あれか、これか。ファイナンス理論を日常の選択に生かす。
野口真人さんによるファイナンス思考の入門書が非常に面白かったので、記事にします!
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本のサブタイトルに「ファイナンス理論」と書かれている通り、第5-7章はMM理論やMPT、CAMPなどノーベル経済学賞を取った理論が説明されています。
しかし、私が価値を感じたのは、本の前半で説明されていたファイナンスの考え方です。
キャッシュはキャッシュのままではお金を生まない話、リスクとどう付き合うべきかという話など、目から鱗が落ちっぱなしでした、、!!
ファイナンス思考ができれば、投資やローンといったお金に関することだけでなく日々の生活で「あっちにするか、こっちにするか」と迷ったときにどうやって考えを進めて行けばよいかの指針になります。
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リスクとは不確実性であるという話
リスクの捉え方が根本的に変わりました。
リスクと聞くと危ないことを想像しがちですが、ファイナンス思考においてはそうではありません。
リスク = 危機とは、「危険 + 機会」であり、良い悪いどちらに転ぶかわからない不確実性の高い状況のこと。そして、リスクをとった結果の良い悪いは、リスクそのものに関係ありません。
例えば、サメの泳ぐプールサイドを歩いている状態はリスクが高いと言えますが、プールに落ちた状態は危険そのものであり、リスクはゼロです。
また、プールを泳いでいるのがサメでなく美女であっても、"プールサイドを歩いていて、プールに落ちるリスク"は、何ら変わりません。
人生においては、取るべき好ましいリスクを味方につけられるかが非常に重要です。
これを選ぶことで将来にどれだけの価値を生むか、そして、考えられるリスクで割り引いたときに、将来的に手にし得るリターンの現在価値はどのくらいなのかを考慮し、あれか、これかを意思決定をしていく。
日々の仕事で早速実践してみようと思います!
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余談
ちなみに、学問的にリスクを計算できるのが統計学で、対象が正規分布に従う場合に標準偏差(各値 - 平均値を偏差、偏差の2乗の平均の平方根が標準偏差)を求めると、1標準偏差の間に落ちる確率が約68%だと計算できます。
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「エンジニアリング組織論への招待」という本には、エンジニアの仕事は不確実性を減らしていくことであるという視点から書かれており非常に興味深かったです!
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また、リスクの本質を説いた本として有名なのは「ブラック・スワン」ですが、私は読むの挫折しました。。
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ファイナンス理論のメモ
ここの章は理論に興味のある方だけお読み下さい!
【MM理論】
第一命題・・税金や取引に関わる諸経費が存在しない「完全市場」においては、資本構成(負債と株主資本の組み合わせ)は企業価値に影響を与えない
第二命題・・投資政策に変更がなければ、企業の市場価値は配当政策によって影響を受けない
つまり、BSの右側の負債と純資産の比がどうであっても、左側の資産の価値になんら影響がないということ。なお、法人税などが存在する「不完全市場」においては、負債を持つ企業の方が、企業価値が高いと言われる。というのも、支払い利息が節税効果をもたらすからである。(グロービス経営大学院のサイトも参考)
負債を持つ方が価値が高いというのは日常の感覚とはズレているが、COEはCODより高くなるので、株主資本ばかりを増やすとWACCが高くなる。
あと、ハイリスク・ハイリターンは世の常。
【MPT, CAPM】
現代ポートフォリオ理論(MPT)とは、分散投資(タマゴを1つのカゴに盛らない)を説明したもの。分散することで、理論上リターンはそのままで、リスクだけを減らすことができる。
また、理論上は最強のポートフォリオが導けて、効率的フロンティア上に乗る投資しかあり得ない。(日経やダウ平均に連動するようなポートフォリがこれに近い。)
資本資産価格モデル(CAPM)とは、個別銘柄の価値を、それ自体のリスクだけでなくマーケットポートフォリオと相対的にどのように動くか(β)という視点を組み込んで計算したもの。
【オプション価格評価モデル】
オプション取引、つまり「上がるか下がるか」ではなく、「どうなるかわからない不確実性」にお金をだす取引。このオプション取引の価格を理論的に評価できるモデル。
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ファイナンスの考え方、理論がわかった(気になれる)良い1冊でした!
(野口さんの他の書籍もポチったので、読んだら感想を書きます!)
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!
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