『秘境探索〜540億円の遺構を追う〜』その①(美河林道ゲート〜道道111号線分岐点)

画像1 三石ダムの上流部にある美河林道ゲート。 ご存知の方も多いと思うが、この林道は高見ダムまで続いており、ここはいわば下界と秘境を分ける境界線である。 私と7Gさんはバックパックに3日分の食料と溢れんばかりの希望を詰め込む。 時刻は8時半、千石トンネルに向けいざ出発。
画像2 美河林道は三石川沿いに続いており、セタウシ峠を越えて高見湖畔に出るというルートだ。
画像3 歩き始めてから30分。徐々に勾配が増し、先ほどまでの涼しい表情から一転、汗が滴り始める。
画像4 三石側で最も勾配がある場所。たった200mほどでこんなにも登る。これは汗が止まらないワケだ。 私たちは小休止をして水分補給をする。
画像5 早くも汗まみれ、泥まみれの私たち。 今年初の本格的な山歩き。峠の登りはこんなにも辛かったのか?? ようやくセタウシ峠に着いたのは9時50分。
画像6 再び歩き始め、フッと左側を眺めると木々の隙間からエメラルドグリーンの高見湖が。 その神秘に満ちた美しさに眺めているだけで疲れが吹き飛ぶ。 私たちはついに静内川流域へと足を踏み入れたのだ。
画像7 セタウシ峠からはジグザグと急カーブを繰り返す超急勾配の下り坂。 最後の直線の下り坂に入ると、高見湖がドーンと視界に入ってくる。
画像8 10時半、高見林道分岐点に到着。 ここを左に曲がれば高見ダム堤体方面、右は千石トンネルと東の沢ダム方面へと続く。
画像9 高見湖畔沿いに延びる高見林道は2年前の造材作業以来整備をしていなく、路肩が崩れかけたり、路面には落石が目立つ。
画像10 昨年春の大雨により、林道が抉れて岩盤が剥き出しになっている場所も。普通乗用車では通行ができなさそうだ。
画像11 3年前、私が単独で歩行中に親子ヒグマに遭遇した現場。 あの時は 『あぁ、今日という日が私の命日か、、、。もっと肉を食べておけば良かった。もっと若い女子と戯れていれば良かった。』 と比較的本気で思ったものだ。 だが、何とか無事に生き延び、こうして再びここを歩けている。私は幸せものだ。
画像12 少し林道の雰囲気が変わった。路面や脇の草が多いように感じる。
画像13 勢多橋を渡る。道道111号線分岐点まであと2㎞くらい。
画像14 この林道は微妙なアップダウンが続く。
画像15 坂を登り終えると、、、
画像16 そこにはドーンと高見湖が広がっていた。 エメラルドグリーンの湖面、新緑眩しい森、時折吹き渡る初夏の風、その風に乗ってくる山独特の緑の香り、、、まるで私たちを待っていたかのように出迎えてくれている。 『あぁ、本当にここに来て良かった。』 思わずそう呟いてしまった。 時刻は11時20分。折り返し地点まであと僅か。思っていたより順調だ。 『よーし、予定通り本日の宿泊地の千石トンネルまで行けそうだ!』
画像17 と思った矢先のトラブルその① 『ドッヒャー!林道がないっ!!!』 路盤が完全に落ちているではないか。3年前はバイクが通れそうな幅までは残っていたが、その路盤の形跡すら見当たらず、、、。 『とりあえず作戦会議がてら休憩しましょう。』 と私たちはバックパックを降ろし、地面にベタッと座った。
画像18 私たちの導き出した答えは前進あるのみ!であった。 もしものために用意したこの道具を使うことになるとは、、、。
画像19 まず安全帯を防護ネットにかけながら無理矢理渡ってみることに。 つま先で足場を削りながら一歩一歩進む。対岸に渡りきり、これより先の林道を確認し、どうやら危険箇所はここのみだと判断。 7Gさんに対岸からロープを投げてもらい、それを足場の上部に設置。 安全帯のカラビナをロープに引っ掛けて渡るという作戦だ。
画像20 重たいバックパックをそのまま背負って渡るのは危険と判断し、一旦中身を軽くして数回に分け対岸へと運んだ。 荷物も人も対岸へと渡し終えたのは12時半。 20mを進むのに多大なる時間を要してしまった。しかし、千石トンネルへは明るい時間帯には着けるだろう。 そう思っていたが、この後トラブル②、トラブル③と続くのであった、、、。
画像21 大崩落地点から先の林道は既に廃道のような有様。
画像22 ようやく高見橋に近づいてきた。 すると支線林道との分岐点に千石トンネル方面を指す看板があった。 日高横断道路建設時は、この林道も使われていたということか。
画像23 13時10分。折り返し地点の高見橋に到着。千石トンネルまで約18㎞である。 ここを渡り切れば道道111号線、日高横断道路へと出られる。この道路は綺麗に整備され、今しがた通ってきた林道よりアップダウンが少なく圧倒的に歩き易い。 橋の中間地点で上流部を眺めると
画像24 トラブルその② 『マ、マジかーい!!!』 道路工事しているやんけ。。 でもここは信じられないほどの山奥で、業者さんは基本早朝に入り、夕方前には下山する。 恐らく15時前後には撤収するハズだと思い、私たちは渋々再び休憩をする。
画像25 こればかりは仕方ない。気長に待とう。 高見橋手前に小沢があったので、この水を沸かしてコーヒーを飲む。 『プッハァ〜、山奥で飲むコーヒーは美味い!』 行動食のお菓子を食べながら工事が終わるまで待つことに。
画像26 しかし、14時半を過ぎても撤収する素振りを見せない。 時折、カメラの望遠で作業を確認する。まだかな、まだかな〜。
画像27 ようやく撤収したのが14時50分。 長い足止めをくらったが、少し疲れが取れた気がした。 さて気合を入れて千石トンネルへ! 『少しテンポを上げて歩きましょう!』と言って荷物をまとめていると、、、 パラパラ、、、 と雨が降り出してきた。あれっ!?夜中に雨予報だったのに。山の天気は女性の気分みたいに変わりやすい。 ザックカバーを被せ、雨具を着て歩き始める。
画像28 ようやく道道111号線へ。 少し雨脚が強まってきたが、とにかく進むしかない。
画像29 分岐点からすぐの場所にあるゲート。道道111号線の中では一番新しいゲートだ。
画像30 先ほどの工事現場から眺める高見橋。 高見湖畔の大規模崩落地点と道路工事に足止めされ、おまけに雨にも打たれている私たち。 無事に千石トンネルまで辿り着けるのか、、、雲行きが色んな意味で怪しいぜ。。

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