一度に要件を伝えるスペイン語、一つずつ確認する日本語 ~ハンバーガーセットの注文を例に考える
スペイン語と日本語の間には、意外な所に壁が存在します。
気付きにくいんだけど、突如現れて、私たちを困らせます。
逆に存在を認識していれば、難なく避けて通ることができます。
ファーストフード店でハンバーガーセットを注文するとします。
店員さんとのやり取りを思い浮かべてみてください。
日本では、項目を一つずつ確認しながら進めるのを好みます。
反対にスペイン語圏では、必要事項を一度に言うことが多いです。
◆ ◇ ◆ ◇
日本のお店では、だいたいこんなやり取りが交わされます。
・こちらでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?
・今なら〇〇がおすすめですが、いかがでしょうか?
・ドリンクは何にしますか?サイズは?
・ポテトは?ナゲットはいかがですか?
日本では、ごく当たり前の光景です。
要件を一つずつ確認する、マニュアル通りの対応です。
各店員さんは、漏れがないように努めています。
もっとも、このマニュアルトークには賛否あります。
ハンバーガー10個注文しても『お召し上がりですか?』なんて。
紋切り型を揶揄する冗談にもなっていますが、それは余談。
日本では当たり前でも、違和感を持つ外国の方もいます。
以前通っていたクラスの先生は、対応がもどかしいと言いました。
先生は沖縄にルーツを持つ、リマ出身の日系ペルー人女性です。
別に店員さんの粗相があったわけではありません。
では何にもどかしさをおぼえたのでしょうか。
◆ ◇ ◆ ◇
彼女はこのように力説しました。
なんで1つずつ確認しなければならないの?
お召し上がりですか?ご注文は?ドリンクは?なんて
いちいちやり取りするのは面倒じゃない!
要件をいっぺんに言えば、一回で済むのに
私の国ではそうしてますよ
都度確認するやり方に、もどかしさを覚えていたのでした。
もっともこれからは、タブレット注文が増えます。
一項目ずつ入力するため、直接のやりとりは減るでしょうが。
スペイン語圏に目を向けてみます。
ハンバーガーセットの注文は、だいたいこんな感じです。
※人によって順番や言い方の違いはありますが
Un combo de 〇〇, para comer aquí, por favor.
Con una Coca pequeña, papas fritas medianas,
y un Naggets de pollo.
訳も掲載しておきます
〇〇セットをひとつ、店内で食べます(いただきます)
Sサイズのコカ・コーラとMサイズのポテト
それからチキンナゲットをお願いします
注文するお客さんは、頭の中で情報を整理してから話します。
店員さんも、いっぺんに言われても、順次処理していきます。
聞きながら、必要に応じてメモを取っています。
このような展開では、話しながら考えることは減るはず。
日本的な、う~んそうだね~〇〇にしようかな~、なんて。
◆ ◇ ◆ ◇
どっちがいいとか悪いとか、優劣の問題ではありません。
正確さにしても、どちらも変わりないと思います。
西日間にある、思考の違いを認識するために紹介しました。
私は以前、試しに日本人の店員さんに一気に言ってみました。
別に、意地悪をしたかったわけではありません。
学生であろう店員さんは、困惑の表情を浮かべました。
そんなにいっぺんに言わないで、と言わんばかりに。
きっと、せかされているような圧迫感を覚えたはずです。
あらためて、店員さんのマニュアルに沿って注文しました。
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ファーストフード店での注文を例に、西日の違いをお話しました。
日本では、一項目ずつ確認しながら進めます。
反対にスペイン語圏では、要件をいっぺんに言うようにしています。
彼らは、日本式の確認法にもどかしさを覚えています。
最初から全部言ってくれるほうがやりやすいと。
なお主観なので、絶対の正解ではないことをお断りしておきます。
お読みいただきありがとうございます。