『投資家(Investors)と起業家(Entre-preneurs)』エンジェル投資家とスタートアップの魅力と可能性
Chatworks株式会社の創業者山本敏行さんとhackjpn inc代表の戸村光さんの著書『投資家と起業家』は、これから起業したいと考えている人や起業家(スタートアップ)を応援したい人にとって大変有益な内容と思いましたので今回ご紹介しますね。
本書の冒頭で、
「投資家には、起業家を「支援」する方法を知ってほしい。」
「起業家には、良い投資家と出会い、ビジネスを大きくしてほしい。」
という著者の思いが綴られていますが、投資家(エンジェル投資家)から見てどのような投資先を選び投資・支援していけばよいのか。起業家(スタートアップ)として、どのように起業し事業を作りスケールしていけば良いのか。そして、相性の合う投資家(エンジェル投資家)に出会う方法とは。
『投資家と起業家』
2021年9月11日 初版発行
著者 山本敏行/戸村光
発行 株式会社クロスメディア・パブリッシング
発行者 小早川幸一郎
本書を読むと、一度起業して成功した人やスタートアップとして成功した人が今度は投資家(エンジェル投資家)として、有望なスタートアップを支援していくという形が今後も増えていくのではないかと予想されます。
実際に書店に足を運ぶと、実際に投資家(エンジェル投資家)に関する本や、起業して成功し、現在は投資家(エンジェル投資家)として活動しているという著名人の本が増えていると感じます。
投資家(エンジェル投資家)よりも起業する側である起業家(スタートアップ)の方が少ないと聞きますから、これから起業して世の中をより良くしたいと考えている人にとってチャンスかもしれません。
事業が成功すれば起業家(スタートアップ)もハッピー、投資家(エンジェル投資家)もハッピー、日本もハッピーとなるわけです。起業家(スタートアップ)として成功したい人、投資家(エンジェル投資家)として成功したい人にとって山本敏行さんと戸村光さんの著書『投資家と起業家』は必読です。
それでは、今回も3つの点をピックアップします。
起業家(スタートアップ)になる
まず、本書で定義されている「スタートアップ」というのは以下のようになります。
1、エグジット(創業者やファンドが株式を売却し、利益を手にすること)ありき。
2、今までにないイノベーションを通じて、人々の生活と世の中を変えること。
「スタートアップ」は「エグジット」ありき、すなわちIPO(Initial Public Offering:新規上場株式)やM&A(Mergers:合併 and Acquisitions:買収)を見据えた起業であるということ。そして社会人に至っては、家庭の状況によっては経済的にも肉体的にも大きなリスクを取れませんから、本書では、
「まずは副業としてやっていき、しかるべきタイミングで覚悟を決めて飛び込む勇気を持つこと。」
をお勧めしています。
しかるべきタイミングというのは市場のトレンドに乗ること、すなわちタイミングが大事だということです。タイミングが良かったから大成功した!という話はビジネスの世界ではよく聞きますよね。
そして、スタートアップはベンチャーキャピタルや投資家(エンジェル投資家)の支援が必要となるような、世の中を変えるようなスケールの大きい事業をエグジット前提で立ち上げるもの。そこにはやはり相応の覚悟と勇気が必要となります。
起業成功の条件としては他にもいくつかあり、本書には「徹底的にパクる」ことや「メンターの重要性」についても具体が書かれていますので、詳しくはぜひ本書をお読みください。
投資家になる(エンジェル投資家)
ここでの「投資家」とは「エンジェル投資家」を指しますが、本書には投資家(エンジェル投資家)は資金面での支援のみならず、知識面など起業家(スタートアップ)が不足している部分をフォローする必要があると書かれています。
要は、経営経験なりエグジットの経験があれば、資金面だけでなく、経営面でもサポートできるということです。アメリカではエグジットを経験していなくてもエンジェル投資で莫大な資産を築いている人がいるようですが、少なくとも経営経験というものがなければ投資家(エンジェル投資家)としてスタートアップを支援していくことは難しいかもしれません。
ちなみに、起業家(スタートアップ)が成功するためには以下全てができていなくてはならないと本書に書かれています。
1、経営者のビジョン
2、ビジネスアイデア
3、チーム
4、デザイン
5、プロダクト開発力
6、マーケティング
7、ブランディング
8、マネジメント
9、ファイナンス
10、プライシング
11、タイミング
上記1、から10、に挙げられている項目を見てもわかるように、投資家(エンジェル投資家)にもこれらの知見、経験があることが望ましいでしょう。そして「スタートアップを自分が成功させるんだ!」という気概なり強い当事者意識を持つことで、起業家(スタートアップ)、投資家(エンジェル投資家)お互いの成功に近づく。
投資家(エンジェル投資家)の支援を受けつつ、自分のビジネスを進めていける環境は起業家(スタートアップ)にとっても最高だし、投資家(エンジェル投資家)にとっても起業家(スタートアップ)の成功が自身の成功につながるわけです。
今や芸能人や元スポーツ選手などもエンジェル投資を行っています。元サッカー選手の中田英寿さんは今やエンジェル投資家としても有名ですよね。もしあなたが選べる立場ならば、人生100年時代のひとつの選択肢としてぜひエンジェル投資家を入れてみてはいかがでしょうか。
アフターコロナを考える
最後にアフターコロナに触れておきましょう。山本敏行さんが最も注目している投資領域が「アフターコロナで伸びる市場」です。Zoomなどのオンライン会議ツールやデリバリーサービス領域が伸びているのはご承知の通りです。
コロナによる感染拡大は今現在も続いているものの、徐々に落ち着いてくるでしょう。かと言って、コロナ前の生活に完全に戻ることはなく、新たなワークスタイル(今のようなテレワークが継続されることも含む)、新たな住生活といった新たな価値観というものも生まれてくるはずです。山本敏行さんは、
「そのようにして生まれた新たな市場に照準を合わせたビジネスアイデアであるかどうかが、投資する上で重要な見極めポイントである。」
とおっしゃっています。起業する側からすれば、この点も参考にしてビジネスアイデアを創出する必要があるでしょう。
新たにビジネスを作り上げるか、今あるビジネスを改造するか。この点については私自身も常日頃考えていることです。アフターコロナでどういった価値を提供すれば世の中をより良くしていけるか。ぜひあなたも考えてみてはいかがでしょうか。
さて、今回はChatworks株式会社の創業者山本敏行さんとhackjpn inc代表の戸村光さんの著書『投資家と起業家』をご紹介しました。スタートアップとかエンジェル投資家なんて言葉聞いたことないよ、という人でも本書を読めば嫌でも興味が湧いてくるような、そんな著者の魂がこもった1冊になっていますのでぜひ読んでみてください。
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