『秘境探索〜540億円の遺構を追う〜』その②(道道111号線分岐点〜千石トンネル手前)

画像1 幌寒橋の手前にある標識。相変わらずウサイン・ボルトの全力疾走で一発免停!
画像2 高見湖のバックウォーター。ここまで水位が低いのは初めて。 しかし相変わらず、日高独特のエメラルドグリーンの川は私の心を揺さぶる。 釣りもしたいが、今回の目的は千石トンネル探索。時間も押してるし、先へと急がなくては。
画像3 昔はこのあたりも頻繁に崩れていたが、治して治しまくった結果、新ひだか町側の道道111号線はここ数年大きく崩れたという話は入ってこない。
画像4 いよいよ本格的な雨降りになってきた。 雨具を着ているとはいえ、雨の中の山行は心を無にした精神修行だ。おまけに足元が濡れて気分はよろしくない。 どこかで雨宿りをしなくては、、、。
画像5 15時40分 おや? 雨宿りをできそうな小屋を見ーつけた! 私たちは迷わずそそくさとこの小屋に入り休憩ることに。 どうやらここはブル小屋のようで、重機の壊れたパーツやグリスなどが転がっている。 少々重油臭いが、最悪ここに泊まることはできそうだ。 『16時半になっても雨が降り続けるようであればここに泊まりましょう。』 と話し合ってた矢先、小雨になり一抹の希望が湧いてきた。 だが、南の空を眺めると、続々と雨具が北の方角へと流れてくる。やっぱダメか。。
画像6 16時半を過ぎたところで、空がパァっと明るくなった! そして雨が止んだ! こっ、これは行くしない!かなり微妙な時間だけど、雨さえ降らなければ多少の夜道でも歩ける。 行ったれー!!! と小屋を出て再び歩き出した。 あぁ、出ちゃったかw今だから言えるけど、これは判断を間違えてしまった。。
画像7 東の沢橋から眺めるコイボクシュシビチャリ川とコイカクシュシビチャリ川の合流点。 以前ここを釣り歩いたことがある。 両岸に迫る垂直の函を越えると視界が開け、ゴロゴロとした大きな岩に落差のある流れ。そしてオレンジ色の橋脚の東の沢橋が見えてきたところで合流点。 ここから脱渓することが何より大変だったのが印象に残っている。
画像8 シビチャリ2号橋付近から再び雨が、、、。
画像9 開発道路区間は谷が広く、平らな場所が多いため、東の沢橋手前までの道とは全く雰囲気が違う。 あんな険悪な渓谷の先にこんな平地があるのか、、、と驚いてしまうほど。
画像10 道道111号線最後のゲート。ここは昔から解放され、ゲート自体は壊れたままだ。
画像11 シビチャリ6号橋の下を流れるナナシ沢。 この時点で時刻は18時半。既に空から明るみが消え、夜の帳が下り始めていた、、、。
画像12 シビチャリ7号橋を渡り終えると、再び一車線の幅に。薄暗い空、鬱蒼とした森の中に続いていることも手伝ってか怖いなぁ、、、。
画像13 シビチャリ11号橋横の迂回路(旧コイボク林道)通過したのは19時10分。 さすがにヘッドライトを点灯させなきゃ足元が見えない状況に。
画像14 とにかく今日は千石トンネルまで行くのは不可能と判断し、シビチャリ13号橋を過ぎたところにある作業小屋(プレハブ)に泊まることにした。 お願いだから鍵よ!開いていてくれ!!! 心の底からそう願った(マジで!)。
画像15 20時10分 止まらない雨、濡れて重たい靴、、、 13号橋を渡り真っ暗な山奥の林道を恐る恐る歩く。 もはや怖いというレベルではない。 このような経験をすると、下界では何一つ不便なことなく、文明の力に助けられて生かされている弱い自分に気づく。 そしてブル小屋を出発してしまった過去の自分を盛大に呪った。。 プレハブはまだかぁー。
画像16 20時20分 プレハブに到着😭 『た、助かったぁ〜。ここにプレハブがあって良かった〜。』 私たちは今にも泣き出しそうな顔で心底喜びを分かち合った。 すぐ様ローソクに火をつけ、じっくり見渡すとストーブの煙突がバラバラになっており、煤が寝床の畳の上に広がっている。 マ、ジ、か、よ、、、。 最後の力を振り絞り、私は煙突の組み立てをして7Gさんは畳の上を拭き掃除。。 そして10分後、ようやくストーブに火を入れる。 その瞬間パァーッと温もりが私たちを包み込んだのであった。 ホッ、、、。
画像17 濡れた服を乾かしながらも夕食の準備をしなくては、、、。
画像18 その前にまずは乾杯! とてつもなく緩いビールだが、とてつもなく美味しいビールである。 私は今、世界で一番美味しいビールを飲んでいるという自負がある。
画像19 本日の晩御飯は純連の味噌ラーメン。
画像20 それに餅を入れてお腹を満たす。 餅は多少重いものの、コンパクトでお腹持ちが良いので、山行の際はいつも所持している。 カロリーを消費し切った所為か、スープを一滴たりとも残さず胃の中へ。
画像21 食後のデザートは日本酒。 クイッと飲み込むと、ジワっと体の隅々までアルコールが巡り、いい感じでほろ酔い気分に。 はぁ、、、ここまで無事に(厳密に言えば無事とは言い切れないが)辿り着いて良かった。。
画像22 22時00分 お腹が満たされ酒も入ると一気に睡魔に襲われてきた。 普段はこんな早くに寝ることがないけれど、本日はもう寝ることにしよう。 今はまだ雨が降り続いているが、明日は朝から晴れ予報だ。千石トンネル探索が楽しみで仕方ない。 就寝前に薪を追加しておやすみなさい。。
画像23 6時 窓から柔らかい光が射し込んでいた。 トドマツが初夏の風に揺られてカサカサと音を立てている。 忙しそうに飛び回る鳥のさえずりで眼を覚ます、日高山脈の素晴らしい朝。 一晩降り続いた雨が上がり、上空には爽やかな青空が何処までも広がっていた。
画像24 ずぶ濡れの私たちを助けてくれたプレハブ。これがなかったらどうなっていたことやら。。
画像25 温かいお茶をすすりながら朝食の準備を。 今朝は海鮮スープに餅を入れた簡単な食事。
画像26 7Gさんはラーメン&餅。
画像27 8時 千石トンネルに向けて出発!
画像28 森の中を歩いていたと思えば、突如視界が開ける場所も。こんな奥地まで伐採が入っているのだ。 日高の原生林はどこに消えたのか?
画像29 そして日高横断道路の新ひだか町側の最後の橋が見えてきた。
画像30 どこまでも青い空、真っ白くフワフワな雲、新緑眩しい日高山脈の稜線、、、。 私たちはついに千石トンネルまでやってきたのだ。自分の足で稼いだ分感銘も深い。 ここまでの道のりを思い返す。 昨日は8時半に美河林道ゲートを出発し、途中路盤崩落や道路工事、そして雨に足止めを喰らい、プレハブに到着したのが20時20分。 たくさんの時間、体力を使い果たし、恐怖も存分に味わった。 だが、そこまでする価値があるのだ。いや、それ以上の価値があると信じている。 果たして千石トンネルの内部はどのようになっているのか?

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