年収の壁
収入がその額を超えると、新たに税や社会保険料がかかる“収入の壁”がある。
10月に大きな法改正があり、知らずに壁を超えてしまうと働き損をしてしまうケースもあるのでここで整理したい。
まずは『社会保険の壁』から。
聞いたことがある人もいるかもしれないが、いわゆる『130万円の壁』である。
パートタイム労働者の中には働きたくても130万円の壁があるから、少しセーブしちゃう」という人も多くいる。
現在、パートタイムで働く人は、給与収入が130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、自ら社会保険料を納めなければならない。
「沢山働くと逆に貰えるお金が減ってしまう。だから働く時間を減らして調整しないといけない。」という悪循環になってしまうのだ。
そこで、10月から全都道府県で最低賃金が引き上げられる。
全国平均は過去最大の引き上げ幅となる31円プラスの「961円」。
しかし、最低賃金が上昇しても130万円の壁の制度は変わらないので結局収入は上がらない。
過去10年間のパートタイム労働者の賃金を見てみると、2011年に1021円だった時給は2021年に1223円と、約20%上昇する一方で、月収はわずか4%しか上昇していない。
パートタイム労働者の働く時間が短くなるように調整されているのが現状だ。
さて、現在、“年収106万円の壁”という言葉が話題になっています。
これらの条件を満たす人は、自ら健康保険と厚生年金に加入して保険料を納める義務が発生するというものです。
しかし、今年の10月からは“106万円の壁”の適用範囲が拡大します。
10月からは「従業員500人を超える」という条件が「従業員100人を超える」に変更となり、更に2年後からは「従業員50人を超える」に引き下げられる予定です。
これにより、中小規模の企業であっても社会保険に加入する義務が生じてくるのです。
しかし、一方で自ら厚生年金に加入出来るので、目先の手取りは減りますが、長期的に見ると受け取る年金が増えるという見方も出来ます。
制度の変更があまり知られていないので、働く人は目先の手取りを重視してしまいますが、長期的に見れば将来受け取る年金が増えるというメリットも覚えておく必要があります。