公認会計士試験を通じて身につけた勉強法について③〜暗記編〜
どうもアナキンです。
冒頭にある会社法の本ですが、最近読んでいる本です。この記事とは直接の関係はないのですが、面白かったのでついつい画像として使用させていただきました。今まで予備校のテキストしか読んでこなかったのですが、こういう基本書を読んでみると色々な発見があり大変有意義なものです。機会があればこういう基本書の感想を記事にしてみようと思います。
前回・前々回と引き続き、暗記に関するネタを投下していきます。こういうものは文章に起こしてみると再発見があり、自分でも色々と知識が整理されるので大変助かっております。前回・前々回の勉強法ネタはこちらになります。
今回の議題ですが、前回説明したマトリックス表を活用した暗記法というものを紹介していきます。おそらくですが、この暗記法はかなり簡単で、私が紹介する勉強法の中で最も活用しやすいテクニックでありますので、是非とも参考にして、ご自身の技として身につけて欲しいです。
1.マトリックス表を利用した暗記法
前回の記事を読まれた方はわかると思うのですが、あのマトリックス表を作成するのはかなり労力が入ります。特に既存のテキストや参考書に存在しない表を作成するのは、それなりのセンスや経験も求められるため、マトリックス表にする意味ないんじゃないの?と疑問に思われた方も多いと思います。ですが、ここで紹介する暗記法を組み合わせていただければ、なぜマトリックス表を作成してでも暗記した方がいいのか理解できるはずです。そして、前回はマトリックス表の作成について解説しましたが、既存のテキストや参考書の中にはすでにマトリックス表が多く記載されています。当然ですが、それらの既存のマトリックス表も今回紹介するテクニックを駆使すれば、暗記の効率は格段に高まります。むしろ既存のテキストには多くの図表が存在していますので、自作の表を暗記するより既に存在する表を暗記する機会の方が断然多いと思います。
では、どのようにやるのか?というのを前回作成した社外取締役の表を使用して具体的に説明していきます。
2.縦軸と横軸の項目数を覚える
まず、この表で最初に覚えて欲しいものがあります。それは縦軸と横軸の項目数です。縦軸は5個、横軸は6個。これを覚えます。個数を覚えることは非常に重要です。個数を覚えているか否かで思い出すときの労力が全然違います。例えば縦軸の4つまで思い出せる状態にあったとします。この時に個数を覚えていれば、全部で5個あるうちの4つまでしか思い出せなくて1つ忘れている、というのを自覚することができます。1つ忘れているということを自覚して残り1つを思い出すのと、全部で何個あるかわからないけど取り敢えず思い出す、というのでは脳内の検索スピードも検索精度も異なります。当然ですが全体の個数を把握した上で思い出す方が簡単で早いです。
もしこれが復習時だったら、この表を復習する際には思い出せない1項目だけを勉強すればいいことになります。しかし、もし縦軸の全部の個数がわからないとすると、4つまで覚えている状態が正しい状態なのか、漏れがあるのか自分で把握することができません。自分が正しく記憶しているのか、それとも間違っているのか、その判別がつかないというのが受験勉強を行う上では一番の問題になります。自分が正しく記憶しているかどうかを測るために答練や模試などの問題演習を用いると思いますが、ふとした際に「あれ社外取締役の要件って思い出せるかな?」と思った時に縦軸が5個というのを覚えていれば、5つ列挙できないと覚えていない、ということになりすぐにテキストや参考書を確認することができます。答練や模試などの問題演習で自分の知識の漏れに気づくためには社外取締役の問題を実際に解くまで知識の漏れに気付けません。この差は結構大きいです。
3.縦軸と横軸の各項目を覚える
次に行うのは縦軸と横軸の各項目を覚えていきます。ではもう一度表を見てみましょう。
社外取締役の縦軸で言えば、当該会社・子会社・親会社・兄弟会社・配偶者又は2親等以内親族、この5つを覚えます。横軸は、取締役・業務執行取締役・執行役・使用人・10年間規制・二親等以内親族又は配偶者、これらの6つです。まずはこれらを覚えていきます。
そして、縦軸横軸の各項目を覚えるのにもコツがあります。それは各項目を上手くグルーピングして覚えると有効です。縦軸は①から④までは法人であり、⑤だけが自然人です。また、横軸だと取締役・業務執行取締役・執行役・使用人は人の役職であり、他の2つに関しては追加の条件、という風に分類できます。グルーピングしてこのようにまとめるのもいいかもしれません。
このようにして縦軸横軸の各項目を覚えていきます。
4.マトリックス表の構造と意味を理解する
