大坂なおみ選手が求めるコーチへの条件は「パートナーシップ」
noteマガジン「パートナーシップを磨く」は、(職場や学校や家庭で)安心で安全に話し合える関係と環境を創り出したい人が、その土台となるパートナーシップについて探究できるフィールドです。研修やセッションで扱っているエッセンスを届けています。
連投127日目。
今日は2019年2月19日。つい先日、全豪オープンを制した大坂なおみ選手が、コーチングスタッフであるサーシャバインコーチとのコーチ契約解消が発表されました。
全豪オープンを制した後だけに、憶測が飛び交う中、インタビューで彼女は率直に答えていました。
・敵対関係になって関係を解消したくなかったこと
・サーシャバインコーチには感謝しかないこと
・自分が人に心を開くようになれたのは彼のおかげであること 等
そのインタビューの中で、「次のコーチに求めるものはなんですか?」という質問に、彼女は次のように答えました。
「裏でいろいろ言うのではなく、厳しいことでも直接、言ってくれる人がいい」
これぞまさにパートナーシップそのものですね。
あらためて、彼女の言葉を聞いて、一流の選手って素晴らしいなと思いました。
「より強くなり、試合に勝ち続ける」ことは、あらゆるプロスポーツで選手に求められることでしょう。
そのため、あくまでも選手とコーチは、「試合に勝つ」という共通の方向に向かっていくためのパートナーなのであり、そのための会話を重ねていくことが、選手とコーチには求められますね。ただ、仲がいいとか、話しやすいといった個人的に心地よいコミュニケーションを相手に求めると、逆に伸び悩む可能性だってありえます。
仮に、個人的には嫌いであっても、パートナーとして最高の関係であるかどうか。
わたしがコーチとして関わる組織では、「好き嫌い」「関係をギクシャクさせたくない」「話しかけにくくなるのを避けたい」といった個人的な理由で、仕事上の必要な会話ができずにいるというケースを見聞きすることが珍しくありません。
結果、どれだけ組織内でコミュニケーション不全が起きているか。
たった少しのポイントをおさえるだけで、「安心で安全に何でも言えて、何でも聞ける関係と環境」がつくりだせるのに、それを知らずに、我流で組織マネジメントをするリーダーがなんと多いことか…と思います。
大坂選手の話に戻ると、彼女が「厳しいことでも直接、言ってくれる人がいい」と希望していることも大きいですね。彼女には「あらゆるフィードバックに耳を傾ける準備がある」ということですから、コーチとしてもかなりコミュニケーションがとりやすいことでしょう。
ここでもしかしたら、「部下がそう言ってくれたらいいけど、そういう部下ばかりじゃないですよ」と、この話を例外のように扱いたくなる感覚が湧いている人もいるかもしれませんね。
おっしゃるとおりです。確かに、部下がこう言ってくれるととてもありがたいですね。
じゃあ、部下にそう言われたら、あなたは、厳しいことを、正直に直接言えるのか?というと、どうでしょう?
「そうはいっても、傷つけるんじゃないか」
「もし自分が部下の立場なら、これは言われるとキツい」
「あとからパワハラとか言われたらどうしよう」
あなたが厳しいことを言おうとしても、自分自身に言わせまいとする理由はいくらでも湧いてくるでしょう。
また、例えば、あなたも部下から厳しいことを言われるということを承諾していなければ、双方向ではなく一方通行なので、それってパートナーシップがあるとは言えませんね。
次、大坂なおみ選手のコーチに就く人は、仮に厳しいことでも、結果のためなら、しっかり正面から伝える覚悟と、同様に伝えられる覚悟の両方を持ち合わせることが求めらるでしょうね。
わたしは、大坂選手が、パートナーシップのあるコーチのもとで、更なる活躍をされることを期待していますし、楽しみにしています。