見出し画像

離乳食早期導入は、どれくらい効果があり、どれくらい途中でやめているか?|2024年12月26日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

( 本記事は、メンバーシップ(アドバンス)の記事です。メンバーシップの概要は、こちらをご参照くださいm(_ _)m)


食物アレルギー予防に向けた早期離乳食導入の最新エビデンスと課題とは?

■ 食物アレルギーは、かゆみやアナフィラキシーなどの症状だけでなく、生活の質やコストに大きな影響を与える問題です。
■ 卵やピーナッツなど、アレルギーを起こしやすい食品を赤ちゃんの時期に早期に導入すると、卵やピーナッツのアレルギーを減らせるかもしれないと分かってきました。

■ このため最近は、一部のガイドラインでも早めに少しずつアレルゲン食品を食べさせることが推奨されるようになってきました。


■ ところが、早期導入によって全体的な食物アレルギーが減るのかは、まだはっきりしていません。
■ そもそも、各国・地域でアレルギーになりやすい食品も異なるので、一律に話を進めることもできないのです。


■ 複数のアレルギーを起こしそうな食品をまとめて赤ちゃんに食べさせる研究もありましたが、結果ははっきりせず、研究を途中で中断する人が多かったという報告もあります。


■ 一方で、複数のアレルゲン食品を早期に導入すると、全体として食物アレルギーが減るという研究もあり、その主な理由はピーナッツのアレルギーが減ったからとされています。
■ このような背景の中、離乳食早期導入がどのくらい有効で、保護者が無理なく続けられるのかをみたメタアナリシスが報告されました。


※日本では、ピーナッツの早期導入に関しては議論があります。
※鶏卵の早期導入で卵黄に対する新生児乳児食物蛋白胃腸症が増えたという面もあります。


この論文でわかったことをざっくりまとめると?

23試験(ランダム化比較試験 56報、13,794人参加者)を対象としたメタアナリシスにおいて、生後2~12か月(中央値3~4か月)の乳児に複数のアレルゲンとなりうる食品を早期に導入する介入を行った。

✅️ 4試験(3,295人)から得られた中等度の確実性を持つエビデンスによると、早期導入群では食物アレルギーのリスクが51%低下し(リスク比0.49、95%信頼区間0.33~0.74)、1000人あたり26人のアレルギー発症を予防できた。
【簡単な解説】 4つの研究(約3,300人分)のデータを分析した結果、早めに食べさせた赤ちゃんたちは、食物アレルギーになる確率が半分以下に減った。この結果はかなり信頼できるものとされている。

✅️ 卵は9試験(4,811人)、ピーナッツは4件の試験(3,796人)から得られた高い確実性のエビデンスにより、それぞれ生後3~6か月、3~10か月での導入で、アレルギー発症リスクが大きく低下した(卵:リスク比0.60、ピーナッツ:リスク比0.31)。
【簡単な解説】 卵については9つの研究(約4,800人分)、ピーナッツについては4つの研究(約3,800人分)のデータを分析した結果、生後3ヶ月頃から与え始めると、アレルギーになりにくいことが、非常に確実な証拠として示された。



以下は、論文の解説と管理人の感想です。

ここから先は

4,548字 / 4画像
この記事のみ ¥ 150

noteでは、ブログでは書いていない「まとめ記事」が中心でしたが、最近は出典に基づかない気晴らしの文も書き散らかしています(^^; この記事よかった! ちょっとサポートしてやろう! という反応があると小躍りします😊