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河津平安の仏像展示館に行ってきました

昨年下田の友人宅に遊びに行った時のことです。
その日は河津にある友人お勧めのお店でランチをすることにしていました。
友人は御朱印を集めていて、ランチの前に河津の南禅寺に行きたいと。
寺社仏閣巡りも好きな私は、いいね、行こうよと即決。
南禅寺のすぐそばには、平安の仏像展示館があるみたいだから、
せっかくだからそこにも行くことにしました。

河津の市街地から山沿いに車を走らせていると、
平安の仏像展示館駐車場が見えてきました。
他に車は止まっていなかったのですが、たぶんここでいいのだろうと。
駐車場からは、かなりきつい坂道を上がります。
これは車じゃ登れないでしょう。

登り切ったところは、うっそうとした森。
その中に、ぽつんとお寺がありました。
そう、南禅寺です。
思っていたよりもこじんまりとしていて、さみしい気持ちに。
そこから右奥に目をやると、立派な建物が見えます。
そこが平安の仏像展示館だったのです。

入り口を入ると、受付には穏やかなお顔の初老の男性がいました。
拝観料を払って、中に入ります。
御朱印も受付でお願いします。
そして、展示室に足を運び入れると、
まず真正面にあるのが、薬師如来坐像でした。

すごいねえと、何がすごいのかもわからず感嘆していると、
受付の男性が、
簡単で良ければご案内出来ますよと。
知識皆無の私たちは、もちろんお願いしました。

簡単で良ければ、と言われましたが、
まったく簡単ではなくて、仏像1体1体について詳しく詳しく説明してくださいました。
ここにある仏様を尊んでいらっしゃる気持ちが伝わってきます。
南禅寺の歴史についてもお話を聞いて、「なんぜんじ」ではなく、「なぜんじ」ということも初めて知りました。
京都の南禅寺とは違うのですね。

土砂災害で流されて100年以上埋もれていた仏像が、ほぼそのままの姿で発見された話を聞いて、
佃住吉神社の大柱を水路に埋めていることを思い浮かべました。
なるほど、真空状態になるから木でも腐らないのですね。
仏像も自然の力で保存されていたから、生き延びられたんだ。

展示館にある仏像についての研究を、上原美術館に協力していただいているという話も聞きました。
上原美術美術館には一昨年行ってきました。
そんな話をお伝えしていたところ、時間があるならと南禅寺の本堂にある如来像を拝ませてくださることに。
展示館にある仏像よりは新しいけれど、ありがたい仏様だと。
普段は鍵がかかっていますが、開けて中に入れていただきました。
本堂の中に入り、右奥にある小さい厨子をあけると、中に小さな仏様が。
座って拝んでみてくださいと言われ、座ってみると、
なんと、仏様の目が明いて、こちらを見てくださっています。
私は信心深いほうではないのですが、この時はありがたい気持ちに包まれました。

展示館にある仏像は、もともとは南禅寺にあったもので、町の人たちの身近なものでした。
学術的にも貴重な仏像をもっとたくさんに人にみていただきたいと、
最初は山の下、今の駐車場のところに作る予定だったそうです。
それが、そこに作るならばガラスで覆って湿度管理をしっかりしなければ写すことは認められないと関係省庁等から言われ、
今まで身近に会った仏様をガラスで覆うなんてできないと、
坂道を上がった、本殿と同じ高さのところに作ることにしたそうです。
それだけで環境が違うのですね。

帰る時に一人すれ違っただけで、
私たちがいる間は、誰も来ませんでした。
でもここは、多くの方にぜひ見ていただきたい、
できればお話も聞いてもらいたいと思います

入ってすぐの薬師如来像
薬師如来像の左側に
右側には、この像が
2体で薬師如来様をお守りしています
ほぼ完全な一本造りの像
杖は、後から誰かが持たせたものだそうです
帝釈天立像
甲冑の上に袈裟をまとっているのが帝釈天と教えていただきました
こちらは楠で作られているそうです
仏像はカヤ材、神像は楠で作られていると伺いました
ひっそりとたたずむ南禅寺
寂しい感じがしましたが、
じっと見ていると、だんだん静かな、暖かな心持になりました