Valse Brillante Op.34-1(キルンベルガー第2)

Valse Brillante Op.34-1(キルンベルガー第2)

F.Chopin
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調律:キルンベルガー第2、ストレッチなし

先述のキルンベルガー第1版で名前を出したので、キルンベルガー第2でも鳴らしてみました。

思った通り、この曲には相性抜群でした。より一般的にはこちらの方がいいかもしれません。キルンベルガー第2は、第1でD-Aにまとめていたシントニックコンマのウルフ(ヴォルフ)をD-A-Eに分散させたもので、違いはAの音だけです。よって変イ長調、変ニ長調のこの曲の主だった部分には大きく影響せず、なおかつD-Aの響きの悪さを緩和しているので、(言い方は悪いが)多少変な弾き方をしても粗が出にくいでしょう。
中盤のFの和音はF-Aが広いため透明感こそ薄れるものの、前後のピタゴリアンな変ニ長調に挟まれてもあまり浮かないという点ではいいのかもしれません。

繰り返す通り、第1と第2はAが違うだけなので、相互の調律替えは比較的容易だったと思われます(当時の音叉はCだったので)。当時のことは勿論わかりませんが、キルンベルガー第1、第2どちらでも鳴らされていたのかなと想像できます。より一般向けの第2と、玄人向けの第1とで。


ドイツのトゥン=ホーヘンシュタイン嬢に献呈されたとあって、やはりこの曲はドイツ的な気質(temperament)を持つキルンベルガー、ヴェルクマイスター系が合うと実感しました。時代背景的にも主にベートーヴェンの影響でキルンベルガー第2が人気だったことと辻褄が合うので、ショパンは献呈先のピアノの調律(おそらく鍵盤の音域も。この曲は73鍵)をちゃんと考慮して作曲していたのでしょう。

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