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想い出の釣り道具

あれは小学生の高学年の頃の記憶だが、友達の家に遊びに行くと友達の兄さんと兄さんの友達がいて、そこにシマノのバンタム100と言うリールとパームスのエッジと言うシリーズの竿があった、当時リールと竿は何となく分かったのだがそんな小洒落たリールと竿など初めて見る自分、そしてそこにはルアーと言う何だか見たこともない物があり、友達から説明してもらいそんな物があるのかと驚いたのを覚えている。初めて見るルアーフィッシングの世界、又そのルアーが子供の遊び心に刺さったのだった。それまで釣りと言えば餌釣りだったのだが(毛鉤は知っていた)そのスタイリッシュな道具達は当時の自分の心を鷲掴みにするには十分だった。数年後中学生になった私は同級生達とルアーフィッシングの話になりその事を思い返して話は盛り上がりを見せちょっとしたブームが起こったのだ、皆新聞配達のアルバイトをしてその給料でバンタム100などの道具を揃えるのだった、当時夕刊一月分の給料で丁度バンタム100が買えたのを覚えている。道具が揃うと次はキャスティングの練習である、バンタム100はベイトリールと言う部類のリールで投げるのに少し練習しないと使い物にならないのである。
当時そのリールには何故か皆ストレーンと言う糸を巻いていた(黄色い糸でカッコ良いやつ)私もその糸を近くの釣具店へ買いに行くのだが、何だか思いのほか高額だったのを覚えている、しかも2種類ありベイト用とスピニング用だったのだが、意味が分からず安いスピニング用を購入したのを覚えている。しかし購入後パッケージから出すと黄色い糸のはずが、そのスピニング用のストレーンは淡い紫色をしておりその時初めて何となく間違えたことに気づくのであった。しょうがないのでそのままその糸をリールに巻いてキャスティングの練習をする事にした、ルアーはお金が無いのでバチモノのラパラもどきを買いそれを付けて、いざキャスティングの練習と意気込んでいたがそんな軽いルアーを当時のベイトリールでキャスト出来るはずもなく一撃で修復不可能なバックラッシュになり、バチモノのラパラは足元のコンクリートに叩きつけられ首から下だけ千切れて飛んでいってしまったのだ。一瞬で子供の高い買い物はめちゃくちゃになってしまった。悔しくて腹が立ってしょうがなかったが当時はもっと練習すればラパラのバチモノをキャスト出来る日が来ると思っていたが、そんな日は来ることはなかった。

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