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本格的な財務会計の基礎②(事業会社の売却を例に)
皆さまこんにちは😊
投資ファンドで働く視点から情報を発信しています。
この記事では、事業会社や投資ファンドにて事業会社や電力インフラアセット(太陽光発電や火力発電、水力発電など)のM&Aや売却を実際に行ってきた経験から、本格的な実務プロセスに関するコンテンツを随時更新していきます。
コンテンツの目的:
電力インフラのM&Aや外部企業への売却実務を題材として、M&Aについて体系的に理解することを目指します。また、あまり一般的に扱われることの少ない電力インフラという題材に関する生きた素材としても活用いただくことを目的とします。今後盛り上がりそうな再生可能エネルギー電源のM&Aについても、実務経験からそのポイントについて書いてみたいと思います。
この記事を読むことで下記のメリットを感じていただければと考えております。
・電力インフラ売却というレアケースを題材としたM&A実務の知識の取得
・入札プロセスやデューデリジェンスのポイントの把握
・数十億〜数百億円を扱う案件のリアルな現場を体感
・市販のM&A本では書ききれていない部分・分かりずらい部分の理解を深める
本記事の構成:
本記事の構成は下記のようになっています。
第1章:電力インフラ売却の全体像
第2章:各プロセスの詳細と注意点(DD:財務税務編)
第3章:各プロセスの詳細と注意点(DD:法務・ビジネス編)
第4章:売り手目線で満足のいく売却をするポイント
第5章:関連知識・必要な準備事項
今回は、第2章:各プロセスの詳細と注意点(DD:財務税務編)になります。会社売却のプロセスの中で大きなポイントとなるデュー・ディリジェンス(以下DDと呼ぶ)について掘り下げてみたいと考えています。
DDには大きく分けて「財務税務」「法務」「ビジネス」の3つのカテゴリがあります。それぞれについてどのような内容のQ&Aが実際に実務で行われているのかを解説します。
【財務税務】
・BS・PL全般
売上や費用などの増減理由、収益認識基準、未払金の内訳、固定資産除却や資産除去債務に係わる考え方など多岐に渡る内容の説明が求められます。電力インフラの場合は修繕費が高額になるため、修繕費やその修繕引当金に計上した金額の算出根拠なども細かく事前の理解と説明が必要です。
・資産除去債務
賃貸借契約などについて、原状回復義務などが課されている場合に、通常は資産除去債務として計上されますが、その計上が無い場合に、その理由を聞かれたりします。発電事業は特段の事情がない限り事業が継続する想定であり、事業が継続する前提である為、原状回復の発生時期及び発生費用の見積もりが困難であることから資産除去債務は計上していない、といった回答が必要となります。
・減損損失
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