これは前回の内容に近いものなのですが、この表の構造と意味を理解してもらいます。どういうことなのかというと、まずこのマトリックス表が何を表しているのかちゃんと理解するということです。この表の基本は当該会社の社外取締役になれる人となれない人をまとめた表になります。そもそもの表の目的や意味を理解していないと暗記することは難しいですし、暗記してもその知識を活用することができません。ですので、この表の情報の中で重要なことはこのマルバツを判定することになります。○は社外取締役になれる、×は社外取締役になれない、ということを意味します。
そして、追加条件が付される法人と追加条件が付されない法人が分かれることになり、追加条件が有となっている場合はその条件も加味して社外取締役になれるかどうかを判定します。10年間規制に関しては有が現在だけではなく過去10年も対象になりますし、二親等以内親族と配偶者が有の場合は本人だけではなく親族や配偶者も追加で検討しなければいけない、ということを意味します。
マトリックス表の構造としては縦軸の①〜④の法人と横軸の役職が核となるメインの情報であり、それ以外のものはメインを補足するものという関係にあります。この構造と関係と意味を理解しなければ暗記しても意味がありませんし、実践で使える知識とはなりません。受験仲間でもこういう表を使って暗記しない人がいましたが、そういう人は表の意味や使い方を理解していませんでした。「あの表に書いてあるじゃん」と言っても、普段から表を使っていないためか、表を見せてもあまりピンときていない様子だったことがままありました。語弊がないよう申し上げますが、当然ですがマトリックス表を使わなくても知識を覚えることは可能です。音声で覚えるという方もいますし、文字情報のみで覚えるという方もいました。私は情報を整理して構造化させて図解した形で覚えることが一番いいと思ってこういう覚え方をしていますが、他の方法で覚えることは何も問題はありません。
今回は自作のマトリックス表を例に挙げて説明していますので、構造や意味は当然作者であるあなたは理解しています。ですが、実際に記憶する多くの表は既にテキストに記載されているものを覚えることが99%になります。既存の表に関しては、その表がどんな情報を整理していて目的や意味はどういうものであり、構造がどうなっているかというのをご自身で解き明かさなければいけません。もしそこがわからないならば、予備校を利用していればテキストを作成した講師に質問するのが一番いいでしょう。とにかく何とかして図表の意味をしっかり理解することがいい暗記につながります。
5.少ないところから暗記せよ
そろそろこの暗記法の核心に迫ってきました。表の意味も理解したら、実際に中身を覚えていきます。どこから覚えるかというと、表の○×で少ないものを覚えます。
表の○×では圧倒的に○の方が少ないです。ですので○となっているところを覚えます。取締役が当該会社、子会社、兄弟会社で○となっており、ここを覚えます。もう、これで8割は覚えたことになります。当然ですが○以外のものは×になりますので、残りを覚える必要はありません。×の方を覚えるのは数が多いため結構大変です。どちらを覚えたら楽かというのは明白でしょう。○の3カ所を覚えれば大丈夫です。効率的に暗記量を減らせるというのが、このマトリックス表を使った暗記法のメリットです。それと○には注1の条件もありますが、これは最後に覚えればいい条件です。かなり細かいのでこういうところは最後に頑張って覚えます。
あとは追加条件ですが、これは有となっている方が少ないので10年規制があるのは当該会社と子会社、二親等以内親族又は配偶者の条件は当該会社と親会社、という風に覚えます。4つの情報を押さえるとこの追加条件も難なく暗記することができます。
あの複雑な社外取締役の要件は○の3カ所、追加条件の4カ所、合計7つの情報を覚えていれば、ほとんどの正誤を判別することができます。マトリックス表を使わないと、条件分岐の数が膨大ですがその全てを1つ1つ覚えるのは効率が悪すぎます。このように表を活用すれば7つの事項を暗記しているだけでOKとなります。
6.まとめ
いかがだったでしょうか?もしお手元にテキストがあり、暗記するのが苦手な論点で既に図表がある場合はこのテクニックはすぐに使えます。実践して損となることはありませんので、すぐにでも暗記に取り掛かってください。今回は企業法を題材にしましたが、マトリックス表は企業法と一番相性がいいと感じています。他の科目でも応用できますが、元々テキストに図表が多いのは企業法でしたので、この方法との組み合わせは抜群です。
では次回は暗記法とは異なる観点で勉強法を記事にしていきたいと思います。ではまた。