが雲泥の差となります。
当然なのですが、試験で難しい問題が出るのか、易しい問題が出るのか、試験問題を見るまではどっちが出るかわかりません。難しい問題が出題される年が試験自体難しくなるわけではありません。相対試験なので難しい問題が出た時は周りもできません。逆に易しい問題が出題される年が試験自体簡単になるわけではありません。相対試験なので易しい問題が出た時は周りは得点してきます。大事なのは、難しい問題でも易しい問題でも隣近所のライバルよりも頭一つ抜け出すことですね。頭の出し方は難しい問題と易しい問題では異なりますが。
総括すると2019年12月は財務会計の調整不足及び難しい問題への対処を誤った、というところですね。
次回は2020年の話に入りますか、、、