日頃のケアが傷を浅くする
歯医者で痛い目を見た前回の検診以来、二回目の診察の日が来た。
結果から言うとかなり良くなっていて、日頃のケアをしっかり行うだけでここまで改善するものなのだな、と驚いた。
前回は、歯茎の状態のチェックで歯茎を押された際に、すべての歯が痛むうえに出血してしまう大惨事が起きた。「何で血が出るまで押すの!?」と歯科助手さんを恨めしく思ったし、診察後も一日中歯茎が痛くてしょうがなかった。
だから、「今日も同じような痛みに耐えることになるんだろうな、嫌だなあ……」とかなり憂鬱な気分で歯医者に行った。
しかし、今回の歯茎の状態のチェックは前回ほど痛いと感じなかった。診察の時間自体もかなり短く感じて、これだけで終わり? と感じた。
「きっと歯科助手さんが前回の出血がひどかったから、力加減を弱めに調整しているんだろうな……」とありがたさを噛み締めた。しかし、どうやらそういった配慮はしていなかったようである。それがわかったのは、歯科助手さんがこう言っていたから。
「すごく良くなってます! 前回はちょっと押しただけでどこも大量出血しちゃってたんですけど、今回が出血する箇所も出血量も少なくなりました。このまま日々の歯磨き、続けてくださいね」
まさかの褒め言葉。
歯科助手さんのニコニコ笑顔付き。
拍子抜けした。
あまり痛まなかったのは、前回の診察以来、自分が日々の歯磨きの仕方を改善した成果だったらしい。
「面倒だな、二週間後じゃそんなに変わらないよ……」と、歯磨きを頑張ることにあまり気が進まなかったけれど、歯磨き時間を長くしたり、フロスまでちゃんと通すようにしてよかった。
今回の二回の診察で、短い期間のケアが結果に結びつくことを知った。ケアをていねいにすることで同じ刺激でも歯の痛み方が変わったように、もしかすると、心や体の傷つきやすさも日ごろのケアで変わるのではないだろうか。
歯と同じように心も体も痛まないかぎり、なかなか病院に行ったり専門家に診てもらおうと思えない。少し違和感があったり、小さな痛みがあったとしても「まだ大丈夫だ」と放置してしまいがちだ。
しかし、今回は少しの違和感で歯医者に行ってみたら、虫歯にはなっていないとはいえ出血しまくりの大惨事だった。激しく痛むわけではないとしても、必ずしも今のケアを続けていればいいわけではないことを実感した。
今回の歯の件と同じように、心と身体も知らない間に不調をきたす一歩前にいるかもしれない。もしそうだとしたら、不意にくらった一撃が決定打になって大けがしてしまう可能性もある。
でも、日々のケアをちゃんとしていれば、傷を浅くできるのではないかと思った。
例えば、”自分はダメだから……”と日々落ち込んでいるような状態と、”毎日自分は頑張っている”と実感できている状態では、不意に失敗してしまったときのダメージが後者の方が低くなるだろう。
痛め付けるよりも、労れるように。
攻撃される環境にいるよりも、認めてもらえる環境に居られるように。
自分の心や体を守るため、日ごろのケアが本当に適切かを見直すようにしていたい。
少し面倒でもちゃんとケアすれば、同じ傷も浅く感じられたり、痛みが緩和するはず。
ケアを積み重ねていけば、未来の大けがだってきっと防げることだろう。
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