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ゼレンスキー大統領のスピーチを聞いて。

本日、日本の国会に向けてゼレンスキー大統領の演説がありました。自分はウクライナ語はわからないので同時通訳付で閲覧しました。

内容に関しては動画を実際に見ていただければと思いますが、隣国であるロシアの首脳陣がこうも簡単に、かつ残酷にルールを破ってくる国であることは日本の未来にとっても全く他人事ではありません。こんな国とどう向き合っていくのか、本当に考えねばなりません。スピーチの中には具体名こそなかったものの、台湾有事、尖閣、北方領土などを意識したと考えられるようなロシアの次の脅威に関して今歯止めをかける必要性も語られていました。

いろいろなことが頭をよぎったこのスピーチ。スピーチライターが上手いとか、さすが元コメディアンで〜とか、プレゼンテクニックが云々とかどうでもいいことをあちらこちらで自慢気に語っている頭のおかしい人がSNS等で出没していますが、ため息というかどんだけ人としてクズなんだろうと呆れてしまいます。

自分はこのスピーチ動画の最後、ゼレンスキー大統領が胸に手を当てて拍手を受けている時の表情が忘れられず、涙が出そうでした。

そしてこれだけ沢山の無罪の人の命がたった数人の頭のおかしい支配者で無残に奪われている現状、核兵器という脅威の前に何もできない各国首脳陣、そしてこんな野蛮なことが自分が生きているときに本当に起こっているのかという不条理を痛感しています。偉い人が怖い顔してジュネーブで演説しようが、そんなの誰も聞いていない校長先生やら院長の朝礼スピーチみたいなもんです。目の前で繰り広げらている理不尽な暴力、いじめを誰も止めることはできていないのです。

人間は信じられないくらいの奇跡的な確率で今の自分が存在しています。自分が今まさに人間として肉体と魂を持ち、両親のもと、日本という世界でもトップレベルに安全な国で、当時は戦争もない時代に生まれてくることができたことは奇跡以外の何者でもありません。産婦人科医なので痛感しますが、安全なお産など存在しません。常に死と隣り合わせです。

そんな奇跡は全て祝福されていいはずなのに、神の悪戯が存在するのです。生まれてくるべきでなかった人が今のロシアとベラルーシ のトップにいるのです。人間ではないのかもしれませんが。

対話、議論、秩序、という社会を形成する根源がこんなにも簡単かつ理不尽に壊され、そしてそこに現れる野蛮な世界の姿を自分はまさに今見ているのです。ゾッとしています。そして残念ながら次に待ち受ける脅威はもっと日本にとって身近におこる可能性が高い、そうも感じています。その時、世界に向けて日本はメッセージを発することができるでしょうか。今の日本の政治を見ている限り総理大臣は無力でしょう。政府に期待してはダメです、自分たちがやるしかありません。

ゼレンスキー大統領の演説に心を動かされたんだね、とか上から目線で言ってくる馬鹿もいるんでしょうけど、特定の人にここまで憎悪感を持ったのは生まれて初めてかもしれません。もっとも、イラク戦争や、今のイエメン紛争は紛れもない大量虐殺なので、ロシア以外にも頭のおかしい人がいるのは残念ながら真実です。彼らも許されるべきではありません。こいつらも人間ではないのかもしれませんが。

地球という限られた空間で人間は共存しなければならないのに仲良くやっていくことができない、暴力、脅しでしか物事を前に進めることができない。こんな人がトップを務める国が存在しているのです。そして隣国にも。もう最近かなり明確になってきてますが、日本が戦う意思を見せない限り、米国が代わりに戦ってくれることは今後無いじゃないかと自分は思っています。

ゼレンスキー大統領のあの表情は脳裏に焼き付いています。そして日本人が今後直面しうる局面を考えた時、何ができるのか、何を捨てて、何を守るのか、本気で考えなければいけません。