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11/12 【あの日、網戸を張り替えたお前。】

苦しくて、苦しくて、家を借りた。3年前。
もういますぐにでも環境、状況を変えたくって、貯金もないし職も無かったけど、家を借りた。一軒家。たまたま知り合いが空き家を持っていて、住める状況だったから勢いで借りてしまった。家賃は10,000円。今考えると、頭が上がらない。

「フリーター、家を買う」よりもうちょっとレベルを落として「ニート、家を借りる」を体現してしまった。かなり高揚した。初めて勢いって人生を変えるためにめっちゃ重要なことを知った。

あの時、ニートの相方?みたいな奴がいた。なぜか僕が家を借りたのに、あいつも喜んでいた。秘密基地だな!なんて高揚しているあいつを見て、幸せってすぐそこにあるんだねって思えた。

いざ住み始めてみると、網戸が破れていた。そんなとこも確認せず入居したのが、当時の勢いを蘇らせる。実家に25年住んでいた僕は、網戸の変え方を知らなかった。

やってみると、網戸を変えるのってめっちゃめんどい。想像よりもめんどい。そこに不器用がブーストをかけると、網戸なんてなくていいかと思った。そこにあいつがやってくると、「俺が変えるわ!」とまた高揚しながらうちの網戸を変え始めた。手際がいい。自分がいかに甘えて生きてきたのかを痛感した。1時間もかからず新品の網戸が完成し、やっぱ網戸あってよかったって思った。

あれから3年が経った。3年もあると、人生ってのは大幅に変わるらしい。あの時のあいつは、結婚して子供が産まれた。ちょっと変わりすぎじゃないかとも思うけど、この間の結婚式で高揚と貫禄が入り混じるあいつを見ていたら、これもまた悪くないなって思った。

家族で住む家の網戸も、また意気揚々と張り替えるんだろうなあ。そこだけは変わんないでなあ。

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